安田浩一のレビュー一覧

  • 「右翼」の戦後史

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    右翼の流れがわかりやすい。

    右翼は歴史と伝統を重んじた保守であり、異なる他者に対しては排他的で、復古主義であり、理念というよりも情念に近い。

    日本右翼の源流は、江戸時代末期の水戸学にあるとされる。儒学を基盤に、神話や道徳を尊重し、身分や社会の安定を説くもの。吉田松陰や西郷隆盛らの幕末の志士に大きな影響を与え、倒幕運動や尊王攘夷思想が生まれた。

    大正時代には、大正デモクラシーによって人々が権利意識に芽生え、大正6年にはロシア革命が成功して日本の支配層に大きな恐怖を与えた。政治家や企業経営者は、労働争議や小作争議を弾圧しなければならないものとみなし、その先兵として右翼団体が利用された。

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    2023年06月01日
  • イミダス 現代の視点2021

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    当時意識することのなかった問題や、時期を経て現在どう表面化しているかという議題について改めて触れるにはちょうどいい媒体。

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    2023年04月29日
  • ルポ 差別と貧困の外国人労働者

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    安田浩一『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』光文社未来ライブラリー。

    夢を抱いて日本に働きに来る中国人研修生、日系ブラジル人の過酷な実態を描いたルポルタージュ。

    貧困に喘ぐ外国人労働者の実態は今や日本人労働者にも当てはまる。容易く解雇出来る非正規社員の増加、天井知らずの物価高、増税、社会保障費の削減と日本人労働者を取り巻く環境も悪化の一途を辿っている。

    リーマンショック前後のルポルタージュなので、現在は少し状況が変わっているかも知れないが、日本の非正規労働者の状況を見ても、外国人労働者を巡る環境は少しも改善されていないと思う。

    ブローカーにより莫大な借金を背負わされ、夢を求めて日本に来た

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    2023年04月05日
  • 愛国という名の亡国

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    安田浩一によるマイノリティの立場を憂いた一冊。

    どちらかというと左よりかと思ったものの、内容は普通に面白かった。

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    2023年03月26日
  • 外国人差別の現場

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    スリランカ女性を衰弱死させた入管の問題や、ベトナム人技能実習生のリンチ事件、孤立出産の問題など、文字通り人を人とも思わないような事件の数々。
    そこにあるのは外国人への差別意識と、人権感覚の欠如である。

    日本の農業や製造、漁業、インフラにサービス業と、多くの外国人労働者の姿が散見される。日本はもう外国人の労働力なしには社会を回し続けることが出来ないところにまで来ている。にも関わらず、その問題に向き合おうともせず目を瞑り、外国人労働者を奴隷のように扱っている。
    外国人の労働力の世話で維持されている社会で生活しながら、「日本から出て行け」と声高に叫ぶ人たちはまったく現実を見ようとしていない。

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    2023年01月24日
  • 愛国という名の亡国

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    民主主義という寛容さを内包する "社会の仕組み" が多数決主義というマジョリティがマイノリティを排除しようとする社会へと陥落している。政治に無関心なノンポリが安穏としていると、気付かぬうちに駆逐されて居場所を失う末路を辿るであろう。声をあげる。即効性は無くとも持続可能な社会は身近な違和感への修正にこだわる。心折れそうになっても奮起する姿勢こそ民主主義の根幹にある。その対極がヘイト・差別なのだ。その愚行を私は軽蔑する。

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    2022年12月15日
  • この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体

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    都合の悪い過去や歴史に歪曲や捏造を流布する、そんな愚挙に無頓着な自己愛傾倒者は、安易な分断を扇動しマイノリティを排他しようと罵倒する。だがその対立は限られた範疇での喧騒であり、疎ましく距離を置く無関心層が多数を占めている。心地良さを優先するマジョリティにとっては、どうでもいいとノンポリを気取る、もしくは日々の生活に追われて無知な生活で安穏とする。しかし、無関心は決して有益ではない、深刻な事態へと緩やかに変貌する。その速度は真綿で首を締めるように進行する。そのまま放置して瓦解の一途をたどる社会でいいのか。青木理と安田浩一は様々な言葉で救いの場を内包する社会を模索する。そこに加害・被害という区分け

