北村薫のレビュー一覧

  • 中野のお父さん

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    始めて読み始めるシリーズだが、楽しかった。

    『小説文宝』の編集者、田川美希が、日々出会う謎。
    それを鮮やかに解き明かすのは、定年間際の国語教師である彼女のお父さん。
    そんな設定の短編集だ。

    仕掛けられる謎も、文学好きには堪えられないもの。
    例えば、「謎の献本」。
    尾崎一雄から志賀直哉への献辞が入った志賀直哉の『留女』。
    著者のサインではなく、なぜ尾崎なのか?
    不思議ないきさつが語られる。

    八島和歌子という、美希の先輩編集者の、次の言葉がとてもいい。

    「事実で説明出来るものって、すっきりするけど、可能性の翼をたたませるところがある。解釈の冒険って、いかにも人間らしいじゃない。」

    其角の

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    2022年09月04日
  • 中野のお父さん

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    ネタバレ

    大手出版社勤務の田川美希、新人賞の担当作でトラブルが発生する。さて誰に相談したものか…と思いついたのは国語教師の父親。お父さんは鮮やかに事件を解決できるのか。

    短編8篇、美希の周辺のトラブルをお父さんに相談して…というスタイル。些細なことからなんと殺人!?まで、幅広い題材が軽やかにするりと解き明かされる。

    美希もお父さんもカラリとした良いキャラクターで、短篇なのですこしあっさり気味ですがちょっと1つだけ、と読み返すにはいい作品。「その後どうなったの?」という作品もありますが顛末まで書かない、というのもアリなのでしょう。

    推理も面白いですし、なんといっても北村さんが描かれる探偵が国語教師で

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    2022年07月25日
  • ヴェネツィア便り(新潮文庫)

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    15編の小説集だが、なにげない話が最後にはそれなりのストーリーに仕上がっていく.その過程が素晴らしい.「機知の戦い」が面白かった.寺岡教授を女性たちが取り合う話だが、話題にするアイテムが特異で驚いた.全く知らない世界だった.趣味の視点が違うのだと感じた.

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    2022年05月27日
  • 読まずにはいられない―北村薫のエッセイ―

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    北村薫さん、或いは鮎川哲也と13の謎、或いは新本格派と出会っていなかったら、私は国産ミステリに手を出さなかったかも知れない。北村さん、新本格派の面々、恩田陸さんは私の読書指南です。と、この本を読みつつミステリにハマり出した頃を回想し、感慨に耽る。
    かつて北村さんの著書に出た本は全部読もうと意気込んでいたのだが、もうそんな体力気力なし。

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    2022年05月23日
  • 中野のお父さんは謎を解くか

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    北村薫の中野のお父さんは謎を解くかを読みました。
    中野のお父さんの続編でした。

    雑誌の編集者、田川美希が担当している作家と話している中で出てきた日常の謎や昭和の文豪たちのエピソードに関する謎を解き明かしていくミステリでした。
    美希が謎をもって中野の実家に帰ると、高校の国語教師をしているお父さんがその謎を解き明かしてくれるのでした。

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    2022年05月13日
  • 月の砂漠をさばさばと(新潮文庫)

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    日常よりも日常らしいけれど、嘘くささがない。何気なくて、家族と過ごす幸せや温もりを感じる瞬間を丁寧に書き起こしていて、疲れた時に読んで癒される本。

    お母さんとさきちゃんのほのぼのして温かい日常には、ごく稀に、スウっと風が吹き込むように、父の不在(離婚と思われる)が現れます。無理だと言われてもさきちゃんが野良猫を連れ帰ろうとする話がありますが、お母さんは猫だけでない色々なものを重ねていたのかも。
    猫を飼うのは無理だけど、お母さんはいつだってさきちゃんを想っていて、一瞬一瞬、一緒に過ごす時間を大切にしていて、それが端々に描かれています。文章であの空気感をこんなに表現できるんだ……と、びっくりする

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    2022年05月06日
  • スキップ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ターンを読んだのでスキップも。逆だけど。
    結局スキップした後、戻ることはない。ターンとは違う
    先生や学校モノを久しぶりに読んだからか、それとも一ノ瀬真理子さんが素敵だったからか、とても素敵なお話だった…
    国語の先生で、言葉に対する考えが素敵。
    周りの人との関係性も素敵だし、何で?という好奇心をそのままにしないところもとてもいいと思う
    スキップの原因については触れられずに最後までお話が進むけど、それでもいいって思えるような物語だった

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    2022年04月30日
  • 中野のお父さんは謎を解くか

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    北村薫の「中野のお父さんシリーズ」第2弾
    文芸誌編集者の娘が“謎”に直面した時、相談に訪れる中野の実家に住む父親との交流を軸に、編集者として働く娘の日常を描いています。
    やはり北村薫の「日常の謎」は秀逸!普通の本好きでは(私も含め)全くたどり着けない境地での謎解きにはただただ・・・(^_^;)
    次作の文庫化が楽しみです。

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    2022年02月27日
  • 中野のお父さん

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    8つのお話があって、読みやすかったです。
    殺人事件では無いけれど、スッキリする感覚が楽しかったです!
    続編も読みたくなりました。

    理系の道に進んでからは、文学には全くと言っていいほど触れてなかったので、吉原のお話は難しかったです…

    好きなお話は、
    夢の風車、冬の走者、数の魔術
    です!

