あらすじ
埼玉で小五女子が失踪。県警の奈良も捜査に入る。錯綜する証言、意外な場所で出た私物、男に目を付けられていた――情報は集まるも少女は見つからない。捜査本部が縮小されるが、奈良は捜し続ける。彼を駆り立てるのは、かつて見知らぬ男に陵辱され、今も心に傷を負う妹の存在だった。奈良の執念は少女発見に繫がるのか。警察小説の新旗手、最高傑作。
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Posted by ブクログ
雨の日に忽然と失踪した小5女子の葵。
そして行方を追う捜査官の奈良刑事。
家庭崩壊手前から一致団結して、誹謗中傷や嫌がらせにも耐え、諦めなかった家族。
奈良刑事や警察の執念が実り、葵は無事に発見されるけど、発見までに3年。
子供が犠牲者って許せない。
葵失踪直前に一緒にいた友達と友達の家族も可哀想。何も悪いことしてないのに責められて。
奈良刑事にも心に傷を持つ妹の存在があり、
なかなか息苦しいお話でした。
この先も色々問題があるだろうけど、犠牲者や犠牲者の家族が幸せであって欲しいと願う。
匿名
物語の始まりは、少女が教室にいる時から始まり。学校を舞台にした物語かな?と、思っていたら、少女が失踪し、話はどんどん複雑になってゆき、刑事達の真剣な捜査に何度も次こそは見つかるかも!と、希望を持ち。けれど何度も事件とは関係ないとなり苦しかったです。最後まで読み切って涙が出ました。
Posted by ブクログ
もの凄い物語に触れた後、色々な言葉が浮かぶが本作は圧倒的である。小学生失踪事件に端を発する警察小説だが、夜に読んではいけない。結末が気になって手が止まらなくなるからだ。
事件に当たる捜査員たちの緊張感はもちろん、被害者家族に吹き付ける誹謗中傷、顔のない悪意まで満ちているのは吐き気がする。胃の中に剣山でも入れられたような気持ちになった。
一欠片の容赦もなく、吉川は人間の悪意を、それに触れた人間がどうなってしまうのかを描き出す。それに立ち向かうにはどれだけの強さがないといけないのかも。それらの存在感は確かだ。読後、物語の中にいた人々の顔が浮かんでくるよう。
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とても良かった。感動的な物語でした。
大きな波は来ないが、被害者周辺の3年にわたる生活がジワジワと・・・ずっと引き込まれ放しでした。
吉川英梨作品は「13階の母」以来2冊め、他の作品も読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
「奇跡とは、何かが起こることではなく、状況が整うことだ」
ムロさん主演のドラマにいたく感動して、再読。
犯人逮捕の奇跡は、僥倖などでは決してなく、捜査に関わる警察関係者一人一人の、まさに乾草の山から針を探すような地道で粘り強い作業の積み重ねの結果に他ならない。称賛や感謝を期待するわけでもなく、酷暑も大雨も極寒も関係なく、ただ犯人逮捕の使命感と執念をもって粛々と職務にあたる捜査官たちの姿に、ただただ深い敬服の念。
小説もドラマも、事件発生から犯人逮捕に至るまで、その時々の被害者家族の苦悩、捜査陣の士気の波が過不足なく丁寧に、違和感なく描かれていて、どちらも本当に良かった。
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吉川英梨さんの作品は今回が初めて。たまたま100円セールだったので買った本ですが、これはよかった。 奈良刑事が人として最高に好き。刑事ものミステリの中で好きな作品の一つです。
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2日で読み切りました。
それぐらいのめり込むぐらいの世界観で警察の諦めない気持ちと被害者の気持ちが具体的に表現されています。
