吉川英梨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪市内で闇バイトによるものと思われる強盗殺人事件が発生、その犯人は逃走する中で観光帆船のシージャック事件を起こす。制圧するために海上保安庁特殊警備隊が出動し事件は解決するものの、複数の死者を出す結果になった。なぜこのような事件が起こったのか、そして闇バイトのリーダーはどこへ消えたのか。スリリングな読み心地のミステリです。
警察だけでなく海上保安庁もメインになるのですが、それでも警察ミステリと言っていいかな。図らずもかつての友人を殺してしまうことになった岸本、誰が事件の黒幕だったのかを探る高城、そして息子の汚名に苦しめられる森下。それぞれの目線から森下諒がどのような人物だったかが掘り下げられ、明らかになっていく過程が重厚です。特に加害者家族の苦しみがあまりにやりきれなくてたまりません。本当に、事件の加害者家族って一番の被害者なんじゃないかと思います。
闇バイトに図らずも巻き込まれてしまった人たちの苦しみもまた悲痛。うまい話に考えもなしに乗る方が馬鹿だという意見もありそうだけれど、詐欺グループの巧妙すぎる手口には絶句。良識のある人でも、うっかり引っ掛かってしまうことはありえますよこれ。そしてラストは勧善懲悪ですっきり。悲しみも残るものの、読後感は素敵です。 -
Posted by ブクログ
子供が行方不明になった時
報道されている以外のことはわからない
その見えない部分を
家族 警察 マスコミ 地域住民
それぞれのサイドから多角的に見せてくれた物語
小学5年生の女子児童失踪事件のリアルを俯瞰しながら、関係者の心情に寄り添う
あらゆる事を想定して捜査する警察の非情さ
公開捜査後の家族への誹謗中傷、プライバシー侵害
1ヶ月もすれば日常に戻ろうとする地域社会
1年経って縮小される捜査の規模
いつまでも失踪したその日に留まり続ける家族達の苦痛 後悔を引きずりながら希望を捨てずに
女の子は見つかるのだろうか
事件か事故か家出か
生きているのか
死んでいるのか
現実では無責任な傍観者にすぎない読み手としての自分だけれど、一番感情移入したのは家族の願いと
粘り強い捜査で家族を支え続けた人達の思い
痛みを抱えながら諦めない人たちを
心強く思う
この物語で
それぞれの立場の
それぞれの思いを受け取ってしまったから
これからは、
子供達の行方不明の報道を見聞きする度に
今まで以上に心がざわついてしまうに違いない -
Posted by ブクログ
大雨の日の下校途中、小学五年生の葵が一本のひまわり傘を残して突然姿を消した。事件か事故か家出なのかすら分からない――。
読み進める中で最も胸が苦しくなったのは、葵の失踪によって一変してしまった石岡家の過酷な現実だった。事件当時、両親は離婚協議中で、姉は受験を控えているという繊細な時期だ。そんな家族をさらに追い詰めるのが、周囲の人々の無関心さや、怪しまれる男性教師への容赦ない目。さらにSNS上で飛び交う無責任な誹謗中傷が、家族の心を深く傷つけていく。娘の帰りをただ信じたいだけの家族に対して、顔の見えない悪意が牙をむく現代社会の冷酷さに、強い憤りを感じた。
絶望の淵にいる家族の唯一の光となるのが、執念の捜査を続ける奈良刑事だ。しかし、地道な捜査も虚しく手掛かりがないまま失踪から3年という残酷な月日が流れる。周囲の関心が薄れ、事件が風化していく恐怖。それでも諦めずに足を動かし続ける奈良刑事の姿に、私は「誰か一人でも信じ続けてくれる人がいること」の尊さを感じた。彼の執念こそが、家族の希望の灯火だ。
この本を読み終えて、ニュースの向こう側の事件を他人事として見てしまいがちだが、そこには絶望と戦い続けるリアルな家族がいることを痛感した。 -
Posted by ブクログ
未明から翌日にかけて大阪で発生した2件の強盗殺人とカティ・サーク号のシージャック事件。
カティ・サーク号に乗り込み犯人グループを制圧した海上保安庁特殊部隊SST隊員岸本波敷通称スロウが緊急射殺した相手は、岸本と同期の元海保隊員森下諒だった。
初動捜査で3件の事件に関わり、シージャック事件発生のきっかけを作ったと内心忸怩たる思いを抱える大阪府警捜査一課の刑事高城明信は、丹念に加害者グループの関係者たちとの対話を重ねる。
徐々に明らかになる3件の事件のつながり。
本筋の事件の解明と裏筋の事件関係者たちの苦悩や人間関係が絡み合いながら、スピード感を持ってストーリーは展開する。
旧友を射殺した岸本の苦悩や自ら海保幹部である諒の父親浩平・秀美夫妻の絶望。
加害者家族にも寄り添い、金魚を介して岸本、浩平を和解させる高城らの人情話。
徐々に口を開いた犯人たちの証言で明らかになる諒の行動。
家族の愛情や浩平との和解はスノウを立ち直らせた。
平和に暮らす普通の青年が闇バイトに陥らざるを得なくなる世相も織り込む。
大阪湾で発見されたスニーカーから明らかになる事件の意外な全貌。
スノウたち海保が追い続けた不審船の伏線も回収し、一回り大きくなったスノウの姿も描き、物語は大団円を迎える。
作者得意の警察ものと海保もの(と水上警察もの)のコラボや、テーマ盛り沢山の展開は、作者ファンに格好のご馳走だろう。 -
Posted by ブクログ
ずっと読まなきゃ読まなきゃと思ってた海蝶シリーズ3作目
やっと手にしました!
沈黙のヨダ
ヨダとは津波のことをいうそうです。
今作でも東日本大震災、また能登地震や、過去の地震についても触れられています
三陸地方は東日本大震災だけじゃなくて
過去に何度も津波の被害にあっていたんですね
ものすごく重かった、、、
終盤はどんどん読むのがしんどくなります
自然と涙が滲んできました、、、
まだまだ震災は終わってないんです
ヨシエリさんは訴えかけています
誰が悪いのか
みんな悪いし
でも誰のことも責められない
震災後の描写はかなりリアルで
自分が被災したらを想像せずにはいられませんでした、、、
やっぱり人が一番怖いな、、、
今作は潜水士より刑事ものの雰囲気の強い作品でした
なんと書いたらいいかわからないので、、、
とりあえず
八潮さんのかっこよさが足りなかったので
次回はたっぷり見せてほしいです!!(そこ?)
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Posted by ブクログ
ネタバレ今作はフォーカスされる学生も多く、龍興の警官になろうと決めた過去の話や三上と村下が合奏によって教場に溶け込めるようになった話など、青春小説としての面白さを感じるパートが多かったです。
なので一層深川がいらないな〜と感じてしまいました。
深川の義母が深川への虐待がバレて追い出されて?DVシェルターに娘と行ったという話が、「DVシェルターに行かれると足取りを追えなくなるから、金持ちの父親だったら別宅を用意してそこを監視させる方が良いのでは?」と思ってしまい、五味がこの可能性に考えが至らずにいることに違和感がありました。
しかし基本的に善人の高杉が自らの手で深川を半殺しにして訓練場から出てくるシーンにうっかり色気を感じてしまったので星4です。