北村薫のレビュー一覧

  • 中野のお父さんは謎を解くか

    Posted by ブクログ

    中野のお父さんシリーズの第2弾。1冊目に比べると近年の北村氏お得意の文学者に絡む謎を解く話が多いのですが、シリーズの軽妙さはそのままですので、肩肘張らずに読む事が出来ます。

    謎解きもさることながら、父と娘の成熟した会話劇、ほどよい距離感が素敵ですね。でもこの大人の関係が永く続かないであろうことは既にほのめかされています。そこまで書き切らないシリーズだとは思っていますが、我が家自身の経験もちょっと思い起こされて、切ない思いに駆られました。いや、何か作品の感想から離れていますが。

    0
    2023年09月10日
  • スキップ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    最後に何度言えない胸の苦しさ〜

    切なさ♪
    感じました!
    とてもいいお話でした…
    単調だけど、ほっこりしてる!

    日々仕事と育児に追われる中で、気づくと忘れてしまう♪
    心の動き。

    若いって切ない!

    自分の学生時代を思い出しました♪
    自分の子供にも、こんなキラキラした心を持って欲しいな〜.

    0
    2023年04月11日
  • 月の砂漠をさばさばと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    さきちゃんとお母さんの、温かくて、切なくて、愛情あふれる12の物語。

    寝る前のお母さんの読み聞かせにより、毎日を大切に楽しく過ごしている事が伺えて、さきちゃんの気持ちに寄り添うお母さんが容易に想像できてとても幸せになる作品でした。

    この作品を読む前に、「いなくなれ群青」という河野裕さんの作品を読んだのですが、その中の主人公 七草が自己紹介をする場面で、春の七草以外に、夏の七草、秋の七草があることを知ったんです。
    12の物語の中に「ヘビノボラズのおばあさん」のなかで、「秋の七草、藤袴」、「乾かすといい匂いがするのよ。」と話していて、なぜかおばあさんに親近感がわいたのと、覚えたての言葉が出てき

    0
    2023年03月24日
  • リセット(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    戦争が大きなテーマの一つのなっているので、途中読むのが辛くなることがあった。でも、読み終えた時に胸に広がる温かい気持ちはなんなのだろうか…決して幸せとは言えないけれど、何度も何度もめぐり合う二人に涙が出そうになった。日本版ライオンハートって感じ(こっちの方が先に出てるかな?)。

    0
    2023年03月10日
  • ターン(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    語り口が軽やかで優しく、それでいて寂しさを感じさせる素敵な小説だった。「世界に一人ぼっち」という世界観もたまらない。電話一本で声しか知らない相手との恋愛がこんなにも尊いとは…最後は誰でもニヤニヤする。

    ☆勝手にイメソン
    older(ファイブ・セカンズ・オブ・サマー)

    0
    2023年06月03日
  • スキップ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    まず読んでみて感じたこととして、女子生徒の描写が男性とは到底思えないぐらいに綿密であること。著者は1980-1993の間は男子校に在籍していたのだから、どのように女子生徒の人物像を作り上げていったのか想像できない。他の著書も女性主人公のものが多いというから驚く。奥様とかとの会話を通じて作り上げていったのだろうか?

    話の線はよくある高校生活(この学校は共学校)であるが、42歳の女性国語教師、桜木真理子の肉体に17歳の女子生徒である一ノ瀬真理子の精神が入るというだけで、これだけの物語ができるものなんだなと。まあ、桜木真理子の旦那さんも高校の国語教師というのはさすがに都合いいなとは思ったが。

    0
    2022年10月18日
  • 猫が見ていた

    Posted by ブクログ

    「ハッチは念入りに顔を洗ったあと、今度は熱心に右手を舐め始めた。だからきっと、明日は雨のち晴だ」
    うちの猫はひとりはこの部屋の隅で丸まって寝ている。もうひとりは玄関の半開きにした網戸の外で寝転んで周りを見ている。今は。
    一日中猫をさがしているような気がする。よく外に出る猫なので、顔を見ると安心する。もちろんツンデレなのでベタッとくることは滅多にない。
    この本を読んで、まあ実に作家というものはいろんな話を創り上げられる人種だと感心する。
    中でも加納朋子の作品が気に入った。はじめて知った作家だが何か読んでみよう。

    0
    2022年09月12日
  • 中野のお父さんは謎を解くか

    Posted by ブクログ

    このくらいのミステリーが自分にとってちょうどいい!とてもいい。
    言葉のやり取りのテンポやユーモアセンスもほんのりしてるし、
    人が死なない、シリアスほとんどない。
    人間関係ストレスない、ハラハラしない。

    扱っているテーマは昭和文学が中心。
    新しい知識も増える。
    文学に詳しくない自分でもおもしろい。

    米澤穂信氏の名前がちょっと出てきて嬉しかった。
    作家さん同士の横のつながりってよく分からないけど、
    多かれ少なかれ交流があるのが両方好きな作家さんだとなんか幸せ。

    0
    2022年09月03日
  • スキップ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この本は私の大切なバイブルです。

    17歳の真理子が生きるのは昭和40年代
    そこから25年の時を飛び超える。

    この文庫版の発行は平成11年
    その時から20年以上の時が経っている。令和の今。

    時代は全く違うのに、古さを感じさせないのはどうしてだろう。
    上手くいくことばっかりじゃないでしょう。
    でも、私は進む。
    この顔をぐいっと上げる強さが、憧れであり、私の背中を押してくれる気がする。
    アラフォーの今、学生時代に読んだこの本を、この夏休みにもう一度読んで良かった。

