北村薫のレビュー一覧
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老舗出版社「文宝出版(ぶんぽうしゅっぱん)」で編集者を務める、田川美希(たがわ みき)と、中野の実家に住む、高校教師のお父さんのシリーズ、第4弾。
前作あたりから、軽やかな謎解きではなく、本の名前や作者の名前、落語の話や落語家の名前が芋蔓式に出てくるうんちく語りが長くなって、頭が追いつかない。
美希もだいぶベテラン編集者の部類に入ってきたようで、後輩の新人・柴田李花(しばた りか)が新しく登場。
今回、うんちくの語り手は増えて、大作家の村山富美男(むらやま ふみお)先生と、『小説文宝』に登場する作家中最年長の原島博(はらしま ひろし)先生も加わり、お父さんと三つ巴のうんちく合戦となった。
美 -
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前作よりも作家がらみの謎と蘊蓄が山盛りに増えて、北村薫作品らしさが溢れていた。
作品の内容とは関係なく
「煮詰まる」と言う表現が「思考が行き詰まって先に進まない」と言うようなマイナスイメージな意味に使われていた。
私は「煮詰まる」と言う表現は、話し合いなどが充分になされて結論が出そうになっている良い状況の意味に使うのが正しく、最近よく聞くマイナスイメージでの使用は意味を知らない人が誤用して、テレビ、ラジオで広まってしまったものだと思っていましたが、北村薫氏がそんな事をするだろうか?
今は便利だ。
ネットですぐに調べられる。
曰く、現在は広辞苑でもマイナスイメージでの解釈も載っているとのこと。 -
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今回は特に、日本文学界のいまは亡き作家達にまつわる文学ミステリーがテーマだった。
美希が担当する作家のなかに、中野のお父さんと同じく古書店巡りが好きな先生が登場したのも、良かった。
いつか、お父さんと直接会ってほしいなぁ。
中野のお父さん、今作では倒れて入院。
健康面に心配が出始めるお年頃である。
美希に質問されると、迷いなく数冊の本を持ってきて、解説してくれるお父さん。
北村薫さんの知識量すごいな!と思いながら読み進めた。
「お稲荷さん」が「大いなる遺産」とは、声に出して笑った。
100万回生きた猫は絶望の書なのか、にタイトルが登場した「子供時代に好きだった本たち」。メモりましたとも。今 -
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読み始めてしばらくは状況を把握するのに戸惑う。
物語の中の主人公と同じである。
読者の私は前編にわたってこのような調子で状況説明が続くのだろうかと、危うく本を閉じてしまいそうになる。
けれど「こちら」と「あちら」が一本の電話で繋がると話は一気に面白くなる。
本を閉じずによかった。
第9章のp3368行目から
「〜愛している片方が、夢をあきらめて、その代わり自分べったりになってくれるとしたら、そんなの我慢できないはずですよね。」と言う文章、以下まだ続くのですが、
コレ私が以前観た映画「ララランド」の主人公が、自分が彼女から離れて彼女が夢を叶えることに全力をそそげるようにしてあげるのが本当の愛だ -
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こういう設定、考えた事なかったなあ。
17歳の女子高生が一瞬で42歳の高校教師になってしまう。タイムリープではない。
25年後の世界に現存する1人となって溶け込んでいる。
そんな状況に色々と無理ではないかという事象はあるのだけれど、本作の設定自体実際には無理なのだろうから仕方ない。
実態は17歳の女子高生がスキップ先の時代で必要に迫られて高校3年生の国語の授業をする。
この高校教師が本物の中堅教師でもなかなかできそうにないかなり深みと味わいのある授業をしてのけるのが不思議なのだが、読者としてはいつしか1人の優秀な教師を見ている気になる。
そこで想像するのは主人公の女子高生本人自身かなり優秀な高 -
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学生のころ、3部作読みたいなぁと思って
20年くらい経って。ふと思い出して読んでみた。
前半のゆっくりした時間の流れから一転、
後半の特に柿崎が出てきてからのストーリーは
手に汗握る、緊張の展開でおもしろかった!
自分が柿崎と二人だったらと思うと
背中に冷や汗が流れた。。怖すぎる。。
あたまの中の彼のことは、よく分からなかったけど…物語の随所に作者の伝えたいメッセージが込められていて。
特に、好きな人が好きなこと・大事なものを捨てて、自分のとこへ来てくれても…果たしてそれは、自分が愛したその人なのか?というくだりは、はっとさせられた。好きな人を大事に思うということは、そういう事なんだと -
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シリーズ2作目。
体力自慢の文芸編集者、美希が日々の仕事で遭遇する謎を、中野の実家のお父さんが鮮やかに解決する。
ワクワクしながら、本書を手にする。
でも、「中野のお父さんは謎を解くか」というタイトルはやや不思議。
だって、解くに決まってるんでしょ?
そうして目次を開く。
全ての章題が疑問文なのだ。
統一を図った―というのもあるが、もう一つはお父さんが倒れてしまうから、かな。
病床から謎は解けるのか、ということか。
今回は太宰の「春の盗賊」に出てくる「ガスコン兵」とは何かを紐解く「ガスコン兵はどこから来たか」が印象に残った。
たぶん「春の盗賊」、昔読んだ気がするが…
ガスコン兵以前に、