あらすじ
2013年の新語・流行語大賞にノミネートされた「ヘイトスピーチ」なる現象は、年を追うごとに拡大している。
当初は、東京・新大久保界隈における在日韓国・朝鮮人に対しての罵詈雑言ばかりが注目を集めていたが、いまや対するヘイトスピーチは全国規模に拡散。また、Jリーグのサッカー会場に貼られた「JAPANESE ONLY」という横断幕が、民族・国籍の差別を助長するとして問題視されもした。さらに、ヘイトの矛先は、中国やイスラムにも向けられている……。
はたして、被害者を生み出すばかりの「排外主義」、この拡大を食い止める術は、あるのだろうか?
ネットの中で醸成された右翼的言動、いわゆる「ネトウヨ」が、街頭デモにまで進出してきたのは何故なのか? その代表格とされる「在特会」とは一体、どんな組織なのか? デモに参加するのはどんな人たちなのか?
こうした幾つもの疑問に答えるのが、本書。在特会問題を取材しつづけ、2012年には『ネットと愛国』で講談社ノンフィクション賞を受賞した実力派ジャーナリストによる、「ヘイトスピーチ」問題の決定版!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本在住の韓国人に向けたヘイトスピーチの台詞、恥ずかしながら初めてまともに読んだ。理不尽な差別に他ならないし、それを正当化する理由も論理がボロボロだ。
そしてそれを批判しながら取材し続ける著者の強さも滲み出ていて、尊敬せざるを得ない。
Posted by ブクログ
すべての差別を取り去るのはきっと難しい。そこに弱虫たちの悪意があるから。それでも声をあげるのならば、やはりきちんと学ばなければ。事実、歴史、ねじまげられた真実に踊らされて誰かを傷ける人には、私はなりたくないし、そんな社会はかなしい。
Posted by ブクログ
テレビ・新聞等の主要メディアはヘイトスピーチを正確に報道できないのだろう、あまりに下劣な表現が多いから。そのせいで、国民はその中身を正確に知ることができない人も多いのではないか、私のこの本を読むまでこれほどひどいとは思っていなかった。
ネット情報を丸呑みにしてそれを妄信する人もかなりの数に上るだろう。ヤフコメ等でも何でも中国・韓国にこじつける人が多いことにあきれてしまう。
確かに国家としての韓国・中国には容認できないことも多く憤りを感じることもある。だが、ヘイトスピーチは手段として賛同できない。外国人だけではなく、何か攻撃対象を見つけては叩く、不寛容すぎてはいけないと思う。
Posted by ブクログ
このひと、しゃべりにしても本にしても、めちゃくちゃわかりやすいな。かなり鍛えられてるひとやなと思いました。取材の幅広さ、深さも申し分ない。講演を聴いたことがあるからか、怖いぐらいの真剣みが伝わってくる本です。
Posted by ブクログ
しっかり 見つめたい 現実
しっかり 知っておきたい 事実
しっかり 考えたい 事実
きつちり 対象に向かって
ルポルタージュをしておられる
筆者に感服
それにしても
やはり わからない
差別をしている側の論理が
わからない
それだからこそ
もっと 読まれて欲しい
一冊です
Posted by ブクログ
本書は「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を中心としたヘイトスピーチの現状が書かれている。
ヘイトスピーチとは「人種や民族、障害など本人が変えられないものを基に行う差別的、侮蔑的発言」を指し、2013年にはユーキャンの流行語にもノミネートされた。
このような「人種差別主義」のことを「レイシズム」と言い、「人種差別主義者」のことを「レイシスト」と言う。
FIFAでは「ゼロトレランス」(非寛容)の原則で、差別的な行動は例外なく罰している。例えば、2013年にギリシャでナチス式の敬礼のポーズをとった20歳のサッカー選手を永久追放にした。本人に差別的な意図があるにせよ、ないにせよ、例外なく罰するのがゼロトレランスである。
格差社会では「自転車反応」が起き、自分より上の者には頭を垂れるが、一方で下の者を足蹴にする。下の者を足蹴にすることでしか満たされない人が、「朝鮮人」「在日」とレッテルを貼り、行うのがヘイトスピーチだ。江戸時代の穢多・非人の相似形だ。
そして、在特会の人間には、自己肯定するロジックとそれが正しいと思い込む思考停止がある。
内田樹氏が「呪いの時代」と言った。レッテルを貼り、記号化し、「呪い」をかける。そう、ヘイトスピーチは「呪い」なのだ。
国連の人種差別撤廃委員会から圧力を受け、各自治体からも要望があり、2016年5月、ようやくヘイトスピーチ規制法が成立した。