安田浩一のレビュー一覧

  • ネットと愛国

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    在特会のルポ。単行本は2012年の刊行。ポストトゥルースな2025年の現状はすでにこの頃にはすっかり準備されていたんだなという驚きの連続だった。

    彼らは愛国の名のもとに差別する。しかし彼らの活動には思想も地域社会との共生もない。まるで「愛国に名を借りた鬱憤晴らし」のようなのだ。ある朝鮮学校のOBは語る。「朝鮮人がバカにされるのは今に始まったことじゃないしな。それにあの人たちだって、楽しくてしかたないって人生を送ってるわけじゃないんやろ?」

    在特会はインターネット上で似た意見を持つ者たちが集まって結成された。平成22年には活動資金として年1800万円ものカンパが集まった事実から、彼らの活動が

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    2025年07月27日
  • 地震と虐殺 1923-2024

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    関東大震災朝鮮人虐殺については、何冊か本を読んだことがあるのだけど、安田さんの取材で、想像よりさらに残虐なことが起こったことがわかった。

    現在の小池都知事をはじめとした虐殺はなかったとしようとする人々を見ると、被害者はいまだに殺され続けている。加害に目を向け、差別に加担しないことが私たちの責任だと感じる。

    この、「加害を無かったことにして責任を負わない文化」が、現在告発されている芸能界の性暴力被害者へのバックラッシュに繋がっているのではないか。

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    2025年02月20日
  • 戦争とバスタオル

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    安易な理解・批判・解決策を拒む、本当に考えさせられる本。

    戦争はダメ、ということだけは、確かに感じさせてくれる。

    2025年一冊目にふさわしい、素晴らしい本であった。

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    2025年01月05日
  • 外国人差別の現場

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    ウィシュマさんの事件で少し表に出てきた人権侵害ともいうべき入管の実態、ヘイトスピーチなどの差別と暴力、技能実習生制度といった外国人差別をめぐる状況が紹介され、著者二人の対談で解説や示唆が得られる。
    例えば、人を逮捕するには現行犯でない限り司法手続きを経た令状がいるのに、入管はそうした司法の手続きを介在させずに人を拘束することができるなんてことは初めて知った。また、今日の入管につながる制度・仕組みができた戦後間もないころに、特高経験者が多く入管に関係したなんてことも知ると、そのアウトローっぷりとつながる気がしてくる。
    ことほどさように、制度ですらこれでは大衆が外国人差別をするのも無理ない気さえす

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    2024年11月25日
  • なぜ市民は〝座り込む〟のか 基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶

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    著者の著書は、おおむね、1.在日コリアン、2.外国人労働者、移民、3.沖縄県民という弱者、被害者に対する差別、偏見を告発することをそれぞれ目的として、三種類に分かれる。本書は3。
    座り込みに対するひろゆきの冷笑。集団自決・慰安婦否定論。基地反対派議員に対する流言蜚語。『ニュース女子』による事実無根の誹謗中傷。基地反対運動家すべてに被せる「プロ市民」の蔑称。中国脅威論という陰謀論。関東大震災朝鮮人虐殺の歴史的事実に対して向けられている否定論。これらの冷笑、嘲笑を乗り越えるのは事実確認を怠らない姿勢である。

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    2024年11月02日
  • 地震と虐殺 1923-2024

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    関東大震災における朝鮮人の虐殺の現場を訪れ、残された記録や証言を丁寧に紐解きそこで起こった虐殺の記録を書いた本。
    日本人全員読むべき本だと思う。
    朝鮮人虐殺のことは歴史的事実として知ってはいたものの、この本を読んで自分は何も知らなかったと思い知らされた。

    まず驚かされたのが、デマを流布させたのが、国、警察、行政、新聞であったということです。
    巷間で流布したデマだと思っていたので衝撃でした。
    そして、自分が思っていたよりもずっと虐殺の範囲も人数も多かったことにもショックが大きかったです。東京のみならず、千葉、埼玉、群馬、神奈川と、関東全域で起こったことでした。

    加害者たちの残虐性は目を覆うほ

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    2024年08月25日
  • 「右翼」の戦後史

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    安田浩一
    1964 年生まれ。静岡県出身。「週刊宝石」などを経てフリーライターに。事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける。ヘイトスピーチの問題について警鐘を鳴らした『ネットと愛国』(講談社)で2012 年の講談社ノンフィクション賞を受賞。2015 年、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17)で第46 回大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。著書に『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)、『学校では教えてくれない差別と排除の歴史』(皓星社)など多数。

