サン・テグジュペリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ南米の地で夜間に飛行機で郵便物を運ぶ新事業に従事するパイロットたちと、ブエノスアイレスで彼らを待つ責任者の一夜の小説。突然の大嵐に見舞われた一機がわずかな燃料を残して通信途絶するという緊迫した展開、冷徹な判断を旨とする責任者リヴィエールの苦悩からくる緊張感はこの短い小説が進むにしたがって張りつめてくる。非常に完成度の高い小説だ。
だが、私がこの小説に心をつかまれたのは空の世界の幻想的にうつくしい描写だった。冒頭から夕暮れの光に満たされる平野が眼下に広がっていて、時に草原にポツンと漂流する一軒家にパイロットは翼で挨拶すると語られる。もうそこで、捕まえられたな、という感じがした。
一番印象的なのは、墜落寸前のパイロットが嵐の雲の上に抜け出て、満天の星と満月に光り輝く雲海に出る場面だ。強い死の香りの中で、静謐な楽園をゆく一機の飛行機。その世界の中で「美しすぎる」とパイロットは思うけれど、私だって思っていた。そう、この小説は美しすぎる!地べたで苦闘する人間の絶望的な戦いを描きながら、同時に空の上の圧倒的な美を見せてくれる対比の残酷さ。それが否が応にも空の美しさを引き立ててしまうのだ。
自分も輸送インフラで働いていたので、リヴィエールが何十年も飛行機一筋で働いていた職員を一度のミスで首にする場面は胸がギューっと痛んでしまったのだが、そこ以外は完璧な小説だった。今からもう一度読もうかな。 -
Posted by ブクログ
『人間の大地』はやはり「「精神」だけが、その息吹が粘土の土の上に通うならば「人間」を創造することができる。」という最後の一文がすごく肝になっていると思う。
定期路線を飛行しているとき農夫を見て感じたこと、リビア砂漠で彷徨ったときのこと、戦時中フランスからパリに移送されるユダヤ人の人やその子供を見て感じたこと。どのエピソードも飛行機を通じて作者が体験し考えたものばかりで、大地に根付いた人間たちの物語なんだなと感じることができた。心に刺さる名言も多いし自分は『人間の大地』が好きだなあと改めて思いました。
ちなみに表紙の写真は長年の夢だった新品飛行機を買ったときの写真で、この直後にリビア砂漠に墜落して8章のお話ができた。当時いくらだったのかはわからないけどかわいそうって気持ちになってしまった。
新潮文庫版『人間の土地』の最後の文は「精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる」です。こっちのほうがすっきりしていて入りやすい気もする。あとは評判のいい光文社古典新訳文庫の『夜間飛行』も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
楽しみにしてたよ〜〜〜〜
堀口大學訳で読んでから何年経ったかわからないけど
この2作を新訳で読めることに喜びを感じる!
当たり前だけど本当に読みやすくて、星の王子さましか読んだことがない方でも読めると思う。
ただ星の王子さまと同じ感覚で読むとびっくりするかも!ハードボイルドじゃない!?と個人的には思います。
郵便物を空路で運ぶよ〜な話。
空から見える景色が逐一美しくて好きだ〜。あと夜間飛行は空と大地それぞれで戦う者たちの精神に根拠があって全てのことがすんなりと頭に入ってくる。自由とはとか。
人間の大地もまぁ良かったんだけど、やっぱりなんか最初に読んだ堀口訳よりも魅力が減っている気がする〜〜〜!!
友情を樫の木に例える文も、初めてこの文に出会った時はとんでもない衝撃を受けたものでした。けど今回は2回目だからなのか私が訳を気にいらないのか、うーんかすんで普通の文に思えてしまった。
思い出補正の存在を抜きにしても、初で読んだ堀口訳の方がおそらく原文が持っているであろう豊かな美しさがあったかもしれないと個人的には思う。(そちらには南方郵便機が収録されているのでそれの印象が含まれているかも!&原文は南方郵便機しか持っていないので検証不可)
しかしながらサン=テグジュペリが残してくれた文章が素晴らしいことには変わりないので星4かな。他の方の感想を拝見して興味が湧いたので上記2名以外の翻訳者のものもいつか読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
「大切なものは、目には見えないんだよ」
いや、わいには見える(やめとけ)
はい、世界的名作『星の王子さま』じゃなくて『小さな王子』を光文社古典新訳文庫で読みました
あー、こんな話だったっけ?
