北村薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「スキップ」「ターン」と来て、最後が何とも不吉な「リセット」になるのだが…前2作と比べて全く時間に変化が起こらない…。第2部になっても兆候が見られなかったのだが、突然襲い掛かってくる「リセット」要素がかなり衝撃。
タイトル回収まで時間がかかるのと、伏線や匂わせを多々散りばめさせているのも、前2作との相違点となっていて、ガラリと印象が変わる。
ただこの作者は物事がそうなるまでの「過程」を非常に描いており、中には伏線でも何でもないただの「脇道」にそれるような描写もあるのだが、それが逆に「一人の人間がしっかり存在している」という雄弁な証になっている。
正直オチは途中で読めてしまったが、(頼むぞ…変なことしないで、頼むぞ…)という良い意味での期待をしっかり裏切らずに成就させてくれて嬉しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ時と人シリーズ2冊目。銅版画家の真希が交通事故に会い、生きているのか、死んでいるのか、分からない。1日過ごすと何故か15時15分にその日へ舞い戻る。しかも誰もいない世界。150日目に真希の下に電話がかかり、現実世界の1人の男性・泉との会話が始まる。主人公・真希の潔癖性と泉への強烈なカタルシスが真希の可愛らしさを表現していたのだが、その一方で、これまでの母親との薄い関係性が母との愛情を深くした。最初から登場する「君」の存在、最後の眼を開けた瞬間、君達同士の印象はどうだったのだろうか。
まさかとは思うけど、泉さん、柿崎の病室に行っていないよね?まさか、行ってしまったのか? -
Posted by ブクログ
流星群。フライパン返し。切手。列車の事故。麦畑。
高校の時に読んで以来、時折パッと灯が点いたようにこれらの場面を思い出していた。
どちらかと言えば、一回限りでは内容を忘れてしまうことの多い私にとって、これは珍しいことだ。
裏を返せば、本を読み返さずとも反芻してしまうくらい、強く印象に残った話だったということなのだろう。
この度、ようやく、再読の機会を得た。
細部まで記憶していただけに、「高校の時の読後感を再確認する」というくらいのつもりで読み始めたのだが、そうはならなかった。
年かさが増し、色々な知識を得た結果だろうか。
以前は二人の恋の行く末に目が行っていた。
だから、どこか時を隔てても結びつく二人に「羨ましい」とさえ感じていたのだけれど、今回は「子どもたちを、こんな目にあわせてはいけない」という思いが、自分でも驚くほど強かった。
戦争が、子どもたちから教育を奪っていく。
主人公やその周囲はどちからといえば裕福で、お嬢様学校に通っていただけあってギリギリまで恵まれた学習環境にいた。
それなのに、いや、もしかすると、だからこそ。
少し前には雑誌の付録のカルタで遊んでいた少女たちが、テニスで遊んだ後にレモネードで喉を潤していた彼女たちが。
飛行機の組み立てに参加する、尊敬する兄を隊内の暴力により亡くし絶望する、その落差に、やるせなさを覚えずにはいられなかった。
確かに、何度も巡り会う運命は、とても美しいものだ。
けれど、そうせずにはいられなかった運命は、決して歓迎されるべきではない。
お互いの感情の行き違いではなく、「そうせざるを得なかった」というのだけは、絶対に、繰り返してはいけないと思うのだ。
たぶん、当たり前のことなのだけれど。
本は、同じものでも毎回違った印象を与えてくれる。
それを改めて実感した、今回の再読だった。 -
購入済み
自分だけの一冊
北村薫の広範な知識に導かれながらアンソロジーの楽しさが紹介されていく。アンソロジーは読む楽しさだけではなく、選者のこだわりをなぞり、更に自分だけのアンソロジーを組んでみることを勧める。ミステリ好き以外の方にもお薦め。
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Posted by ブクログ
あぁ、なんて愛おしいのか。
小学生の北村薫さんがキラキラした瞳で本を見つめている姿が目に浮かぶ。
そして作品からも伝わってくる北村さんの優しさはその頃から全く変わっていないんだなと思えた。
そのことが自分でも呆れるくらいに嬉しくて胸がいっぱいになってしまった。
この本は3章で構成されている。
1は「読書 1978-2001」。
本の解説がメイン。
いつもは本文を読んでから解説を読むので、解説しかないという状況に少し戸惑った。
それでも愛のあふれた解説はなんとも魅力的で、だんだん気にならなくなったから不思議。
しかし大半がミステリなので、未読の方は注意と書かれたものは読めなかったのは無念だった。
必ずリベンジしてやると心に誓った。
2は「自作の周辺」。
なぜ覆面作家だったのかが語られていたのがとても嬉しい。
そして戸川編集長を拝みたくなった。
北村さんの作品が読める幸せをかみしめる。
3は「日常の謎 愛しいもの」。
可愛い北村少年に出会い、優しいお父さんの一面も覗けてしまった。
大好きな小説を書く人のことが作品同様に大好きになれる、こんなに幸せなことはなかなかないんじゃないか。
そして巻末の著作リストの未読本をチェック。
既読本もタイトルを見たらまた読みたくなるものばかりで、全部読めるのはいつになることやら‥。
幸せな悩みだ。