    「右翼」の戦

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    2024年07月01日
  • 団地と移民 課題最先端「空間」の闘い

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    団地と移民 課題最先端「空間」の闘い。安田 浩一先生の著書。高齢者と外国人労働者が居住者の大半を占める団地。高齢者と外国人労働者が居住者の大半を占める団地は日本の将来の縮図。排外主義的なナショナリズムを掲げる無関係の人たちの存在。排外主義的なナショナリズムを掲げる無関係の人たちは主義主張があるなら政治家になって社会のルールを変えればいいのに。団地と移民 課題最先端「空間」の闘いは日本における移民問題を正しく理解して考えるための良書。安田 浩一先生の取材力に尊敬。

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    2024年05月03日
  • なぜ市民は〝座り込む〟のか 基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶

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    近年、沖縄の基地反対闘争をあざ笑う発言が耳目を集めている。その代表がひろゆきの辺野古座り込み抗議行動への、言葉尻をとらえた揶揄だ。ひろゆきは、座り込み抗議が終わって誰もいない夕方に現場を訪ね、「座り込み抗議3011日」の看板前で自身の記念写真を撮り、「0日にした方がよくね?」とうそぶいたのである。
    「座り込みとは要求貫徹まで座り続ける抗議」と辞書に書いてあるというのが、「論破王」の唯一の論拠である。
    本書は、このひろゆきの論難を記録にとどめ、的確に批判している。他にも私たちが忘れてはいけない、この種の薄弱な論拠による批判や不当な差別発言を怒りとともに資料化している。例えば、辺野古反対運動者は「

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    2024年01月14日
  • なぜ市民は〝座り込む〟のか 基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶

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    圧倒的な凄まじい怒り。
    ヘイトの底に蔓延る差別意識。
    言ってる方はきっと気づかないことや、言われてる方からすると哀れにしか感じないことも。
    本土にとっての沖縄は所詮他人事でニンビー。
    だから戦うし抗い続ける。
    そう、俺もだ。
    安田さん、こんなに沖縄を想ってくれてありがとうございます。
    座り込むし、立ち上がる。

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    2023年10月29日
  • 戦争とバスタオル

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    ようやく読めた。
    戦争加害から目を逸らしてはいけない。
    そのメッセージを本文からたくさん受け取った。
    「鬼にされた」、だから記憶を手放さないの言葉はすごくすごく重い。
    知ること。なかったことにしないこと。考え続けること。

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    2023年10月16日
  • 戦争とバスタオル

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    お風呂は究極の非武装、ほんとに名言です。
    お風呂と戦争をたどる旅。戦争の加害については、恥ずかしながら知らないことばかりで、後半のものすごくヘビーな内容にはしばらく立ち直れそうもないほど暗い気持ちに。
    そんなに昔の話でもないのがまた恐ろしい。
    知ることができて良かったです。
    実際に足を運んで、現地の人の話を聞くというのが何より大切だと改めて思いました。
    とても良い本でした。

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    2023年06月19日
  • ネットと愛国

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    在特会のことがよく分かる本。
    在特会の街頭演説がありのまま書かれているので、出てくる言葉がかなりキツい。気分が悪くなるレベル。

    10年前くらいからインターネットに触れていたからこういう特定の民族に対しての差別的な情報は触れてきたし、そうなのかと信じてた時期があったのも思い出した。
    学生だった当時はなんとなく近寄りがたいと思い、深く調べず忘れていったが、生まれる時代や環境が違ったら心酔してたかもしれないと思うと怖い。

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    2022年06月26日
  • 戦争とバスタオル

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    第1章 ジャングル風呂と旧泰緬鉄道(タイ)
    第2章 日本最南端のユーフルヤー(沖縄)
    第3章 沐浴場とアカスリ、ふたつの国を生きた人(韓国)
    第4章 引揚者たちの銭湯と秘密の工場(寒川)
    第5章 「ウサギの島」の毒ガス兵器(大久野島)

