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Posted by ブクログ
「スキップ」「ターン」と来て、最後が何とも不吉な「リセット」になるのだが…前2作と比べて全く時間に変化が起こらない…。第2部になっても兆候が見られなかったのだが、突然襲い掛かってくる「リセット」要素がかなり衝撃。
タイトル回収まで時間がかかるのと、伏線や匂わせを多々散りばめさせているのも、前2作との相違点となっていて、ガラリと印象が変わる。
ただこの作者は物事がそうなるまでの「過程」を非常に描いており、中には伏線でも何でもないただの「脇道」にそれるような描写もあるのだが、それが逆に「一人の人間がしっかり存在している」という雄弁な証になっている。
正直オチは途中で読めてしまったが、(頼むぞ…変なことしないで、頼むぞ…)という良い意味での期待をしっかり裏切らずに成就させてくれて嬉しい。
Posted by ブクログ
流星群。フライパン返し。切手。列車の事故。麦畑。
高校の時に読んで以来、時折パッと灯が点いたようにこれらの場面を思い出していた。
どちらかと言えば、一回限りでは内容を忘れてしまうことの多い私にとって、これは珍しいことだ。
裏を返せば、本を読み返さずとも反芻してしまうくらい、強く印象に残った話だったということなのだろう。
この度、ようやく、再読の機会を得た。
細部まで記憶していただけに、「高校の時の読後感を再確認する」というくらいのつもりで読み始めたのだが、そうはならなかった。
年かさが増し、色々な知識を得た結果だろうか。
以前は二人の恋の行く末に目が行っていた。
だから、どこか時を隔てても結びつく二人に「羨ましい」とさえ感じていたのだけれど、今回は「子どもたちを、こんな目にあわせてはいけない」という思いが、自分でも驚くほど強かった。
戦争が、子どもたちから教育を奪っていく。
主人公やその周囲はどちからといえば裕福で、お嬢様学校に通っていただけあってギリギリまで恵まれた学習環境にいた。
それなのに、いや、もしかすると、だからこそ。
少し前には雑誌の付録のカルタで遊んでいた少女たちが、テニスで遊んだ後にレモネードで喉を潤していた彼女たちが。
飛行機の組み立てに参加する、尊敬する兄を隊内の暴力により亡くし絶望する、その落差に、やるせなさを覚えずにはいられなかった。
確かに、何度も巡り会う運命は、とても美しいものだ。
けれど、そうせずにはいられなかった運命は、決して歓迎されるべきではない。
お互いの感情の行き違いではなく、「そうせざるを得なかった」というのだけは、絶対に、繰り返してはいけないと思うのだ。
たぶん、当たり前のことなのだけれど。
本は、同じものでも毎回違った印象を与えてくれる。
それを改めて実感した、今回の再読だった。
Posted by ブクログ
時と人シリーズ三部作、ついに完結!
前作『スキップ』では時間を奪われ、『ターン』では同じ時間に閉じ込められた。完結編の『リセット』では、一体どのような形で時間に翻弄されるのだろう――。そんな期待に胸を膨らませつつページをめくった。
物語の背景にあるのは意外にも、太平洋戦争だ。昭和初期のモダンな日常が戦争によってじわじわと壊されていく過程が丁寧に描かれ、理不尽に奪われた生、叶わなかった想いの重みが、ひしひしと心に刺さる。
そんな中、啄木カルタや木下夕爾の詩、ドイツの歌を「合言葉」にして、時を超え再会する二人の姿には胸が熱くなった。
特に啄木の「かの時に言いそびれたる 大切の言葉は今も 胸にのこれど」という一首は、もう、二人の想いをそのまま歌にしたようで、たまらなく切なく感じてしまう。ただの再会ではなく、こうした歌や詩が再会の「鍵」になっているのが、なんとも北村薫さんらしくロマンチックではないか。
後半、黄金色の麦畑で二人が向き合うシーン。それはまるで『風の谷のナウシカ』のナウシカが、金色の野に降り立つ奇跡を見ているようで、嬉しさと感動で心が震えた。
私は見たことはないが、33年周期の獅子座流星群のように、一度「リセット」されても、大切な人と必ず巡り合える――。修一の「また会えたね」の言葉がそんな奇跡を信じたくなる。
冒頭の「星です。私の最初の記憶は流れる星なのです」から始まり、ラスト家族で見上げる流星群。「そして時は流れ星は巡りつづける」という結び。
ふと夜空を見上げた時、「独りじゃない、また巡り会える」と思わせてくれる、最高のハッピーエンドだった。
引用される詩や歌、本のひとつひとつが祈りや願いとなり強く心に残る一冊。シリーズ完結に相応しい壮大な物語だった。
三部作のなかでわたしはこの作品が一番好きかも。
「リセット」について
この「リセット」は、北村薫さんの「時と人の三部作」の第3弾で、これで完結ですね。
「スキップ」では未来へのタイムスリップ、「ターン」では同じ時の繰り返しが描かれたのですが、この「リセット」はどうなるのだろうと、とても楽しみにしていた作品です。
しかし、開いてみると、戦前のお嬢様の生活描写がつらつらと続き、さらに時代は戦争に突入。
北村薫さんの文章なので読みづらいということはなかったのですが、正直この手の話は苦手なので、最初はどうなることかと思いました。
ごく普通の淡々とした日常が描かれ、恋の予感などはあるものの、特に何も起こりません。
さらに第2部に入ってみると、私だけかもしれないのですが、今度は一体誰の話をしているのかもよく分からないのです。
しかし、第2部の終わり間際からは、いきなり話が進み始めます。
それまでの淡々とした描写は、すべてその必要があってのことだったんですね。
それらの細かい描写が伏線として後半に生かされて、じわりじわりと効いてきます。
そして読んでいる側は、何時の間にか自分のことのようにすっかり感情移入してしまう。
北村薫さんの筆力をまざまざと感じさせられてしまいます。中でもホットケーキのシーンは凄いですね。
小道具の使い方もさすがです。上手すぎます。
「想いは時を越える、希いはきっと、かなえられる-----」ラストはお見事ですね。
切なさが一転して幸福感に包まれます。
読みながら途中ずっと、「リセット」という題名は、一体何を意味するんだろうと思っていたのですが、全てが腑に落ちた時、これ以上の題名はないと分かります。
とても素敵な物語でした。
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