【感想・ネタバレ】中野のお父さんの快刀乱麻のレビュー

あらすじ

出版社の日常に潜む「謎」に挑む人気シリーズ第3弾!

高校国語教師で愛書家の「お父さん」と、
娘で体育会系文芸編集者・田川美希(「小説文宝」編集部勤務)の
“名探偵コンビ”が、またまた大活躍。


■「大岡昇平の真相告白」
ベストセラー小説『武蔵野夫人』という題名に「夫人」と付けたのは誰か。
名作誕生の裏側にあった秘話。

■「古今亭志ん生の天衣無縫」
“自由人”は表向きの姿? 「蚊帳売りの詐欺師」のエピソードから
志ん生の意外な一面が明らかになっていく。

■「小津安二郎の義理人情」
小津映画の原作者としても知られる作家・里見とん。
しかし、原作と映画の内容があまりに違いすぎる……。

■「瀬戸川猛資の空中庭園」
ミステリと映画の評論で鋭い著作を残した瀬戸川。
彼が学生時代に書いた映画『動く標的』の評論と映像を比べてみると……。

■「菊池寛の将棋小説」
異色の作品で出会った江戸時代の棋譜の謎。
先崎学九段と室谷由紀女流三段が読み解いていくと……。

■「古今亭志ん朝の一期一会」
落語「三軒長屋」のCDを探す未亡人が、本当に聞きたかった音とは?
資料と音源を探っていった先に見えた真実。

父と娘のユーモアたっぷりの会話から、名推理が生まれていきます。

解説=荻野アンナ(作家)

単行本 2021年11月 文藝春秋刊
文庫版 2024年11月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

中野のお父さんシリーズでは、一番好きかも。
読みやすいけれど、内容をちゃんと理解するのは難しい。でも知りたい!
また私の中の北村薫さんブームがきました!

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

学生時代に著者の『六の宮の姫君』を読んだ際には全く理解できなかったが、数年経って読み返したら度肝を抜かれた。文学ミステリーというこれまで無かった存在に気づいたからだ。面白すぎる。日常の謎というジャンルを作った北村薫さんがさらに文学ミステリーという触れたことのないジャンルの物語を紡いでおり、呆然とした
本作では菊池寛や太宰治といった文豪だけでなく、落語会から古今亭志ん生や、アニメーターの望月智充さん、将棋の先崎さんや室屋さん等が縦横無尽に登場する。なんて知的好奇心を揺さぶられるシリーズなのだろうか。
じっくりとちゃんと理解できるまで咀嚼しながら読む時間が取れたので、心から楽しめた一冊。感受性と知識欲が今よりあった頃に読んだら、さらに響いただろうと悔しい気持ちになりながら、それでも満足できる素敵な物語だった。

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2024年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「大岡昇平の真相告白」「古今亭志ん生の天衣無縫」
「小津安二郎の義理人情」「瀬戸川猛資の空中庭園」
「菊池寛の将棋小説」「古今亭志ん朝の一期一会」

毎回面白い。今回は落語のお話が多かった。落語も好きだけど、小説の話が好み。毎度、色んな本が読みたくなる。『動く標的』を見たことが無いから見てみたいな〜

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

自分の中では、このシリーズは「鉄板」である。
今月はとにかく忙しいので、新しい知り合いを作るというより、知り合いに会いに行くような気持ちで本書を手にする。

文芸編集者の美希とそのお父さんはもちろん、先輩の百合原さん、書籍編集部の筏、後輩で文庫部の大村亜由美などの文宝出版の面々も健在。
百合原はとうとう編集長に出世する。
筏と美希は、もしかするとその後つきあっちゃったりするのかな、という雰囲気を感じなくもない。
この巻では、時代小説家、村山先生の存在感が大きい。
余計なことだが、今時各社の編集者が集まってソフトボール(や野球)をするようなことってあるんだろうか?
作品の中にもコロナ禍はやってきていて、文芸編集部での仕事にも影響が出たりする。
もちろん、こういった草野球も、作家先生を慰労する会食にも。

それはともかく、今回の文芸の中の「謎」も多彩。

天衣無縫に見える志ん朝が、意外と緻密に自己イメージを演出していたことを、ルーブル紙幣で蚊帳を買ったエピソードから迫っていく「志ん朝の天衣無縫」がよかった。

菊池寛の「石本検校」の話(「菊池寛の将棋小説」)も面白かった。
作中で主人公が将棋を指すのだが、駒の動きをひたすら書いているだけの小説、とも言えるそうで…
「文芸文宝」の将棋特集で、先崎学・室谷由紀両棋士に作中の対局を読み解いてもらうことになり、なんとこれが「凡戦」であると判定されてしまう。
しかも、このことが判明するまでに、ストーリーはあちらこちらに寄り道し、他の面白いエピソードも披露される。