少し残念だったのは葵と家族の再会のシーンが読みたかったです
Posted by ブクログ
すごくいいお話やった。
進展がないまま進む感じなのに全然飽きなくてとても感情移入しつつ、この先が読めなくてワクワクドキドキした。
警察関係には悪人がいるがごく一部だと思う。
なのに、小説の世界やテレビドラマ等悪いやつが多すぎる。
たぶんどんでん返しとか、ええ?あの刑事さんが?とかを狙っているんだろうけど
私はこの本のように一生懸命な刑事さんが好きだ。
Posted by ブクログ
豪雨の中、一人の少女が消えた――そこから始まる、警察と家族の、長いたたかいの物語です。
埼玉県の小さな町で、豪雨の夕方、小学五年生の女子生徒の姿が見えなくなった。失踪したのは17時過ぎに学校を出てから、母親が帰宅した20時前までの間。学校と自宅の間の通学路は田んぼの一本道。田んぼの中に傘だけが落ちているのが見つかった。事故か、事件か、家出か。的が絞り切れないまますべての可能性に当たっていくうちに時間が過ぎていき、どんどん捜査が縮小されていく。一か月が過ぎ、三か月が過ぎ、半年が過ぎ、一年が過ぎて二年が過ぎても、諦めずにわずかな証言から手がかりを追い求め、彼らは真実に辿り着くことはできるのか。
人一人が失踪した時の捜査の困難さを感じることのできる一冊です。途中で『死体は情報の宝庫』という言葉が出てきますが、死体もない、誘拐犯からの脅迫や要求もない、目撃情報も少ない、となるとどの線で捜査したらいいのか絞り切れないものなのだな、と。まして、田舎の町のこと、心無い誹謗中傷や周囲との軋轢、捜査以外の障害も多く、情報に振り回されて二転三転しながら捜査を進める警察や家族の姿がリアルでした。
何としても見つけてやりたい、と必死に捜査に当たってくれる警察の方々の気持ちがありがたく感じられる一冊でもありました。最後の最後までどこに転がるか分からない展開で、ハラハラドキドキしながら見守ることができました。
どんな情報でも、捜査に役立つ情報になり得るのだ、と改めて感じた話でもありました。事件や事故などで情報提供の求めがあった際には、私も協力ができればと思います。
Posted by ブクログ
推理モノ小説は怪しい人物が複数でてきてそのための証拠集め、人間関係の模様に焦点が当たることが多いですが、この小説は明確な怪しい人物はおらず、警官の奈良及び警察官たちが事件事故誘拐ということもわからないまま始まります。
読んでいて、あまりにも手がかりがなくこの事件は解決するんだろうか、、、と不安になるくらいでしたが、早く解決を望む気持ちがどんどんページを捲らせてくれる一冊です。
Posted by ブクログ
映像化された作品
粗はあるけれど、リーダビリティはいいです
次々と浮かんでは消える疑惑
女児失踪事件に対する、刑事と家族の3年におよぶ執念の物語
まさに、その執念が犯人の尻尾を捕まえる
Posted by ブクログ
久しぶりにオーソドックスな警察小説を読んだ気がした。推理モノと思って読んだが、社会派ミステリーだと思う。
派手な展開はなく、ただひたすら地道な捜査が続く。解決の糸口や犯人を見つけたと思えばすぐに道に行き詰まる。事件発生から数年が経過する間に、家族や担当刑事が何を経験して、どのような心境の変化をし、諦めずに失踪した少女を探し続けるかが淡々とした日常の中にも丁寧に描かれていて、深みを感じさせる話だった。
Posted by ブクログ
少女の行方不明者事件を扱った、吉川さんにしては珍しく派手さのない作品。
そのイメージのギャップを除いて読んでみれば、家族や警官たちのやるせない想い、周囲の人や不特定の他人から向けられる思慮に欠ける無自覚な攻撃など、この種の事件の残酷さが生々しく描かれた考えさせられる作品ででした。
もしかしてこれをきっかけに作風を変えるのかな?
