安田浩一のレビュー一覧

  • 沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか

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    「琉球新報」と「沖縄タイムス」への偏向批判があるが、本当のところどうなのか。地元紙の数多くの記者たちを取材し、偏向しているのは、偏向批判をしている当の本人ではないのかと問いかけている本。沖縄に米軍基地を押し付けている現状をちゃんと認識していない、認識できない本土側にこそ、問題があるのではないかと語りかける。被害者側にきちんと寄り添うことができでいないことが問題の根本にあるのだと思った。

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    2021年11月13日
  • この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体

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    ニーメラーの言葉をプリントして近くに置いた。
    青木、安田両氏のものの見方に学ぶことが多い。
    発信し続けてほしい。頑張って。

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    2021年09月08日
  • 「右翼」の戦後史

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    本書を読んで初めて知ったが、敗戦直後には松江事件など、やはり負け戦を受け入れられない連中による騒動が続発していた。確かにマヌケだったりただただ陰惨だったりはするのだが、それでも時代に流されるまま親米右翼にかじを切り組合や左翼叩きに熱を上げてきた連中よりは人間として評価すべきところは多いだろう。しかし本書を読むとそうした人々は右翼の中でもマイノリティでしかなく、宗教右翼から現代のネトウヨに至るまで、金の力、権力の力になびく太く黒い流れこそ日本の右翼の本質であると痛感する。

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    2020年12月19日
  • ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力

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    日本在住の韓国人に向けたヘイトスピーチの台詞、恥ずかしながら初めてまともに読んだ。理不尽な差別に他ならないし、それを正当化する理由も論理がボロボロだ。
    そしてそれを批判しながら取材し続ける著者の強さも滲み出ていて、尊敬せざるを得ない。

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    2020年05月23日
  • 「右翼」の戦後史

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    【右翼とはいっても,すべてが同じ色に染まっているわけではなかった】(文中より印象)

    街宣車や拡声器,そして時にはネトウヨという言葉に代表されるようなイメージで語られてしまう戦後の「右翼」。敗戦後の混乱から現在に到るまで,多様な潮流を生み出したその思想的な歩みを眺め,今日的意義を考える作品です。著者は,『ネットと愛国』等の著作でも知られる安田浩一。

    表題が示すように大枠としての「右翼」の歴史を知る上で大変勉強になる一冊でした。右翼という言葉とその響きからは想像もできない思想的なグループがあったりするなど,意外性に満ち溢れた作品でもあるかと。

    評判の高さも宜なるかな☆5つ

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    2019年09月18日
  • 「右翼」の戦後史

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     ジャーナリストが足で書いた歴史。取材して書かれた箇所は抜群に面白い。
     印象に残ったのは、時対協の定例会議(p85〜)と沖縄基地に反対する花瑛塾(p273〜)の場面。ネトウヨ・行動右翼とは異なる反骨精神のある右翼には、不思議な魅力がある。

     恥ずかしながら、安田氏の著書を読んだのは初めて。もっと読んでみたい。まずは『ネットと愛国』かな。

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    2018年10月07日
  • ネット私刑(リンチ)

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    「黙って放置すれば、やりたい放題で、反論すればさらに中傷が増える。これがネットにおける憎悪の回路である。まさに、いじめの構図そのものだ。」

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    2018年01月08日
  • ネットと愛国

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    タイトルや帯だけを見れば在特会を論駁する著書なのかと勘違いするかもしれないが決してそうではない。メディアが写さなかった在特会側の人間のリアルと被害者側の在日韓国人のリアルを見事に書かれている。日本人と在日韓国人の間でも必ずわかりあえる事ができるはずという著者の誠実な気持ちがものすごく感じた。

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    2015年12月12日
  • ネットと愛国

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    読み終えるのに意外と時間がかかった。文量があるのだから、当然ではあるが、それだけが理由ではない。
    一つ一つのインタビューが、生きた人間による、熱量のある生の声であるから、流し読みができないのだ。「ちゃんと向き合って話を聞かなければ」という気になってしまう。

    私は右寄りでも左寄りでもない。そのような思想のないボンクラなのであるが、この本の中に登場する人物は、私のような「思想のない人間」にも共感ができる部分がある。生きていく中で、私も経験したことがある、同様の「弱さ」や「迷い」を抱えている。

    右翼や在特会について興味関心がなくても、読み物として面白い。また、ライターさんならではの文章表現も堪能

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    2025年11月15日
  • 戦争とバスタオル

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    もともとは世界の浴場や温泉を巡ろうという企画がぶれて(?)過去の戦争にまつわる日本の負の、そして清算できていない歴史を訪ねる旅と折衷されたような感じ。代表的なのが旧泰緬鉄道の沿線の温泉で、あの過酷な敷設工事のかたわら日本軍や関係者が整備した温泉がいまも残っているという。まさに、温泉のあるところに日本人の足跡あり、傷跡ありという感じ。そうなるとただ気持ちいいとだけは言っていられない。癒しや憩いの場も視点を変えればさまざまな背景や歴史があることを感じさせられた。
    瀬戸内の大久野島は戦中、毒ガス工場になっていたという。そこで働いた人たちは、戦後も毒ガスの後遺症に悩まされた人が少なくなかった。毒ガス製

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    2025年10月25日
  • ルポ 差別と貧困の外国人労働者

