北村薫のレビュー一覧
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こういう設定、考えた事なかったなあ。
17歳の女子高生が一瞬で42歳の高校教師になってしまう。タイムリープではない。
25年後の世界に現存する1人となって溶け込んでいる。
そんな状況に色々と無理ではないかという事象はあるのだけれど、本作の設定自体実際には無理なのだろうから仕方ない。
実態は17歳の女子高生がスキップ先の時代で必要に迫られて高校3年生の国語の授業をする。
この高校教師が本物の中堅教師でもなかなかできそうにないかなり深みと味わいのある授業をしてのけるのが不思議なのだが、読者としてはいつしか1人の優秀な教師を見ている気になる。
そこで想像するのは主人公の女子高生本人自身かなり優秀な高 -
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学生のころ、3部作読みたいなぁと思って
20年くらい経って。ふと思い出して読んでみた。
前半のゆっくりした時間の流れから一転、
後半の特に柿崎が出てきてからのストーリーは
手に汗握る、緊張の展開でおもしろかった!
自分が柿崎と二人だったらと思うと
背中に冷や汗が流れた。。怖すぎる。。
あたまの中の彼のことは、よく分からなかったけど…物語の随所に作者の伝えたいメッセージが込められていて。
特に、好きな人が好きなこと・大事なものを捨てて、自分のとこへ来てくれても…果たしてそれは、自分が愛したその人なのか?というくだりは、はっとさせられた。好きな人を大事に思うということは、そういう事なんだと -
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シリーズ2作目。
体力自慢の文芸編集者、美希が日々の仕事で遭遇する謎を、中野の実家のお父さんが鮮やかに解決する。
ワクワクしながら、本書を手にする。
でも、「中野のお父さんは謎を解くか」というタイトルはやや不思議。
だって、解くに決まってるんでしょ?
そうして目次を開く。
全ての章題が疑問文なのだ。
統一を図った―というのもあるが、もう一つはお父さんが倒れてしまうから、かな。
病床から謎は解けるのか、ということか。
今回は太宰の「春の盗賊」に出てくる「ガスコン兵」とは何かを紐解く「ガスコン兵はどこから来たか」が印象に残った。
たぶん「春の盗賊」、昔読んだ気がするが…
ガスコン兵以前に、 -
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始めて読み始めるシリーズだが、楽しかった。
『小説文宝』の編集者、田川美希が、日々出会う謎。
それを鮮やかに解き明かすのは、定年間際の国語教師である彼女のお父さん。
そんな設定の短編集だ。
仕掛けられる謎も、文学好きには堪えられないもの。
例えば、「謎の献本」。
尾崎一雄から志賀直哉への献辞が入った志賀直哉の『留女』。
著者のサインではなく、なぜ尾崎なのか?
不思議ないきさつが語られる。
八島和歌子という、美希の先輩編集者の、次の言葉がとてもいい。
「事実で説明出来るものって、すっきりするけど、可能性の翼をたたませるところがある。解釈の冒険って、いかにも人間らしいじゃない。」
其角の -
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ネタバレ大手出版社勤務の田川美希、新人賞の担当作でトラブルが発生する。さて誰に相談したものか…と思いついたのは国語教師の父親。お父さんは鮮やかに事件を解決できるのか。
短編8篇、美希の周辺のトラブルをお父さんに相談して…というスタイル。些細なことからなんと殺人!?まで、幅広い題材が軽やかにするりと解き明かされる。
美希もお父さんもカラリとした良いキャラクターで、短篇なのですこしあっさり気味ですがちょっと1つだけ、と読み返すにはいい作品。「その後どうなったの?」という作品もありますが顛末まで書かない、というのもアリなのでしょう。
推理も面白いですし、なんといっても北村さんが描かれる探偵が国語教師で -
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日常よりも日常らしいけれど、嘘くささがない。何気なくて、家族と過ごす幸せや温もりを感じる瞬間を丁寧に書き起こしていて、疲れた時に読んで癒される本。
お母さんとさきちゃんのほのぼのして温かい日常には、ごく稀に、スウっと風が吹き込むように、父の不在(離婚と思われる)が現れます。無理だと言われてもさきちゃんが野良猫を連れ帰ろうとする話がありますが、お母さんは猫だけでない色々なものを重ねていたのかも。
猫を飼うのは無理だけど、お母さんはいつだってさきちゃんを想っていて、一瞬一瞬、一緒に過ごす時間を大切にしていて、それが端々に描かれています。文章であの空気感をこんなに表現できるんだ……と、びっくりする -
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本屋をのぞいていたら、本シリーズの最新刊が単行本で、2作目が文庫化していた。これはいかんと、積読の山から本書を救い出した次第。
北村薫さんの小説の舞台は出版社となることが多い。そして主人公は若い女性が多い。本書の主人公は若い文芸編集者の美希。まさに北村薫の世界ど真ん中である。この美希が、仕事で疑問に思ったことや辻褄の合わない謎を持ち込むのが、中野にある実家。そして、謎をはらりと見事に解きほぐすのは、定年間近の国語教師の父である。
北村薫のファンならば、北村さんが元国語教師であること、娘さんがおられることは周知の事実。お住まいこそ中野ではないが、多くの読者は、中野のお父さんを北村さんと重ねて