吉川英梨のレビュー一覧
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いつもとは違うオープニング、事件捜査と達也の催眠治療の様子を交互に追いながら展開する中盤、そしてあまりにも悲しすぎるラスト。
今作は読み続けるのが本当に辛く切なくて、何度も中断しました。
麻希の元恋人で、今や上司にして同志でもある広田達也が、椿聖一郎の策略により心を破壊され廃人同様となってしまった他、その隙をついてスパイを送り込まれ捜査も撹乱されてしまいます。
前作では新人手塚が殺されかけ瀕死の重症を負っており、八係に残る麻希、原田、鍋島の三人にも椿の魔の手が迫る気配……
原麻希シリーズは、12作目にして最大最悪のピンチを迎えてしまいます。
そんな中、公安部との共闘でようやく反撃を開 -
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吉川英梨『十三階の血』双葉文庫。
シリーズ第3弾。
テロリスト排除を任務とする警察庁の公安秘密組織『十三階』に所属する最強のスパイである黒江律子を主人公にした物語。このシリーズは吉川英梨の作品としてはかなりハードな内容で、相応の覚悟で書いていると思われる。そして、この第3弾はシリーズの中でも最もハードで過激な内容になっている。
『十三階』の班長、古池は辺野古基地移設に反対する過激派『第七セクト』の内偵を進めるうちに『十三階』から消えた黒江律子との再会を果たす。しかし、『十三階』から去った黒江律子は名前を変え、議員の公設秘書となり、議員の愛人になっていた。黒江の引退は事実なのか、或いは潜入 -
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原麻希の最新シリーズ、その第一作目を読みました。
今作は、足を使った地道な捜査を積み重ねる麻希や八係の姿が特に印象的で、「刑事」感が際立った作品であった様に思います。
新人でありながらいきなり大ピンチを迎える「手塚」が今回の主役(⁉︎)でしたが、その手塚を気遣う麻希の姿が大人で、脇に回った彼女も新鮮で良かったです。
今回は右翼が相手、「椿教官」と言うシンボリックな人物が登場するなど、ついつい第一シリーズの左翼、「リクルーター」を思い出し、そちらも改めて読み返してしまいました。
バリバリの硬派で、付け入る隙もない感じが不気味で恐い「椿教官」に麻希達がどう立ち向かうのか、今後の -
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故郷旭川に帰省していた麻希が偶然遭遇した死体遺棄事件。それを発端に、北海道警察の闇にまで巻き込まれていく麻希と則夫。
麻希の高校時代を回想しつつ、恩人である瀧との再会から、手錠を掛けるまでのストーリーに泣けました。
今まで読んだ麻希のシリーズ中、私の中で一番感動した作品です -
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青酸カリによる殺人から始まった物語。
麻希は行方不明でなかなか登場してこないし、どう展開していくんだろう?とワクワクしながらあっという間に読み終えました。
麻希&夢ちゃん班と圭子さん&鍋島班が別々の事件を追いながら、それが少しずつリンクしていって、ジワジワと犯人を追い込んで行く。
リンクしていく過程が面白かったし、だいぶ早い段階で犯人の見当がついてしまったものの、こういう展開もアリで好きです。
麻希VS織江、麻希を取り巻く男達、原一家の今後とツッコミどころも満載で今後の展開にも期待大です。
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吉川英梨『十三階の神』双葉文庫。
シリーズ第2弾。『十三階のモンスター』の異名を持つ女スパイ・黒江律子を主人公にしたハードな公安警察小説。
国家のためなら自らの肉体をも差し出すことを辞さない女スパイ・黒江律子。前作にも増してハードな展開と巧みなプロットで、最後の最後まで全く飽きさせない。特に本作では二重三重にも驚愕の予測不能の展開が仕掛けられ、これが本当にあの吉川英梨の作品かと驚くことしきり。そして、そこまでやるかというような余りにもトンデモナイ結末に声も出ず。
かつて地下鉄サリン事件をはじめとするテロ事件を起こした新興宗教団体『カイラ蓮昇会』の教祖の死刑が執行される。そんな中、黒江律子 -
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53教場第4段すごくおもしろかったです。
事件だけじゃなく、友情、恋愛、親子関係、師弟関係、読み応えもあります。
今回は結構泣きました。五味と高杉の決意もすごいと思うし、こんな警察官ばっかりならと思う内容でした。 -
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ネタバレ公安警察という組織は、秘密のベールに覆われて、隠密行動をするのが常だけに、ドロドロとした暗く、ダーティなイメージがある。隠蔽か、欺瞞か――法の番人たる警察組織にあって、法に対して超然的な組織が「公安」というものなのだと考えてきた。
本作でも、公安の超然ぶりはいかんなく発揮される。八年前の目を覆いたくなるような残忍な犯罪。それでも起訴されることなく、贖罪もされない者が、この物語の最初にして、最大の伏線である。
その後も作者は、実にリーダビリティの高い文章の中に、さまざまな伏線を織り込んでくる。事件の全貌はなかなか姿を見せず(それこそが公安が絡む事件の典型ではなかろうか)、しかし最後に明かされる事 -
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吉川英梨『十三階の女』双葉文庫。
警察庁公安秘密組織の女性刑事・黒江律子を主人公にした『十三階シリーズ』の第1弾。
吉川英梨がついに化けたなというのが最初の感想。これまではハードサスペンスを良い調子で展開していながら次第に男女の甘い色恋の描写が強くなり、ストーリーを台無しにするケースが多かったのに本作ではどうだろう……確かに律子と古池、白河、或いは水橋との男女の関係が描かれるのだが、これまでの作品とは違って主人公の律子が非情なまでに恋愛に対して冷たく、その本性は残酷なのだ。
組織のために自らの『女』をも武器にする黒江律子は北陸新幹線爆破テロで多くの犠牲者を出すという大失態により活動を制限