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    中国人研修生に対する判を押したかのような協同組合、受け入れ企業の奴隷的扱い、また送り出す中国側の汚職、それ以前に日本経済を支えてきた日系ブラジル人の苦労の軌跡と悲惨な実情、そして形だけ変わって実態は何も変わっていない人身取引に等しい日本の外国人労働者に対する制度、こういった誰もが目を背ける『日本の暗部』を抉り出した傑作ルポ。これを読んで戦前の徴用工や慰安婦の問題を思い出すのは私だけだろうか。人は本質的に変わらないのかもしれない。こういったことは日本だけでなく米国含む他の国でも当然のように現在も行われているが、この書籍では日本だけに限定して問題提起しているために⭐︎4としたが、将来に残し幅広い人

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    2025年06月22日
  • 地震と虐殺 1923-2024

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    今から100年ほど前の関東大震災。流言飛語により多くの朝鮮人が殺された事件を追ったノンフィクション。当時の新聞記事から震災体験記、子どもの作文など。警察署の記録など。

    一方には隠したい歴史、一方では暴きたい歴史、筆者はどちらかというと日本政府を貶める立場。事実は直視せねばならないが、その立ち位置には疑問が残る。未曾有の震災の混乱の中、警察、軍も含め流言飛語により暴走した事件が多くあったのだろう。そして事件の後に慌てて隠蔽したのかと。

    筆者は官憲が震災前から計画的に朝鮮人の虐殺を考えていたような書きぶり、それは行き過ぎに思える。日本人の恥ずかしいまでの無計画性と窮地に立つとパニックで感情的に

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    2025年02月13日
  • 地震と虐殺 1923-2024

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    ネタバレ

    (24/08/23-12/29)
    既存の文献(郷土史、当時の新聞記事、公文書)を基に展開
    特色
    ・現地訪問
    ・関係者インタビュー
    ・朝鮮半島出身者のみならず、日本、台湾、中国の人たちも対象
    ・取り上げた件数の多さ

    これらの虐殺事例を中心に、当時と現在の関連というか往復。
    過去の終わった事件ではなく、現在でも十分に再現される可能性を訴えているように感じました。

    ただ……
    件数(犠牲者数)は、今後も調査は必要だけど、確定は難しいかと
    虐殺の根拠を新聞、公文書に拠っているけど、デマ、虚偽とその新聞、公文書を否定しているという矛盾。

    虐殺における組織性
    保護にまわった警官もいたので、どの程度徹底

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    2025年01月06日
  • 「右翼」の戦後史

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     戦前から戦後、現在に至る右翼の歴史と変遷が分かりやすいまとめられていた。
     戦後の言論の自由、民主主義、人権、反戦平和に、右翼は"壊されていく国体"を見、あるべき日本が失われていくのを感じたーという説明は納得できる。しかし、最近のネトウヨの差別、暴言、排除はどう考えても理解も共感もできない。これを容認する時代の空気ができているとすれば、それは極めて憂慮すべきことだ。

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    2024年12月16日
  • 戦争とバスタオル

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    銭湯や温泉の話は面白かったが、日本人は戦争の加害者であることを再認識させられる貴重なお話であった。特に寒川、大久野島で毒ガスを製造していたことは知らなかった。今でも苦しんでいる人がおられるとは、何ということか。
    続篇も期待している。

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    2024年10月26日
  • 地震と虐殺 1923-2024

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    関東大震災から101年を経過した2024年に出版された関東大震災・朝鮮人虐殺について記された決定版的本。
    朝鮮人虐殺については多くの研究者や作家、独自に調査する在野の研究者によって数多くの本が出版されている。
    郷土資料や日記までも調査され、事実として確かな強度がある。
    にも関わらず、どこかの馬鹿夫妻が記した朝鮮人虐殺はなかったなどというデマ本にネトウヨはまんまと踊らされた。そして、この10年で朝鮮人虐殺はなかった論というものが登場してしまった。
    その影響はそれまで毎年形式だけでも追悼文を出していた都政のトップが、追悼文を出さないまでに発展している。
    都政だけではなく、内閣の官房長官までもが事実

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    2024年09月19日
  • 「右翼」の戦後史

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    右翼の戦後史について、実際に活動に携わった人々に対して多くの取材しながら描き出す。
    出版順は逆だが、同じ講談社現代新書の日本左翼史シリーズを読んだことでこの本も読むことに。

    興味深いのは、日本左翼史シリーズは(特に佐藤優が顕著だが)徹底的に文献・論文にあたるのに対し、本書の著者の安田は果敢に取材をして情報を収集するという点である。
    これは、両者の執筆スタイルというだけでも無いと思う。共産主義・社会主義思想が理論ベースで演繹的に社会の構築を試みるのであれば、右派の民族主義的思想は共同体をベースとして、帰納的な方法で社会を構築しようとする特徴がある。こうした違いを鑑みると、両者の執筆スタイルは、

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    2024年09月11日
  • 戦争とバスタオル

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    過去の戦争の記憶・記録を湯と共に辿る旅。当時の生々しい話など知らなかったことも多く、今となってはとても貴重な内容だと思う。

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    2024年07月12日
  • なぜ市民は〝座り込む〟のか 基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶

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    人の行動や言葉を笑う…こどものころ、親に言われなかったのかなあ…人のいやがることはしない、とか。
    でも、たしかに考えの浅い人は増えている感じ。私もその一人

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    2023年11月10日
  • 戦争とバスタオル

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    731部隊と毒ガスの使用が禁止されてたのはなんとなく知っていたが、日本国内でも作っていたとは。知ることは大事。今も向き合っている人がいるのは頭が下がります。

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    2023年11月07日