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「もし、あなたがこれを読む時、ヴェネツィアがもうないなら、これは、水の底から届いた手紙ということになります」「ヴェネツィアは、今、輝く波に囲まれ、わたしの目の前にあります。沈んではいません」――三十年の時を越えて交わされる〈わたし〉と若い〈あなた〉の「ヴェネツィア便り」。なぜ手紙は書かれたのか、それはどんな意味を持つのか。〈時と人〉を描く懐かしくも色鮮やかな15の短篇。(解説・荻野アンナ)
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Posted by ブクログ
「時と人」を描く短編集 いかにも北村薫氏らしい作品から、ちょっとホラーテイストなモノもあり、かなり楽しめる短編集でした。 やはり私は北村氏の作品を読んでいる時間が好きなんだ・・・と改めて認識しました(^_^;)
□麝香連理草/誕生日 アニヴェルセール □☐くしゅん/白い本/大ぼけ 小ぼけ/道 □☐◇指/開く/岡本さん/ほたるぶくろ □☐◇☐機知の戦い/黒い手帳/白い蛇、赤い鳥 □☐◇☐◇高み/ヴェネツィア便り 15の短篇。一つ一つじっくり読む。一つ読み終わるたびに自分の心に湧いてくるものに目を凝らす。...続きを読むそれがほどけるまで次の一つに向かえない。
うつくしい書名、美しい表紙。そこに北村薫の名前。 いざ読み始めたら、作者には珍しいホラーであった。 おや、いつもと違う、もちろん「いつも」などというのは読者の勝手な思い込みだとわかっています。それでも、いつもと違うテイストだと思いながら、次へと進むと、なんとなく太宰治、と思いながら、どことなく三島も...続きを読む感じさせながら。 次はどんな味付けで読ませてくれる?そう思いながらページを繰るうちに、あぁ、お父さんシリーズにつながりそうなテイストを味わい、北村薫だなあとしっかり確認。最終の表題作はなんと美しく時を操ることかと、心が晴れました。読み始めは「錦繍」宮本輝を思わせます。女性の書簡体、良いですね。 荻野アンナの解説がまた秀逸。本編の作者の機知にきっちりと釣り合いの取れる機知にとんだ解説。バラエティに富んだこの本の読後を、しっかりと振り返ることができる素晴らしい解説。 この本は、書かれてある通りの順に読むのが良いかと思います。そうすると、北村薫の香りが馥郁と香ってきます。 どんどん芳香となって包んでくれます。 面白うございました。
不意にゾクっとさせられたり(そういえば、以前から時々、北村先生は静かに怖い話を出してくるのであった)、デビュー作から変わらないスタンスの文芸愛があったり。 表題作は優しい書簡体ミステリで、心地よい読後感でした。
15編の小説集だが、なにげない話が最後にはそれなりのストーリーに仕上がっていく.その過程が素晴らしい.「機知の戦い」が面白かった.寺岡教授を女性たちが取り合う話だが、話題にするアイテムが特異で驚いた.全く知らない世界だった.趣味の視点が違うのだと感じた.
掌編含むバラエティに富んだ作品集。 ぞくりとさせるものもあり、様々な色合いや味わいが楽しめます。匠の技と言うような小説の面白さが詰まっています。 過去をふと振り返るような作品も多く、初老から老齢に至る人物がメインとなるのは最近の北村作品の傾向でしょうか。
北村さんの短編は初めて読んだ。 とても短いものから、少し長めのものまで。 ホラー要素のあるもの、じんわり泣けるもの、と様々だが、どれも「時」がテーマになっている。 「白い本」 「ほたるぶくろ」 「機知の戦い」等が好み。
スキップからはじまって、覆面作家シリーズ、円紫シリーズと読み漁った私は、これを読んでる途中に「これ、北村薫?私、間違えたっけ?」と何度か表紙を見直した。 それくらい、いつもと違う。 あの北村薫さん独特の優しい文章じゃない。たまにオカルト。
案外珍しいように思われる、北村薫さんの短編集。長さもカラーもまちまちな物語が収録されていますが、バラエティー豊かと取るか雑多とみるかは人それぞれでしょうね。 冒頭の「麝香連理草」の短さと、この文字数での話の運びの上手さにまずびっくり。「開く」のような後味の悪さもちょっと珍しいと感じました。こういう...続きを読む掌編のオファーはどこから来るのだろうと興味が沸きましたが、初出一覧はありませんでした。ううむ、残念。 個人的にはやはり、いかにも北村さん的な「機知の戦い」や標題作の方がお気に入り。ちょっと変化球気味の1冊で、次は長編をじっくり読みたいです。
15篇の短編集。内容は様々にバラエティに富んでいる。 やっぱり北村さんはうまいなぁーーー。 「麝香連理草」 1Pと数行。でもきっちりとお話がある。 「誕生日 アニヴェルセール」 淡々とした中に、二人の人生が詰まっていた。 「白い本」 読んでさえもらえれば。知ってさえもらえれば。 切ないですね。...続きを読む 「開く」 じわじわじわと…最後に急加速で結末へ。怖いなぁ。 「岡本さん」 ほっこりかと思いきや、怖い。 「ヴェネツィア便り」 時がテーマの一往復の書簡。手紙を書きたくなりました。
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