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    2022年10月25日
  • この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体

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    国の在りようが何かおかしい、権力者が権力を濫用しているのではないかというような、漠然とした疑念や不安を拠って来たるところを、きちんと言葉にしてくれている。二人のジャーナリストとしての矜持が感じられる。

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    2022年09月22日
  • 戦争とバスタオル

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    お風呂特有のゆるさがあって、絵もほのぼのしたタッチで和みながら読める。自動あかすり機の記述は笑った。でも、読み進めると戦争や、戦争によって人生を翻弄された人たちの感情に触れる。良書。

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    2022年08月19日
  • 団地と移民 課題最先端「空間」の闘い

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    団地を舞台に、日本の超高齢社会と移民についてのルポルタージュ。

    ただこの現状より恐ろしいのは、現在移民として一くくりにされる人々の移住先としての選択肢から日本が外れる事。移住する程の魅力を金銭面や住環境から感じなくなる事。要は移民に見捨てられる事。長年のデフレに加え閉鎖的な社会、こうした未来に日本は確実に近づいていると思う。

    ブックファーストなんばウォーク店にて購入。

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    2022年05月15日
  • 戦争とバスタオル

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    この本について政治的に偏っていると意見する人もいるが、事実と当事者の証言を読んで、これまで知らなかったことを教えてもらって良かったと私は思った。
    あったことをなかったことにする日本政府の体質をどうしたら変えられるのか。
    今でも毒ガスの後遺症で苦しんでいる人がいると思うと、私たちはどうしたら良いのかと考えてしまった。

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    2022年02月15日
  • この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体

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    今年は沖縄返還50周年だけど、沖縄について自分が無関心に生きてきたことを恥ずかしく思っている。韓国のことだって、私は映画「タクシー運転手」を見るまでは知らないことが多すぎた。恥ずかしいけどこれから学ぶしかない。青木さん安田さん応援してます。

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    2022年01月09日
  • 戦争とバスタオル

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    温泉、お風呂はてっきり日本にしかあまりないものと思っていたけど、日本占領下で他の地域にも広めていたことがわかったのが印象深い。
    目の付け所はおもしろいし内容も面白いが、真面目な場面でところどころ出てくるおちゃらけた?一言に少々辟易。。
    また、全体を通して示される著者二人の政治的傾向とそれに対する「これがあるべき姿」というの一方的に出過ぎてて萎え。ベジタリアンが「肉食主義者はあり得ない!!」と一方的に叫んでいるのを思い出した。そのようなシラケ感を味わう。

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    2022年01月09日
  • 戦争とバスタオル

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    裸で入る暖かいお風呂では、リラックスし心理的にも打ち解けて話しができる と言う考えの中、アジア太平洋戦争で、とかく隠されがちな日本の加害者的側面を調べ、関係ありそうな人にお風呂でも浸かりながら聞いていくと言うもの。
    1.ジャングル風呂と旧泰緬鉄道
    有名な映画「戦場にかける橋」で、鉄道施設の最大の難関として描かれるのが、タイ クウェー·ヤイ川に橋をかける大工事。この橋の横にあるプレートには、泰緬鉄道で命を落とした人の数が刻まれている。最多のマレーシア人42000人を筆頭に、旧ビルマ40000人、イギリス人6904人等日本人や韓国人を除いて10万人近く。戦争博物館にはその過酷な状況も展示されている

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    2021年12月31日
  • 戦争とバスタオル

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    「お風呂は究極の非武装」。温泉、銭湯を通して訪れる日本の加害の歴史。

