北村薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ時と人3部作、最後の1作。
前作、前々作とは雰囲気が全然違った。
今までは戦後の話で、割と現代に近い感じだったが、今作は戦中戦後すぐ、くらいの話だったので、いまいちピンと来ない面もあったが……
やはりすごいなと思ったのが、物語の語り手の書き分けが見事。第一部は女子、第二部は男子。
北村薫自身は男性であり、前作前々作でも感じたが、女性の気持ちを書くのがとてもうまいと思った。
第二部はカッコ書きのセリフや日記部分が多く、少し読みづらいかも知れないが、そこを過ぎて第三部まで行くと……
途中、思わず「きゅん」としてしまったセリフがあったのだが……その後の展開で切なくなってしまった。
ここまで読んであれだが、わたしはスキップが一番好きだな -
Posted by ブクログ
時と人3部作、完結。
第1章は、昭和ヒトケタの芦屋のお嬢さん。子供の頃に出合った運命の人。太平洋戦争に突入してゆく世の中に巻き込まれ、別れを迎える。
第2章の主人公は昭和30年の子供時代を語る。
スキップやターンのような「事」は、読み進めて半ば過ぎても起こらない。その後、たぶん、こういう話になるかなと考えてたら、そのままだった。
ひねりが無いというか、「事」が起こる必然性もあまり無い。
二度の再会、つまり真澄さんと和彦君の出会い、和彦君と真知子さんの出会いは、都合良過ぎじゃないのか。それに記憶があっても、人格は別なのではないのか。それを運命と云っていいのだろうか。
そんな文句の付け処はあるけれど、でも、さほど不満を感じず、物語を楽しむことが出来た。
真澄さんの体験した学徒勤労動員の話は父母から聞かされていたし、和彦君の子供時代は、僕自身の少年期を思い出させてくれた。神は細部に宿るというが、その細部の一つ一つに胸を突かれる思いがする。
僕自身の子供の頃、スーパーなんて無いから、野菜は八百屋で買い、肉は肉屋で買っていた。豆腐売りから豆腐買っていた記憶はないけど(子供だから寝ていたのかな)、街で豆腐屋のラッパか鈴をつけた自転車を見掛けていた。そんなことを思い出しながら、読み進めた。
ただ、若い読者には無駄が多いと感じるかもしれない。
(引用)
ー帝国と我々ではなかったのか。それでは、どうして皆な、帝国と共に滅びないのか。
八千代さんには申し訳ありませんが、最悪の時に、最悪の人から、最悪の言葉をかけられたとしか、言いようがありません。
この著者の断罪の言葉が胸に刺さった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ心は17歳のまま25年後にタイムスリップした「一ノ瀬真理子」は、外見の変化と夫や自分と同い年の娘がいることに驚き戸惑い失望する毎日でしたが、自分が高校の国語教師だと知ってからは教師「桜木真理子」として過ごすことに懸命になります。
正直に言いますと、外見を過剰に気にしたり、中年の夫に嫌悪感を示してばかりの描写が続いた冒頭は、真理子へのイライラが募りましたが、腰を据えて教師として奮闘するようになってからは「桜木真理子」がたくましくてとても魅力的な女性だと思えるようになりました。
「桜木真理子」のご主人が「一ノ瀬真理子」に向けて言った「どうにもならないことっていうのは誰にでもある。歯がみして地団駄踏みたいことは。そこでどうするかが、人の値打ちじゃないか」という台詞が強く印象に残りました。