北村薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
二十年ぶりくらいの再読。中学校生活という変わらない毎日(今にして思えばなんて貴重で密度の濃い時間)にうんざりしていた十三歳のとき、あらすじに惹かれて読んで、それからずっと宝物のように大事に思ってきた一冊。
主人公の真希は、交通事故が原因で"くるりん"という輪の中に放り出され、七月のとある日から抜け出せずターンし続けることになってしまった。
あんなに大人に思えた彼女よりも歳上になって、それでもあの当時と変わらないぐらいの瑞々しさを味わえたことが嬉しかった。
それと、電話がつながった相手である泉さんが、これほどまでに救いだったとは。真希にとって大きなよりどころであり、無人島から脱出するための一艘のボートであり、繋がりを示す命綱でもある。
まだ会ったことがないながらも、すでに唯一無二である二人の関係性が愛おしく、これまで憧れてきたものはここにあったのかと感じた。
"時"という流れのなかで、私たちはちっぽけな存在だ。
抗えない絶対的なものに身を任せることしかできないように思えてしまうけれど、どのようにその日を生きるか、その日をどんな一日にできるのかは自分次第。
どれだけ変わらないと思っている日々でも季節は移ろいゆくし、その逆に、何年の月日が経っても変わらずに残るものもある。
十三歳のときにはそこまで理解できていなかったとしても、本作にたどりついたこと、読んで心に残ったという事実は今もなお影響を与え続け、これから先もずっと残る。
私もいつのまにやら、"くるりん"から抜け出していたようだ。 -
Posted by ブクログ
571ページ
743円
10月8日〜10月11日
昭和40年代の初め。一ノ瀬真理子は17歳、高校2年生。大雨で運動会の後半が中止になった夕方、家の8畳間で一人、レコードをかけて目を閉じた。目が覚めると、桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。娘と夫に協力してもらいながら、今を懸命に生きる真理子。
タイムスリップもののSFかと思いきや、タイトル通りスキップ、真理子の早送りされた人生の物語だった。いつか戻れるのか、42歳のこれまで生きていた真理子の行方は、などアナザーストーリーも気になる。人生は足し算かと思いきや、引き算だということに、はっとさせられる。そんな風に思っていなかったけれど、確かにそうだと思った。『昨日という日があったらしい。明日という日があるらしい。だが、私には今がある』の言葉に、真理子の強さを感じた。 -
Posted by ブクログ
さきちゃんとお母さんの、温かくて、切なくて、愛情あふれる12の物語。
寝る前のお母さんの読み聞かせにより、毎日を大切に楽しく過ごしている事が伺えて、さきちゃんの気持ちに寄り添うお母さんが容易に想像できてとても幸せになる作品でした。
この作品を読む前に、「いなくなれ群青」という河野裕さんの作品を読んだのですが、その中の主人公 七草が自己紹介をする場面で、春の七草以外に、夏の七草、秋の七草があることを知ったんです。
12の物語の中に「ヘビノボラズのおばあさん」のなかで、「秋の七草、藤袴」、「乾かすといい匂いがするのよ。」と話していて、なぜかおばあさんに親近感がわいたのと、覚えたての言葉が出てきて嬉しくなりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまず読んでみて感じたこととして、女子生徒の描写が男性とは到底思えないぐらいに綿密であること。著者は1980-1993の間は男子校に在籍していたのだから、どのように女子生徒の人物像を作り上げていったのか想像できない。他の著書も女性主人公のものが多いというから驚く。奥様とかとの会話を通じて作り上げていったのだろうか?
話の線はよくある高校生活(この学校は共学校)であるが、42歳の女性国語教師、桜木真理子の肉体に17歳の女子生徒である一ノ瀬真理子の精神が入るというだけで、これだけの物語ができるものなんだなと。まあ、桜木真理子の旦那さんも高校の国語教師というのはさすがに都合いいなとは思ったが。
一つ印象的なシーンとして、桜木真理子は話の中でほぼおばさんの扱いであるのだが、1人の男子高校生が桜木真理子に好意を表したこと。桜木真理子自身、その男子高校生にほのかな好意を感じていたのだが、それはともかく、男子高校生は桜木真理子の精神(17歳の一ノ瀬真理子)に惹かれたのか、それとも桜木真理子の全て(42歳のトータルの桜木真理子)に惹かれたのか。
私は前者の要素は含みつつも、基本的に後者なのではと考えている。人は異性の精神を愛するのか、それとも外見中心で愛しているのか。私に置き換えて考えると、基本的に妻の精神を愛しているつもりだが、外見も含めて愛している可能性もないとはいえない。なお、妻は同い年だが、これが仮に小説のように25歳の年の差(相手が上でも下でも)であればまだ愛せる可能性はあるかもしれないが、さすがにこれが40歳差だと愛せないだろう。これはすなわち外見含めて相手を評価、要はトータルで愛しているということだ。
あと、元の桜木真理子の精神は結局どこに行ったのか?というところが結局分からずもどかしさのようなものを感じざるを得ない。消えることなく17歳の一ノ瀬真理子に入れ替わってるなら良いのだが。