いやしかし翻訳超良かったんじゃね?
この訳でなんか色々気付いたことがあったな
そもそもさ、このお話ってサンテグジュペリは大人向けに書いてるのよ
だからこれまでのおとぎ話調の訳って作者の意図と離れたところにあるんよな
子どものこころを忘れてしまった大人たちの、だけどこころの奥の方に眠っている純真さに向けて書かれている本なのよ
なので訳者の野崎歓さんのあとがきに納得
そして、なぜ『星の王子さま』ではなく『小さな王子』という題名なのか?というのもしっかりあとがきに書かれていました
わいはめんどくさいから書かないw
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Posted by ブクログ
裏を書いてサン=テグジュペリです
何に対しての裏やねんっていうね
サン=テグジュペリと言えばもちろん『星の王子さま』なんですが、あえての『夜間飛行』
まぁ、こちらも代表作っちゃあ代表作なんですけどね
うーん、まぁ色々あるんだけどね
色々あるんだけどめんどくさいんで1個だけ
物語の筋としてはなんてことはないんですよ(いや実際はほんと色んなふうに読み取れてなんてことなくはないんだが)
割と簡単な話なんです
郵便配達する飛行機が『夜間飛行』するんですが、嵐に遭遇して結局行方不明、地上でその会社の社長がヤキモキするっていう話です
冒涜レベルで短くまとめましたが、まぁだいたいそんな感じ
そんな中、詩的表現がマジでエグい
飛行機が空飛んでるだけなのに、めちゃくちゃいっぱい言葉詰め込んでくるのよ
しかも一個一個がほんと詩のよう
でだいたいそういうのってあまりやりすぎると邪魔くさく感じるんだけどサン=テグジュペリにはそれがないんよね
不思議〜 -
Posted by ブクログ
<その夜を、越えられるか>
サン=テグジュペリの名を世に知らしめた作。1931年原著初版刊行。アンドレ・ジッドの序文が添えられている。
南米大陸で、新事業である夜間郵便飛行に挑む男たちの物語。
南米各地からブエノスアイレスへと荷物を運び、それを各地へ、また欧州へと運ぶ。
黎明期の事業の存続は綱渡りだった。民間の商業航空が生き延びるには、夜間の定期便を飛ばすよりほかなかった。
一方で、当時の飛行機の性能はさほど安定しておらず、通信も万全ではなかった。暗黒の中に飛び立つには危険が大きい。
しかし。
夜を越えねば未来はない。
物語の舞台は主に、空を飛ぶ若きパイロットの飛行機と、地上支援を行う老いた社長のいる事務所である。午前0時から2時のわずか2時間の出来事が主である。
この夜、ブエノスアイレス上空は晴れていた。しかし、パタゴニアから飛んだ機は激しい嵐に見舞われていた。
パイロットは必死に奮闘する。しかし、燃料は限られており、時間の猶予はない。
帰らぬ機を待つ社長は苦悩する。この機の荷を移し、欧州便を飛ばさねばならないのだ。夜間飛行には反対の声も多く、ここで失敗すれば事業自体がつぶれてしまう。
嵐に揉まれ、荒れ狂う海に翻弄されるかのような中で、パイロットはふと見えた上空の星を目指す。雲の上に出た彼が見たのは、星がちりばめられた、信じられぬほど美しい光景だった。
だが、それはつめたい宝石に囲まれた場所、誰ひとり生きていない世界でもあった。
静謐で美しい絶望。
制限時間が過ぎた中、地上の社長は1つの決断をする。
彼らは果たして、それぞれの夜を越えられたのだろうか。
ジッドをして、絶賛の序文を書かしめた一作。
簡素にして緊迫感に満ち、美しい。
後年、サン=テグジュペリは、第二次大戦中、飛行機で偵察に出て、消息を絶つ。自殺も疑われたが、ドイツ機による撃墜が真相のようである。
飛行機を愛し、飛行機乗りに愛された作家は、自身、空の上の夢のような世界を見ただろうか。あるいは今でもその空を飛び続けているのだろうか。