安田浩一のレビュー一覧
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ネタバレ戦後、右翼がどのように生き抜いてきたのか、筆者の丹念な取材によって明かされている。
右翼という存在は画一的なものではない。国体護持を信念とする者、反共のためにはアメリカとも手を取り合う者、ヤクザのような街宣右翼、所謂ネット右翼と呼ばれる者など。
僕は筆者の著書を初めて読んだ。僕がハッとさせられたのは、日本会議に関する内容についてだ。
最近、日本会議という言葉は聞いたことがあったが、詳しくは知らなかった。今回、本書を読んで驚いた。
日本会議のやり方がとてもサラリーマン的だからだ。筆者は「背広を着た右翼」と本文中では表している。
街宣右翼のように、街中で演説はしない。コツコツと、ゆっくり、着実に自 -
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十数年前に可愛らしい幼女が電話機に向かって「右翼さんは大嫌いです。でも、左翼さんはもーっと嫌いです」と嘯くCMがあり、私のメンタリティーも同一である。
さて、本書はそんな戦後の「右翼さん」が生まれた歴史的経緯や様々なイデオローグたち、戦後自民党政権における右翼・暴力団との蜜月、60年代の新左翼のカウンターとして台頭した新右翼の登場、現在の日本会議に繋がる宗教右派、そしてネトウヨまで、戦後右翼の歴史が緻密な一次取材に基づいてまとめられている。
本書を読むと、近年の民族差別的なヘイトスピーチに代表されるようなネトウヨと伝統的右翼の間には、「民族差別を許すか許さないか」という大きな分水嶺があるこ -
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テレビ・新聞等の主要メディアはヘイトスピーチを正確に報道できないのだろう、あまりに下劣な表現が多いから。そのせいで、国民はその中身を正確に知ることができない人も多いのではないか、私のこの本を読むまでこれほどひどいとは思っていなかった。
ネット情報を丸呑みにしてそれを妄信する人もかなりの数に上るだろう。ヤフコメ等でも何でも中国・韓国にこじつける人が多いことにあきれてしまう。
確かに国家としての韓国・中国には容認できないことも多く憤りを感じることもある。だが、ヘイトスピーチは手段として賛同できない。外国人だけではなく、何か攻撃対象を見つけては叩く、不寛容すぎてはいけないと思う。 -
Posted by ブクログ
✩は3.5。
これは…エッセイというのかな。分厚いのに読みやすかった。
色んな国の色んなお風呂について紹介されるとともに、日本の「加害」の歴史も学べる一冊。
この本を読んで、自分は「被害」の歴史より「加害」の歴史に興味があることが分かった。
何が私をそこまで惹きつけるのかは分からないが、ある一定以上の条件が揃った時に発動される日本人や人間のもつ残忍性や、無意識に表に出てしまう排他的な行動や言動に、所謂「本能」や、消しきれない「獣」としての一端が垣間見えるからかもしれない。
いずれにせよ「加害」の歴史から目を背けず、過去の過ちを過ちとして見つめ直すことは今後も続けていきたいと思った。 -
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金岡団地(公団団地第一号・大阪府堺市)、山崎団地(著者が住んでいた団地・東京都町田市)、常盤平団地(千葉県松戸市)、神代団地(映画『団地妻 昼下がりの情事』の舞台・東京都調布市)、芝園団地(ニューカマー中国人・埼玉県川口市)、ブランベニル団地(移民の街・フランス)、サルセル団地(90を超える国籍の人が住む団地・フランス)、チャイナ団地(中国系新移民の街・フランス)、広島市営基町高層アパート(原爆スラム、中国残留孤児・広島県広島市)、保見団地(日系ブラジル人・愛知県豊田市)、北青山三丁目住宅(東京都港区)、東新町団地(GREEN KIDS・静岡県磐田市)
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本書は「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を中心としたヘイトスピーチの現状が書かれている。
ヘイトスピーチとは「人種や民族、障害など本人が変えられないものを基に行う差別的、侮蔑的発言」を指し、2013年にはユーキャンの流行語にもノミネートされた。
このような「人種差別主義」のことを「レイシズム」と言い、「人種差別主義者」のことを「レイシスト」と言う。
FIFAでは「ゼロトレランス」(非寛容)の原則で、差別的な行動は例外なく罰している。例えば、2013年にギリシャでナチス式の敬礼のポーズをとった20歳のサッカー選手を永久追放にした。本人に差別的な意図があるにせよ、ないにせよ、例外なく罰するの