あらすじ
記憶の底の事物や、ふと感じる違和感にも《美しい謎》をみつける作家の日常に、《ものがたり》誕生の秘密を垣間見る――。独自の読みどころを教えてくれる、おすすめ本の書評、装幀の魅力、父の日記、愛猫ゆずとの日々など、1990年代から2005年までの書評と随筆を収録。《時と人》を結ぶ読書の愉悦を共有できる、滋味あふれるエッセイ集。
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Posted by ブクログ
エッセイにはだいぶ以前のものも含まれているので「今とは状況が違う」と時折驚かされた。
北村さんの小説「スキップ」でも幾つかエピソードになっていたが、我々の生活の色々なことが変わっていくものである。
北村さんの書評関連の文章はどの本も魅力的に感じられる。
自分が読んだ本があれば頷き、読んだことのない本には、どんなに面白い本なんだろうか?とおいしそうな料理の写真を見せられた気分だ。
お子様とのエピソードも飼い猫についての文章も、お父様の学生時代への想いも、優しく温かい。
また、151ページからの「楽しみの年輪」は、読書の楽しみ、人の想像力と解釈、意味のある学び、年を重ねるごとの楽しみと、若い人に世界を魅力的に見せる。
個人的には150ページの「島崎藤村全集 推薦の言葉」で『大谷崎や鏡花の本を開くと、どの行もどの活字ひとつも谷崎であり鏡花です。そこに喜びがあります。』と鏡花の名を見て嬉しくなった。藤村の全集のための文章ではあるのだけれど。
Posted by ブクログ
本とミステリとネコと落語と・・・著者の教養と優しさと時々山椒のようなピリリとが効いたまさしく「書かずにはいられない」といったエッセイ。
高野文子さんにまつわる話が好きです。
お言葉は帯にも選ばれているあとがきの言葉
▲年月が流れ、さまざまなものを失いました。
過ぎ去ったあれこれは鮮やかによみがえってきます。愛するものたちは、わたしの内から失われることはありません。そしてまた、何百年前の人たちとでも会わせてくれる《本》は、まさにひとつの航時機(タイムマシン)ともいえます。▲