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国際郵便機のパイロットとしても長いキャリアを持つサン=テグジュペリが、勇敢な僚友たちの思い出、技術の進歩、また『ちいさな王子』や『夜間飛行』の物語の土台となった南米やアフリカでの極限状態など、自身の体験に基づいて時に臨場感豊かに、時に哲学的に綴ったエッセイ。本当の勇気とは何か、人間の使命とは何かを熱く問いかける傑作。
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Posted by ブクログ
堀口大学訳の新潮文庫版、ロングセラーの地位はいまも不動。私もずっとこの詩的な堀口訳に慣れ親しんできたが、引っかかる訳語がいくつもあった。 今回、渋谷豊訳の光文社古典新訳文庫版では、それがすっかり解消されている。たとえば、サンテクスの最初の職業フライトの場面。午前3時半、雨のなか、彼が乗り込むのは飛行...続きを読む場行きの「マイクロバス」なのか、「路面電車」なのか。渋谷訳は「路面電車」。タイトルも、堀口訳は「土地」だったが、渋谷訳は「大地」だ。 どちらの訳で読んでも、サンテクスが初仕事に向かうその緊張感と高揚感の描写はたまらない。そして彼とプレヴォがリビア砂漠の真ん中にクラッシュしたエピソードも。3日間飲まず食わずで、蜃気楼、錯覚と幻覚に悩まされながら生き延び、奇跡的にベドウィンの遊牧民に助けられる。何度読んでも、感動的だ。
サン=テグジュペリの最高傑作。 若い人に読んで欲しいとあとがきにあったが、読んでも理解するのはずっと後になるだろう。人生における普遍的な真実をあの若さで書くことができたのは、死と隣り合わせの職業だったからではないか。読んでいて、極限状態に追い込まれないと真実には辿り着けないのではないかと感じた。 ...続きを読む近しい身内を亡くした人間は、高次の意識に近づくと感じるけど、すぐまた元に戻ってしまう。 極限状態に居続けることは考えるだけでもしんどい。でも主人公は心が安らぐという。死ぬ瞬間には理解できるのだろうか。 いつもは考えない人間の根幹とか普遍的な何かとかを考える読書だった。浮かんでは消えていく感じだけど、サン=テグジュペリが伝えたいことの片鱗は誰の中にもあるのではないか。
新潮の堀口大學訳は何度か読んでいたが、ふと他の訳も読んでみようと思い手に取った。 かなり新しい訳なので上記のものよりも読みやすく、だからといって軽い文というわけではなく荘厳な世界観を崩さない程度に留められていて良かった。 内容に関しては何度読んでもハッとさせられる。 特にギヨメの話と砂漠での話は人間...続きを読むの強さと小ささが感じられて好き。
「ぼくたちは何世紀もの間道に騙され続けてきた」 「自分の中のモーツァルトを虐殺しない」など、美しく簡潔ではっとさせられる文章と、サン=テグジュペリのパイロットとしての経験などを基にしたルポルタージュやエッセイを寄せ集めた作品。
人間の気高さとは何かについて書かれた本。 p76の下記の一節は僕の座右の銘の一つになっている。 「人間であること、それはとりもなおさず責任を持つということだ。自分のせいではないと思えていた貧困を前に赤面すること、僚友が勝ち取った栄冠を誇りに思うこと、自分に見合った石を積むことで世界の建設に貢献し...続きを読むていると感じることだ。」
本文中の至るところに散りばめられた詩的イメージがいい。 物語としては、「砂漠の中心で」が白眉であろう。自分も喉の渇きを感じながら夢中で読んだ。 サン=テグジュペリの他の作品も読んでみたくなった。
郵便飛行機のパイロットとして、アフリカの砂漠や南米の山岳地帯でのエピソードを連作にした。砂漠で不時着し極限状態。僚友との絆。学生の部活動で同じ目標に向かう一体感に似たものを感じた。最終章での人間と自然との関わり、偉大さ、平和への願いにも気づきがある。2022.1.29
サンテグジュペリのエッセイ。これまで読んできた本は飛行機から見た風景や人間関係が主だったが、今作は様々な人々にスポットを当てた人間観察のエッセイ。 少々小難しいが、上品で知的な表現が心地よい。大体の作品で解説は飛ばすけど、今作は解説もしっかり読んだ。貴族出身で飛行士で、詩的な作家ときたら、モテない...続きを読むわけがない。著者のことをもっと知りたい。 iPhoneから送信
パイロットとして孤独と向き合い、地球や人間の歴史や根源的な存在意義に思いを馳せた究極のエッセイ。コロナ禍で味わう孤独などサン=テグジュペリが向き合った孤独に比べればピーナッツ程度ではないか。金言の連続。
1930年代の飛行機はエンジンの不調でリビア砂漠やアンデスの山の中に不時着することもしばしばある。サハラ砂漠に不時着するとムーア人に襲われることもある。アンデスの標高4000mの高台に不時着した盟友メルモーズは滑走スペースがないので飛行機を奈落に向かって走らせる。断崖の縁から真っ逆さまに落下する途中...続きを読むで奇跡的に揚力を得て生還した。再び空に戻ったメルモーズは何年後かに南大西洋上空で消息を絶つ。同じくアンデス山脈で飛行機が故障して奇跡的に生還した盟友ギヨメは第二次世界大戦中に輸送飛行中に地中海上空で撃墜される。サンテグジュペリ自身、何度も事故を起こして奇跡的に回復し、リビア砂漠で水もほとんどもたずに遭難したときは2日目から幻覚があらわれる。奇跡的に通りかかったアラブ人に助けられるものの第二次世界大戦中にはフランスが降伏したあとアメリカで執筆に励んで星の王子様を出版したのに連合軍の偵察隊に復帰して消息を絶っている。そうまでして危険な仕事に帰って行くのは、歯車の一部となって精神生活とは無縁の小市民として生きることに耐えられないからだという。そこまで命をかける気にはとうていなれないが、自分はどう生きていきたいかを問いかけながら人生をすごしたいと思う。
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