北村薫のレビュー一覧
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さきちゃんとお母さんの、温かくて、切なくて、愛情あふれる12の物語。
寝る前のお母さんの読み聞かせにより、毎日を大切に楽しく過ごしている事が伺えて、さきちゃんの気持ちに寄り添うお母さんが容易に想像できてとても幸せになる作品でした。
この作品を読む前に、「いなくなれ群青」という河野裕さんの作品を読んだのですが、その中の主人公 七草が自己紹介をする場面で、春の七草以外に、夏の七草、秋の七草があることを知ったんです。
12の物語の中に「ヘビノボラズのおばあさん」のなかで、「秋の七草、藤袴」、「乾かすといい匂いがするのよ。」と話していて、なぜかおばあさんに親近感がわいたのと、覚えたての言葉が出てき -
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ネタバレまず読んでみて感じたこととして、女子生徒の描写が男性とは到底思えないぐらいに綿密であること。著者は1980-1993の間は男子校に在籍していたのだから、どのように女子生徒の人物像を作り上げていったのか想像できない。他の著書も女性主人公のものが多いというから驚く。奥様とかとの会話を通じて作り上げていったのだろうか?
話の線はよくある高校生活(この学校は共学校)であるが、42歳の女性国語教師、桜木真理子の肉体に17歳の女子生徒である一ノ瀬真理子の精神が入るというだけで、これだけの物語ができるものなんだなと。まあ、桜木真理子の旦那さんも高校の国語教師というのはさすがに都合いいなとは思ったが。
一 -
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「スキップ」「ターン」と来て、最後が何とも不吉な「リセット」になるのだが…前2作と比べて全く時間に変化が起こらない…。第2部になっても兆候が見られなかったのだが、突然襲い掛かってくる「リセット」要素がかなり衝撃。
タイトル回収まで時間がかかるのと、伏線や匂わせを多々散りばめさせているのも、前2作との相違点となっていて、ガラリと印象が変わる。
ただこの作者は物事がそうなるまでの「過程」を非常に描いており、中には伏線でも何でもないただの「脇道」にそれるような描写もあるのだが、それが逆に「一人の人間がしっかり存在している」という雄弁な証になっている。
正直オチは途中で読めてしまったが、(頼むぞ -
- カート
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試し読み
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ネタバレ時と人シリーズ2冊目。銅版画家の真希が交通事故に会い、生きているのか、死んでいるのか、分からない。1日過ごすと何故か15時15分にその日へ舞い戻る。しかも誰もいない世界。150日目に真希の下に電話がかかり、現実世界の1人の男性・泉との会話が始まる。主人公・真希の潔癖性と泉への強烈なカタルシスが真希の可愛らしさを表現していたのだが、その一方で、これまでの母親との薄い関係性が母との愛情を深くした。最初から登場する「君」の存在、最後の眼を開けた瞬間、君達同士の印象はどうだったのだろうか。
まさかとは思うけど、泉さん、柿崎の病室に行っていないよね?まさか、行ってしまったのか?