最後の「古今亭志ん朝の一期一会」はしみじみした味わいの一篇。
一冊を通し、たっぷり楽しませてもらった。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

いろんな情報がたっぷりなので、脳をフル稼働して読む。おもしろかったけど、2度3度と読むと、もっと理解が深まって、おもしろいだろうなと思った。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

今回もお父さんはすごい。
雑誌編集者の田川美希にとって、実家の父はめっちゃ頼りになるドラえもんみたい。
作家の先生とソフトボールで接待したり、古い本の話をしたり、日常の中からポロっと出てくる謎をそのままにしないで探っていく。
古今亭志ん朝の話や、菊池寛の将棋の話、小津安二郎の映画の話は、名前だけしか知らない人たちですけど、知りたくなっちゃうんです。
小津安二郎映画はあの時代、映画館で観た人にしかわからない感情があるんだ、と。
古今亭志ん朝のあの時、あの場所の口演の拍手にしかない盛り上がりを、詳しく調べたお父さんは解き明かしてくれる。

今作は途中からコロナ禍でのミートや、イベントが無くなった様など、最近の話もあってリアルにいる人たちだと勝手に親近感わきました。

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

「中野のお父さん」シリーズ第3弾
今回はこれまで以上に読み応えがあり、随分頭を使ったが、私の好きな太宰や落語の話(謎)が特に興味をひかれ、面白かった。
知識量に舌を巻く。

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

ペダンティックになっていくのは年取るとしょうがないのかなあ。アシモフもそうだったし。
持っている資料を全部使いたい感がある。
話自体は面白いんだけれど、どうもシリーズ3巻目の北村薫は鼻につくようになってくるのは円紫師匠シリーズでもそうだったなあ。
論文みたいになりがち。

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2025年02月03日

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ネタバレ

このシリーズを読むと、出てくる本を読みたくなってしまう。大岡昇平は買ってしまったし、志ん生、志ん朝はユーチューブで検索。
本書は解説が面白い。サンタクロースの落ちは、何だか変な終わり方だなとよく分かっていなかったところ、ああそうかと納得。

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2024年12月14日

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どれだけの本を読んでそれを覚えていればこんな回答が導き出せるのだろう。
まあ小説なのでというところはあるけど。

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2024年11月27日

Posted by ブクログ

整理の分類はミステリーで良いのだろうか…文学の知識が足りないので、単行本では手を出さないけど、北村薫の日常の謎は大好物なシリーズ。文庫になったので、ようやく読めた。今回は映画や将棋、落語がテーマの話もあり、読みやすかった。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

文宝出版の編集者田川美希が出会う、本にまつわる謎を、中野に住むお父さんが見事に解いていくシリーズ3作目。
こちらは円紫師匠シリーズと違い、ほぼ本の話限定で、マニアック(笑)ですが、軽妙でかなりライトな作風です。

今回の謎の対象となる方は、大岡昇平、古今亭志ん生と志ん朝、小津安二郎、瀬戸川猛資、菊池寛…って、若い人にはハードル高いですね。僕もかろうじて名前だけは…というところです。
菊池寛は教科書で(文藝春秋の、直木賞・芥川賞の
人)。小津安二郎の映画は観たことなくても、笠智衆は読めますし、観たことありますよっ!(もちろん、寅さんの方で)

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

複製画が本物を超える感動を与えることもあるし、思い違いや創作のエピソードが、そのものの本質をより深く捕まえることもあるだろう。まさに甲本ヒロトが歌う「リアルよりリアリティ」だと思った。

僕達が生きている世界は、〇や‪✕‬で答えられるような単純な世界ではないんだ。

志ん朝の一期一会を読んで、はっびいえんどのライブアルバムに、若き日の佐野史郎さんの歓声が入っていることを思い出した。

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2024年12月26日

Posted by ブクログ

中野のお父さんは凄い。日本語の本を大量に読ませても、中野のお父さんの様には、謎を解くことはできないだろうと思う。
娘が謎解き自動販売機と言うのも分かる気がする。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

北村薫の「中野のお父さんシリーズ」第3弾
文芸誌編集者の娘が持ち込む“謎”に、掘り炬燵で相談に乗る中野の実家に住む高校教師の父親との交流を軸に、編集者として働く娘の日常を描いています。
相変わらず北村薫の「日常の謎」は他と一線を画しておりますが・・・
今回はちょっと深過ぎて、私にも少し難解でした(@_@)
あと、今回収録のエピソードが書かれた時期がコロナ禍だったため、ちょっと今読むと懐かしいような、じれったいような・・不思議な感慨も楽しめます(^_^;)

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2024年12月08日

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