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。
長い間なかなか捜査が進まず、ずっとこんな調子なの?と思っていたけど、実際の捜査もこんなものなのでしょう。そのせいもあり、後半の展開に加速度がついて引き込まれました。
それにしても、ダークウェブって実際の話?恐ろしすぎる。子どもを持つ親は、心して子どもを守る対策を考えて欲しい。老人もまた然りだが。怖い世の中過ぎる。
そして性犯罪は殺人罪と同等にするべき。命があるだけでも良いとすると言う人はいるだろうが、被害者は死ぬまで苦しむわけだから。そしてその家族も。
悪い警察の小説を多く読んでいるので、警察は信じないほうがいいと思っていたけれど、奈良刑事みたいな人もいるのだろうと考えを改めました。小説に左右され過ぎか。
Posted by ブクログ
一気読み。
WOWOWでドラマ化されているのでそっちも見たいと思った。
幼女誘拐事件。残された家族と一人の刑事の執念でついに誘拐された女児を見つける。
現実にありそうな事件
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
あっと驚くどんでん返しもないが、良かった。
これは少女失踪のミステリーではなく、少女失踪事件を通して不器用ながら熱い奈良という刑事を主役としたその周りの人々の話なのか。
奈良の妹ですら長年苦しんだから、あおいはこれから先もまた別の苦しみ・戦いがあると思うが、未来が明るくあってほしい。
Posted by ブクログ
埼玉県坂戸市で小5の葵が失踪した
現場に残されたのは傘一本
誘拐か家出かー
県警捜査一課の奈良は執念の捜査で真相に迫る
先が気になってぐいぐい読めた
読み応えたっぷりでとてもよかったからこそ、知りたかったことが書かれてなかったのがちょっと残念
Posted by ブクログ
まさに執念の捜査。事件解決に近づく糸口が見つかってからは怒涛の如く捜査が進んでいく。
特別なトリックや仕掛けがあるわけではないか゛
面白かった。
Posted by ブクログ
2024.03.21
ストーリー本体と刑事の抱える苦悩とがうまく描きわけられていることに感動した。こういう二つのストーリーを並行させるとバランスを取るのが難しい。しかし、バランスよく配置されていて読み進めるのに違和感なかった。
Posted by ブクログ
吉川英梨さんが好きで、読みました。
誰が誘拐犯人なんだろう?先が気になり読み進めていきました。
事件に巻き込まれた少女、そしてその家族の精神的な傷は一生消えないのでしょう。
そのことは、奈良刑事の妹さんの事件から想像して欲しいとの事で敢えて、この少女については書かれていないのかもしれませんね。
吉川さんの小説のラストはいつも斬新な気がします。
Posted by ブクログ
レビューに惹かれて吉川英梨さん、初読みです
現実的で地道な捜査過程を描いた警察小説
フィクションなのにミステリーの様な刺激的な話ではなく、エンタメ性も控えた作品なので、より現実感のある作品だった
激しい雨の中失踪した美少女葵ちゃん
探す家族と奈良刑事の執念の三年間の話
そして並行して時が過ぎて行く奈良刑事と妹の人生
捜査が難航し、不確かな望みと不安を常に抱えながら葵ちゃんの情報収集に費やす家族の日常が克明に描かれていて、いつまでもやまない雨の中にいる様でなかなか辛いものがあった
しかし悪い事ばかりではなく、離れていた家族は次第に歩み寄り、捜査が打ち切られても周りの人や刑事が協力を惜しまないという静かなドラマもある
ラストは、この三年間の家族とそこに協力してきた人々や奈良刑事の姿が走馬灯の様に駆け巡り、目頭が熱くなった
そして奈良刑事が大切に見守って来た妹の人生も重ねて動き出す…
動機が弱い部分が気になって☆四つにしてしまったが、いつも変化に富んだ作品を読む事が多い中、久しぶりに静かに味わえる話を読んだ気がする
こういうのも有りだなあ〜
どうでもいいことかもしれないが、私はずっとカバーの傘の色が赤だと思っていた
読んでオレンジだと知る
確かにオレンジか・も・・(๑•ૅㅁ•๑)
思い込みだったと気付いた時、人はやたら驚く
(๑ʘㅁʘ๑)!!