    0
    2022年08月13日
  • ターン(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    何度も読んでいる好きな本のうちの一つ。
    優しい語り口で、2人の人間性が映し出されているようで気持ちいい。
    良質なエッセイを読んでいるような感覚にも似てる。

    0
    2022年05月14日
  • スキップ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    北村薫さんの「時と人」三部作の一作目。

    17歳だった主人公が、いつのまにか起きたら25年をスキップして42歳の自分になっていて、”同い年”の子供がいる。。

    こう書くとSFっぽい感じがしますが、北村さんの小説はうまく日常に溶け込んでいて、SF感がないところも好き

    0
    2022年03月08日
  • 月の砂漠をさばさばと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    9歳のさきちゃんとお母さんとの日常を描いた短編集。

    良かった。
    暖かく、優しく、ユーモアに溢れた、さきちゃんとお母さんの日常に心が和む。
    さきちゃんの子供ならではの疑問、質問に対するお母さんの柔らかくユニークな返しが面白い。
    作家のお母さんがとてもユニークなんだけど、ちゃんとさきちゃんのことを見て、想っている描写に愛情が感じられる。
    ほんわかな雰囲気で描かれた日常に柔らかく微笑ましいイラストが良くマッチする。
    特に「さばのみそ煮」と「連絡帳」が好き

    0
    2021年11月04日
  • リセット(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「スキップ」「ターン」と来て、最後が何とも不吉な「リセット」になるのだが…前2作と比べて全く時間に変化が起こらない…。第2部になっても兆候が見られなかったのだが、突然襲い掛かってくる「リセット」要素がかなり衝撃。

    タイトル回収まで時間がかかるのと、伏線や匂わせを多々散りばめさせているのも、前2作との相違点となっていて、ガラリと印象が変わる。

    ただこの作者は物事がそうなるまでの「過程」を非常に描いており、中には伏線でも何でもないただの「脇道」にそれるような描写もあるのだが、それが逆に「一人の人間がしっかり存在している」という雄弁な証になっている。

    正直オチは途中で読めてしまったが、(頼むぞ

    0
    2021年08月14日
  • 空飛ぶ馬

    Posted by ブクログ

    原作を読んだ後の爽やかな読後感をまた味わえるとは…。
    ぜひ「円紫さんと私シリーズ」続編をお願いいたします!

    1
    2021年04月30日
  • 自分だけの一冊―北村薫のアンソロジー教室―

    Posted by ブクログ

     ワークショップのワクワク感が伝わってくる語り口。
     小学生の頃、すでにアンソロジーを編んでいる。恐るべき子ども。

    0
    2021年03月23日
  • ターン(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時と人シリーズ2冊目。銅版画家の真希が交通事故に会い、生きているのか、死んでいるのか、分からない。1日過ごすと何故か15時15分にその日へ舞い戻る。しかも誰もいない世界。150日目に真希の下に電話がかかり、現実世界の1人の男性・泉との会話が始まる。主人公・真希の潔癖性と泉への強烈なカタルシスが真希の可愛らしさを表現していたのだが、その一方で、これまでの母親との薄い関係性が母との愛情を深くした。最初から登場する「君」の存在、最後の眼を開けた瞬間、君達同士の印象はどうだったのだろうか。

    まさかとは思うけど、泉さん、柿崎の病室に行っていないよね?まさか、行ってしまったのか?

    0
    2021年01月23日
  • スキップ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2021年1発目。どうせ「夢オチだろう?」と高を括っていたが高級感抜群。昭和40年頃、女子高生の一ノ瀬真理子が目が覚めると42歳になっていた。真理子は高校の国語の教師であり、夫と17歳の娘がいる。真理子は未来の自分に負けたくない一心で高校教師を勤める。夫、娘の理解と協力によって、試験問題作成、担任、部活、文化祭など悪戦苦闘するが、自分らしく勤める。本当なら17歳の真理子の健気さをいつの間にか応援している。ただ両親が亡くなっており二度と会えない真理子が、夫と再度の恋に落ちる乙女の姿にジーンとなった。

    0
    2021年01月01日
  • ヴェネツィア便り(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「時と人」を描く短編集
    いかにも北村薫氏らしい作品から、ちょっとホラーテイストなモノもあり、かなり楽しめる短編集でした。
    やはり私は北村氏の作品を読んでいる時間が好きなんだ・・・と改めて認識しました(^_^;)

    0
    2020年12月03日
  • ヴェネツィア便り(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    □麝香連理草/誕生日 アニヴェルセール
    □☐くしゅん/白い本/大ぼけ 小ぼけ/道
    □☐◇指/開く/岡本さん/ほたるぶくろ
    □☐◇☐機知の戦い/黒い手帳/白い蛇、赤い鳥
    □☐◇☐◇高み/ヴェネツィア便り

    15の短篇。一つ一つじっくり読む。一つ読み終わるたびに自分の心に湧いてくるものに目を凝らす。それがほどけるまで次の一つに向かえない。

    0
    2020年12月02日
  • 中野のお父さん

    Posted by ブクログ

    電車内や病院の待合室なんかでサクッと読める本を探していたとき出会いましたね。
    サクッと読めちゃって物足りないのですが 面白かったです。
    とても不思議で難解な事件であっても 見方や立場を変えてみると、なんて事はない普通の出来事だったりするもんなんだなぁ〜と関心しました。中野のお父さんは本をたくさん読んでいて内容もしっかり覚えていて面白い人 娘も親孝行とかいいながらあれやこれやと話を聞いてもらいに行っている。微笑ましい話です。

    0
    2020年10月29日