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    2022年01月29日
  • ヴェネツィア便り(新潮文庫)

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    掌編含むバラエティに富んだ作品集。
    ぞくりとさせるものもあり、様々な色合いや味わいが楽しめます。匠の技と言うような小説の面白さが詰まっています。
    過去をふと振り返るような作品も多く、初老から老齢に至る人物がメインとなるのは最近の北村作品の傾向でしょうか。

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    2021年12月16日
  • 月の砂漠をさばさばと(新潮文庫)

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    『月の砂漠をさばさばと』というタイトルのリズムの良さにひかれて、本書を読みました。9歳のさきちゃんと作家のお母さんの優しくてあったかい物語です。さきちゃんとお母さんの、親子というより友達みたいな関係にほっこりします。それから、おーなり由子さんの絵に癒されました。

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    2021年12月03日
  • 中野のお父さん

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    本屋をのぞいていたら、本シリーズの最新刊が単行本で、2作目が文庫化していた。これはいかんと、積読の山から本書を救い出した次第。

    北村薫さんの小説の舞台は出版社となることが多い。そして主人公は若い女性が多い。本書の主人公は若い文芸編集者の美希。まさに北村薫の世界ど真ん中である。この美希が、仕事で疑問に思ったことや辻褄の合わない謎を持ち込むのが、中野にある実家。そして、謎をはらりと見事に解きほぐすのは、定年間近の国語教師の父である。

    北村薫のファンならば、北村さんが元国語教師であること、娘さんがおられることは周知の事実。お住まいこそ中野ではないが、多くの読者は、中野のお父さんを北村さんと重ねて

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    2021年11月21日
  • 中野のお父さんは謎を解くか

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    こんなお父さんがいたら、ちょこちょこ実家に帰っちゃうなぁ。
    それにしても、もっと本を読みたい!と思わせてくれる。
    さっそく神保町に繰り出したら、カートの中に著者の単行本を発見!引きまで強い中野のお父さん、相変わらず最高です。

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    2021年11月21日
  • 中野のお父さんは謎を解くか

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    シリーズ2作目。中野のお父さんの知識と言うか、本の内容を覚えているチカラに圧倒される。自分に当てはめると確かに余りお金もない頃に買った本は、何回でも読んでいるし、セリフも言えたりするからなぁとは思うが、いやはや、やっぱり凄い。そしてお父さんと娘の関係がなかなか可愛らしいのが羨ましい。

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    2021年11月17日
  • 空飛ぶ馬

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    原作で想像していた以上に円紫さんがイケメン。

    「赤頭巾」はこんなに後味の悪い話だったか、と思って原作を読み返した。

    ううむ、漫画はやはり抄篇。ページの関係でいくつかのエピソードを端折ってしまうのが残念。
    雰囲気はとてもうまく掴んでいるけど。

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    2021年09月28日
  • スキップ(新潮文庫)

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    10代に何度も読ませてくれた一冊です
    単純な構成なので非常に読みやすい
    ゴチャついてないので古さは感じるでしょうね

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    2021年09月12日
  • 月の砂漠をさばさばと(新潮文庫)

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    小学3年生のさきちゃんと、作家のお母さんの毎日をていねいに、ていねいに語ります。心優しくユーモアあふれるおかあさん。どんな母子にもあるはずなのに、やっぱり特別な母子の12のお話。
    「連絡帳」に出てくるムナカタくんに会ってみたい。
    「ふわふわの綿菓子」のさきちゃんが切ない。

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    2021年09月11日
  • スキップ(新潮文庫)

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    「時間3部作」という思わず惹かれるフレーズが気になり、まとめ読みして大正解。同作は「スキップ」というタイトルの通り、時間が「スキップ」してしまった女性(少女)が主人公の物語。

    単純なタイムリープでなく、肉体と精神の年齢がチグハグになってしまった主人公のひたむきさと前向きさは読んでいて応援したくなる。

    (恐らく)作者はタイムリープを経験したことがないはずなのだが、実際に人が未来に飛ばされた際、どんな変化に心を痛めるのだろうか、という描写が妙にリアルで、思わず納得させられる。

    特に印象深いのが、主人公が生まれ育った家の付近に赴き、変わり果てた様子を見て「とんでもない詐欺にかかっている感じだ。

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    2021年08月14日
  • 月の砂漠をさばさばと(新潮文庫)

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    9歳のさきちゃんとお母さんのささやかな日常。
    お互いに友だちみたいな関係って素敵。
    こんな風に2人の生活がずっと穏やかで幸福感に満ちたものであり続けて欲しいと願ってしまう。
    おーなり由子さんのやわらかいタッチの絵が2人の空気感にぴったりでとても癒される。

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    2021年08月02日
  • ターン(新潮文庫)

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    誕生日直前29歳の女性版画家が7月のある日自動車横転事故に遭い目覚めると誰もいない、どんな一日を過ごしても15:15になると昨日にリセットされる世界に。
    150日過ぎたある日電話が鳴り物語が動きます。毎日何事もなく繰り返す日常は尊くもあり年を重ねるごとに時間の流れがますます速くなる今日この頃、自問自答させて
    いただきました。後悔ない時間を過ごしたいものです。

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    2021年06月12日