安田浩一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を中心としたヘイトスピーチの現状が書かれている。
ヘイトスピーチとは「人種や民族、障害など本人が変えられないものを基に行う差別的、侮蔑的発言」を指し、2013年にはユーキャンの流行語にもノミネートされた。
このような「人種差別主義」のことを「レイシズム」と言い、「人種差別主義者」のことを「レイシスト」と言う。
FIFAでは「ゼロトレランス」(非寛容)の原則で、差別的な行動は例外なく罰している。例えば、2013年にギリシャでナチス式の敬礼のポーズをとった20歳のサッカー選手を永久追放にした。本人に差別的な意図があるにせよ、ないにせよ、例外なく罰するのがゼロトレランスである。
格差社会では「自転車反応」が起き、自分より上の者には頭を垂れるが、一方で下の者を足蹴にする。下の者を足蹴にすることでしか満たされない人が、「朝鮮人」「在日」とレッテルを貼り、行うのがヘイトスピーチだ。江戸時代の穢多・非人の相似形だ。
そして、在特会の人間には、自己肯定するロジックとそれが正しいと思い込む思考停止がある。
内田樹氏が「呪いの時代」と言った。レッテルを貼り、記号化し、「呪い」をかける。そう、ヘイトスピーチは「呪い」なのだ。
国連の人種差別撤廃委員会から圧力を受け、各自治体からも要望があり、2016年5月、ようやくヘイトスピーチ規制法が成立した。 -
Posted by ブクログ
借りたもの。
ネット私刑――「さらし」と呼ばれる行為で、悪質な事件の首謀者等として何の関係もない人間が、事実無根の誹謗中傷に晒され、傷付いている様を追ったルポ。
これを読んだ現時点で、まだ記憶に新しい事件の例を挙げている分、肌にひしひしと感じる人間の暗い感情。罪の意識のない悪意の連鎖。
被害者の被害状況だけでなく、それを行った人々の事例も僅かながら紹介。
そうした行動を取る人間は、総じて考えが狭い・固定されている。
悪意があって攻撃する人の場合、犯人は「面白半分」であること、匿名性と手軽に行えることで「罪の意識が無い」ことを、著者は取材で強く感じている。
更に「ネトウヨ」と呼ばれる人々に限らず一般の人々でさえ、義憤に駆られ憎悪を掻き立てられ行動してしまうことを指摘していた。
「デマ情報」に踊らされ中傷した事を被害者から告訴されても、そうした人々は大抵「デマに踊らされた自分も被害者だ」と言うそうだ。
被害にあった場合の具体的な解決策が明示されている訳ではない。
ただ、これ以上被害を増やさないために、ネット私刑の加害者とならないために、記者としての著者が特に訴えたいこと、「感情にかられデマ情報に惑わされないこと」を強く感じた。
特に「ニュースソース(真偽)をはっきりさせること」の重要性を意識させる。
同時に、怒りや憎しみでそうした判断が鈍ってしまうという人間の性を肝に銘じておかなければならない。