Posted by ブクログ
警察小説で行方不明者を探すタイプは初めてだったので、展開が読めず面白かったです。
終わり方、好きだったなあ…。少し物悲しい感じが良かった。
犯人当てゲームじゃないから、何とも言えないけど、辿り着く理由がちょっと弱いなあ。。意外感はそこまででした。
ダークウェブが出てきたり、コミケが出てきたり、誹謗中傷の嵐、詐欺と今起こりうる事象とそれに伴う嫌なシチュエーションが盛り込まれててハラハラしました。
Posted by ブクログ
読み応えある一冊だった。結果的に無関係となる人の捜査も細かく書かれているし、他の事件に出向くものまで書かれているので、奈良刑事の大変な苦労が分かる。
解説でドラマ化されていたことを初めて知り、キャストを調べてみた。すごくいい!観たい。
本筋とは関係ないけど、
これまで読んできた本って、上司に逆らっても自分の勘を貫いて単独行動する方が主人公なのが多いけど、今回はそういうのを部下に持つ方が主人公で、部下の勘はこれまで外れまくってて、しかも部下は元上司。今回の方が現実的なのかな…
あと、いたずら電話!逆探知で住所まで分かってるならすぐ捕まえてほしい。
Posted by ブクログ
怖いけど引き込まれた
犯人を追って数年経過していくのが、この先どうなるのか気になって引き込まれた
悲しくもあり感動もあり
吉川英梨はハズレたことがない
Posted by ブクログ
事件を追う刑事と事件に巻き込まれた家族達を描いた作品。
事件としては、何人もの容疑者を出しておいて、その中に紛れてるというリアリティのある内容で、良い手法だなーと感心した。
この本で1番描かれてるのは残された人たちの環境だったと思う。
ネットの誹謗中傷、被害者に対する詐欺、冷たい目。
実際に起こってることを描いてくれており、被害者と被害者家族に対する考え方を改めないとあかんな。
Posted by ブクログ
刑事の多忙さ、ねばり強い執念には、頭が下がる思いで読み進んだ。被害者家族への詐欺や悪戯電話の場面は、読むのを中断する程読んでて嫌な気分になった。3年もの月日を経て、過去に取り調べた人物の癖を覚えてた奈良刑事には、脱帽する。
エピローグが素敵で、ホッとした。
Posted by ブクログ
ある日突然消えた我が子。捜査線上に何人も怪しい人物が浮かび上がっては消え、浮かび上がっては消えの繰り返し。錯綜する証言。ドラマとは違い、遅々として進まない捜査。被害者家族に対する悪意の数々。事件そのものもですが、事件の背景にあるものや事件によって否応なく変化していかざるをえなかった家族の様子やその周囲の人々の様子がとても上手く描かれていると思います。
事件から月日が経ち、縮小、そして解散されていく捜査本部。それでも娘を必死に探す父親の姿と、諦めない奈良刑事の姿がとても印象的でした。娘(沙希にとっては妹)が帰ってくるまでは絶対に諦めないで探し続ける家族の姿が胸に迫り、読み進める毎に切なくなっていきました。葵は、最後の方で本当に些細な証言から発見されるのですが、そこに至るまでの警察の地道な捜査に脱帽です。とても読み応えのある作品でした。
Posted by ブクログ
地道や愚直という言葉を体現するかのような小説です。
ドラマだとあっという間に解決していく事件も、現実は途方もない時間の労力の積み重ねで一つずつ進めていくのだなと感じました。
また、詐欺被害に遭ってしまうシーンは、こんなにも酷いことをよく出来るものだと呆れてしまいました。
「沙希はケーキを二つしか買っていなかった。」
Posted by ブクログ
※
刑事、家族、被害者たちの折れない姿に
胸が揺らされる物語。
太陽を見続ける向日葵のように真っ直ぐで
力強い人たちのお話でした。
ーーーーー
豪雨の日に、学校から帰宅途中の一本道で
忽然と姿を消した小5の少女。
手がかりのないまま、必死に探し続ける
家族と刑事たち。
事件が事故か、もしくは家出か、幾つもの
選択肢から絞り込めずに捜査は進むけれど
少女の足跡も犯人の痕跡も見つからない。
センセーショナルな事件に周囲は騒然となるが
時間の経過とともに、徐々に人々の記憶から
遠ざかり話題に上らなくなっていく。
そんな中、一人の刑事が諦めずに事件を
追いかけ続け、その真摯な姿に次第に家族とも
心を通わせていく。
使命感か正義感か、諦めない刑事の執念の
根底にあるものも並行して見えてきて、
失踪した少女が見つからないまま月日は経ち
疲弊していく人々の姿には絶望が堆積していく。
Posted by ブクログ
ど真ん中ストレーーート!!
