北村薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ作者の北村薫さん、男性ってほんとに?
女性の心情がどうしてこんなに描けるのか
本当に信じられない。。
スキップして17歳から20代、30代の大切な時間を飛び越えてしまった主人公。
経験できずに過ぎ去った時間、気がつけば大切な人たちを失っている現実、そして自分自身の喪失⋯むごい。どうにもならない。苦しい。
どうするんだろ、どうなるんだろと
読み進めても、なかなか戻る気配もない。
それどころか
今の自分で、教師としての役目を果たそうと頑張り始める。
途中、生徒たちとの日常描写が長く続き
どこか脱線したような感じで、かなり焦れたけど最後に納得した。
主人公は
生徒達と一緒に17歳の今を駆け -
Posted by ブクログ
9歳のさきちゃんと作家のお母さんとの毎日の生活を覗いてみたら…。
2人の会話がまるでお話を紡いでいるかのようで…。
少女とお母さんの12の物語。
「くまの名前」から始まり、「聞きまちがい」もあるあるだなぁとほっこりさせられた。
「ヘビノボラズのおばあさん」も優しくて好きな話。
「さばのみそ煮」を作っているときにお母さんが歌い出したのが、このタイトルになったのか…と。
「月のー砂漠を さーばさばと さーばのーみそ煮が
ゆーきました」
「猫が飼いたい」は、ちょっと哀しくなる話。
とても温かくて優しくて楽しさもあって、ずっとこの母子を見ていたいと思った。
2人の会話の何気なさも雰囲気もとても感じ -
Posted by ブクログ
今年読んだ本の中で間違いなく1番面白く、読み終わった後2周してしまった。
まずストーリー展開が引き込まれる上に、「日々の繰り返しを不毛と思わずに、一瞬一瞬を大切に生きる」というテーマが心に響く。
初めは読みづらい文体(地の文が「君は〜する」なところ)だと思ったけど、それにもちゃんと仕掛けがあってえー!となったり、他にも母の主人公を思うセリフが胸を打って涙してしまったり。
泉さんの、「ピザなんかも飽きたりするけど結局戻ってくる。(森さんとの会話も)そういうことってあるよ」「面と向かってるのに会っていない人なんてたくさんいる」という考え方が素敵だと思った。 -
Posted by ブクログ
学生時代に著者の『六の宮の姫君』を読んだ際には全く理解できなかったが、数年経って読み返したら度肝を抜かれた。文学ミステリーというこれまで無かった存在に気づいたからだ。面白すぎる。日常の謎というジャンルを作った北村薫さんがさらに文学ミステリーという触れたことのないジャンルの物語を紡いでおり、呆然とした。
本作では菊池寛や太宰治といった文豪だけでなく、落語会から古今亭志ん生や、アニメーターの望月智充さん、将棋の先崎さんや室屋さん等が縦横無尽に登場する。なんて知的好奇心を揺さぶられるシリーズなのだろうか。
じっくりとちゃんと理解できるまで咀嚼しながら読む時間が取れたので、心から楽しめた一冊。感受性と -
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二十年ぶりくらいの再読。中学校生活という変わらない毎日(今にして思えばなんて貴重で密度の濃い時間)にうんざりしていた十三歳のとき、あらすじに惹かれて読んで、それからずっと宝物のように大事に思ってきた一冊。
主人公の真希は、交通事故が原因で"くるりん"という輪の中に放り出され、七月のとある日から抜け出せずターンし続けることになってしまった。
あんなに大人に思えた彼女よりも歳上になって、それでもあの当時と変わらないぐらいの瑞々しさを味わえたことが嬉しかった。
それと、電話がつながった相手である泉さんが、これほどまでに救いだったとは。真希にとって大きなよりどころであり、無人島か -
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571ページ
743円
10月8日〜10月11日
昭和40年代の初め。一ノ瀬真理子は17歳、高校2年生。大雨で運動会の後半が中止になった夕方、家の8畳間で一人、レコードをかけて目を閉じた。目が覚めると、桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。娘と夫に協力してもらいながら、今を懸命に生きる真理子。
タイムスリップもののSFかと思いきや、タイトル通りスキップ、真理子の早送りされた人生の物語だった。いつか戻れるのか、42歳のこれまで生きていた真理子の行方は、などアナザーストーリーも気になる。人生は足し算かと思いきや、引き算だということに、はっとさせられる。そんな風に思っていなかった