    歴史修正主義がなんと言おうと過去は現在と繋がっていることを人の記憶や行政の記録、建造物や死者達が物語る。私達の国がどんなに酷い事をしてきたのか…直視するのはしんどいけれど、ほんわかタッチの絵と文章のおかげで情景が目に浮かぶし、おふたりが持つ「出会うべき人に出会うべきタイミングで出会うパワー」に驚かされながら最後まで一気読み。今も昔も、被害は隠され分断され広くは

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    2022年05月27日
  • 戦争とバスタオル

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    内容的にはずっしりしているのですが…
    安田さんは分かりやすく丁寧に史実を書いてくれ、金井さんの素直な感情は読んでいる無知な私に共感してくれて、お二人の文章が交互に来ることにより、本当にすんなり読めました。

    すんなり読めましたが、"こんな大切なことをきちんと知らずに今まで生きていたのか"と反省し、恥ずかしくなり、とてつもなく申し訳なくなり…
    もっともっと本当のことを知りたくなり、お話を聞きたくなりました。

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    2022年04月17日
  • 戦争とバスタオル

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    ノンフィクションライターの安田浩一氏と文筆家でイラストレーターの金井真紀氏はともにお風呂好き。二人でタイ、韓国、沖縄、大久野島などの温泉を巡り、湯けむりの先にある歴史を紐解くという歴史紀行本。
    風呂で出会った客や温泉関係者との語らいにはユーモアもあり、癒されるが、タイトルにあるように、基調には戦争がある。日本軍が残した負の遺産について、生き証人になる方が語るところは重く厳粛な気持ちにならざるを得なかった。
    特に深刻な気分になったのは現在はうさぎで有名な大久野島の毒ガス兵器工場の歴史に関する話だ。元教諭で大久野島のガイドをしている山内氏や工場で働いていた95歳の藤本氏の語りの中には、断じて風化さ

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    2022年04月06日
  • 戦争とバスタオル

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    現代史必読書というてもよい。
    安田浩一さんのあとがき、おわりに、のところに

    排他の空気に満ち満ちた、いまの社会に対する私たちの小さな抵抗でもあるから

    と。この本の存在意義。安田浩一さんと金井真紀さんが、歩いて出会った人との貴重な記録。

    こんなコンセプトで実際にたどり着き出会い聞いて答えて聞いて書き付け、私たちの血肉に、忘れてはいけないものを刻みつけ?お二人の行動力人間力よ。
    そしてほのぼのと、人柄を感じる金井さんのイラスト。油断させて、ギスギスしないで、人や物の本質をつく。

    排他の空気に満ちたこの国の人の必読書じゃないかな。

    装丁も素晴らしい。

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    2022年07月05日
  • 戦争とバスタオル

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    ネタバレ

    今戦争を語るとしたらこういう書き方になるんだなと切り口に感動。読んでもらわないとならないものね。明治維新から第二次大戦に近い年月が過ぎているからこその文章と絵。

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    2022年01月25日
  • 「右翼」の戦後史

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    第二次世界大戦後、日本はアメリカの統治下に置かれた。そこで、アメリカからの統治を拒絶し、旧来からの日本の伝統を取り戻し、日本国民で国を守るというスタンスで「右翼」が形成されたのは知っていました。しかし、今の右翼団体を見ると、アメリカを迎合している状態。もっといえば、アメリカの手下になって、中韓を威圧するスタンスに鞍替えしており、とても矛盾を感じたため、なぜそのような経緯を辿ったのか、興味深いと思い購入してみました。


    読んでみると、初めはアメリカに対する敵対心を軸として活動していましたが、アメリカと日本右派勢力も共に「反共」を掲げていたため、考え方が一致したという経緯らしいです。
    -「古い上

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    2022年01月19日
  • 戦争とバスタオル

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    「海のない湘南」寒川町、「うさぎの島」大久野島。化学兵器の製造はどうやっても正当化できない。今はなき銭湯「すずらん湯」、海を一望できる「小沓の湯」。お風呂に入ったつもりでしみじみ歴史を考える。本書の企画を満喫する。沖縄県にただ一つ残る銭湯「中乃湯」。採算度外視、切り盛りするのは1933年生まれのシゲさん。沖縄戦、そして戦後。先の大戦がここにもたらしたもの。忘れさせぬよう続いて欲しい。安田さんの粘り強い取材。想像をかきたてる金井さんのイラスト。語りのリレーはシームレスに流れる。著者のお二人と亜紀書房に感服

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    2022年01月10日