    日本の負の歴史だろう加害の歴史。原爆など被害者としての側面に比べあまり話題にならない。本書はタブーに近いだろう加害の歴史を訪ね歩く旅。

    泰緬鉄道のタイ、沖縄、韓国と神奈川県寒川町の旧海軍工廠と毒ガスで知られる大久野島。

    ある程度予測はしていたが、本書の立ち位置は賛否別れるところだろう。個人的には、やたらと「歴史修正主義」という言葉であったり今の政府、行政を完全に疑ってかかるような姿勢に違和感。加害の歴史を探るだけでも十分な内容になり得ただろう。

    加害と被害は表裏一体。現在の価値観で過去を評価するところに無理があるよう

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    2021年12月08日
  • 戦争とバスタオル

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    第二次対戦の日本軍が足跡を残すタイ、戦後の沖縄、韓国併合後の植民地化された韓国、第二次大戦中に毒ガスを製造していた神奈川の町や広島の孤島を著者二人が訪れ、「戦争とバスタオル」のタイトルに表れる様に、時にはそこにある温泉で湯を浴びながら、現地の人から当時の話しを聞く旅を繰り返す。現実を体験した人達の言葉の真実、重さが伝わって来ました。市井の人が語る歴史を心に刻み、施政者の言葉を鵜呑みにしない姿勢を持つべきだと改めて思いました。

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    2021年10月30日
  • この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体

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     青木理と安田浩一ならだいたい読まずとも中身は予想できた。
     思ったとおりの内容だったが、自分にはなかった視点や気付きもあった。
     タイトルが仰々しいが、この濁流に抗おうとする二人はこれからも応援していきたい。

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    2021年07月17日
  • 「右翼」の戦後史

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    ネタバレ

    読んでよかった、の一言。

    右翼というと、自分のなかでヘイトスピーチをしてる差別主義者なのか?という印象が特に、在特会の影響であった。
    だけど、日本らしさ、日本の伝統を愛する民族主義が右翼の源流であり軸なのだとすると、賛同はできないが考え方の一つとして理解できる。
    その中で、右翼のなかでも民族主義的な人は、民族差別を認めるわけではなく、日本として独立して強くあることを考えているのだとすると、それも一理あると思う。

    でも、結局日本らしさってなんだろうって考えたときにそれって言語化できるものなのだろうか?教科書を変えて加害の歴史をないものにしようとしてる人もいるけど、「愛国」なのだとすると、愛は

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    2021年05月11日
  • イミダス 現代の視点2021

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    ネタバレ

    世の中のことにとても疎いので読んでよかった。


    印象に残ったワード「全体主義」「差別」「ファシズム」「水道法改正」「種苗法改定」「カジノ」「歴史修正主義」


    コロナ禍だからこそ伝えたい「自由」と「権利」と「多様性」
    p19「自由や多様性を守る」ということは、(コロナ禍で)マスクをしない人も、バーベキューをする人も、同じ社会で暮らす仲間として尊重するということ…せめて糾弾したり排除したりしないということ…自分たちの安全のためにどうしても行動を変えてもらう必要があるならば、その人の人権や生活が損なわれないよう、民主的な手続きを守りながら、理性的にお願いするということ
    p17〜18 社会を民主的

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    2021年03月06日
  • 「右翼」の戦後史

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    右翼、そして左翼。

    よく聞くけれど、その実はよく知らないという方は多いのでは?

    4月29日昭和の日、右翼団体と思われる人たちが一日中何かを騒ぎ立てていた。
    5月1日、仕事の為外出すると官公庁の前で「恥を知れ!」と黒塗りの街宣車に乗ってきた人たちが怒鳴り立てていた。

    単純に疑問に感じたので、本棚の肥やしになっていた本書を手に取った。

    この本の内容が全てではないのは当然のことだが、それにしても衝撃を覚えたのは一ヶ所や二ヶ所のことではない。

    有権者として、一票を持ち得る者として、しっかり考える義務があると強く感じた。

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    2020年05月05日