って感じの警察小説。
ブグログ内で評価高いですね~。
行方不明になった少女を探す警察と家族の姿が描かれています。
まさに執念。主人公の警官の捜査には頭が下がります。
実際の警官がみんなこうだとどれほど頼もしいだろうか。
被害者家族の苦痛や頑張りも痛々しいほどでした。
まるでノンフィクションのようなフィクション。
でも、すらすら読めますね~。
そして私ですら2度も目頭が熱くなってしまいました。
ラストはもちろんですが、中盤での母親の置き手紙。あれはヤバい。
いつ帰ってきてもいいように鍵をかけずに仕事に行き、晩ごはんを用意しておくなんて。おそらく毎晩かかさずやっているのだろうと思うと、ゆるゆると涙腺が緩みます。
な、泣きはしませんよ。緩んだだけですから。
それにしても母親って不思議ですね。最後もそうだったけど、どうしてそんなに子供のお腹を心配するのか。本能の為せる業なのか~。
犯人にたいしてはもちろんですが、野次馬やら心無い言葉を発信するクズどもに大いにムカつき、さらにそれよりもゾッとしたのは、自分ではレイプできる力が無いからといって少女の情報を流してレイプに役立たせ、何処かの誰かにレイプされてる少女の姿を想像して歓んでいた男の醜悪さよ。クズか。クソか。どんな歪み方よ。
よくもこんな設定を思いつけるもんだわ。
ネットの進化は捜査にも役立つが、犯罪にも役立ってしまう。
人間の本質は善も悪もある。残念だが道具の進化はどちらにも利してしまうのだろうなー。
塩田武士さんの「罪の声」のときもそうだったが、あまりにも実際の事件に寄せられ過ぎていて、そこが嫌だった。
実際の事件から着想を得るのは構わないけど、そこから一歩も出ていない気がする。
良い意味でも悪い意味でもど真ん中ストレート。
いろんな感情を刺激された良い作品ではあったが、まんま過ぎんかな?
好きな人にはごめんなさ~いm(__)m
Posted by ブクログ
雨の放課後、小5の女児が消えた。
誘拐か家出かはたまた事故…。
手がかりのないまま難航する捜査。
家に帰る間もなく解決に向けて奔走する捜査員たち。
疲弊して行く家族。
綻びを見つけてはそれを追う捜査員。
それによって傷付いてゆく人々。
辛い日々を送る家族への心無い誹謗中傷。
3歩進んでは2歩下がる…先の見えない日々の中で時だけがすぎて行く虚しさやるせなさそして緊迫感。
それでも葵ちゃんを諦めない捜査陣と家族。
これは、読んでいるこちらも心をすり減らし体力を消耗する思い。
少しずつ真相に近づいて行くのではなく、目星を付けた結果、何も得ることのない無関係な捜査もあることで喪失感を誘う。そのことでよりリアリティを感じる。
きっと現実の捜査とはこう言うものなのだろうと思う。
扱いが難しいと思ったのは、趣味嗜好…それに賛同はしないけれど理解も難しいけれど、思うだけでも〝罪〟なのか〝悪〟なのか…。
事件がなければ何事もなく生きて行けたかも知れない男の人生を思うとちょっとやるせない。
現実…その職業を選択した時点でそちら側という人は少なくないような気がする。
子育てする中で「ん?」と思うようなことは何度もあった。
もちろん全ての人に当てはまるわけもなく、そうであっては困るけれど、ひっそりと息を殺して生きている人たち全てを表に晒し出すことはできない。
だけど、表にでてしまったらもう〝普通〟の場所には戻れない。
被害者もまた〝もといた〟場所には戻れない。
それでも生きていかなくちゃならない苦しみに被害者でないものが寄り添うことは難しい。
人は自分と違うものを嫌悪したり好奇の目で見たり排除しようとしたりする。結局、それも弱さなのだろうと思う。
日本の年間行方不明児童は1,000人を超えるという。それを知ると小説だなんて言ってられない。
被害者家族への誹謗中傷も詐欺行為も物語ではなく現実におきている。
誰もいなくならないでほしい。ただそう思うことしかできない。
今年の28冊目