あらすじ
埼玉で小五女子が失踪。県警の奈良も捜査に入る。錯綜する証言、意外な場所で出た私物、男に目を付けられていた――情報は集まるも少女は見つからない。捜査本部が縮小されるが、奈良は捜し続ける。彼を駆り立てるのは、かつて見知らぬ男に陵辱され、今も心に傷を負う妹の存在だった。奈良の執念は少女発見に繫がるのか。警察小説の新旗手、最高傑作。
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Posted by ブクログ
「奇跡とは、何かが起こることではなく、状況が整うことだ」
ムロさん主演のドラマにいたく感動して、再読。
犯人逮捕の奇跡は、僥倖などでは決してなく、捜査に関わる警察関係者一人一人の、まさに乾草の山から針を探すような地道で粘り強い作業の積み重ねの結果に他ならない。称賛や感謝を期待するわけでもなく、酷暑も大雨も極寒も関係なく、ただ犯人逮捕の使命感と執念をもって粛々と職務にあたる捜査官たちの姿に、ただただ深い敬服の念。
小説もドラマも、事件発生から犯人逮捕に至るまで、その時々の被害者家族の苦悩、捜査陣の士気の波が過不足なく丁寧に、違和感なく描かれていて、どちらも本当に良かった。
Posted by ブクログ
2日で読み切りました。
それぐらいのめり込むぐらいの世界観で警察の諦めない気持ちと被害者の気持ちが具体的に表現されています。
少し残念だったのは葵と家族の再会のシーンが読みたかったです
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
あっと驚くどんでん返しもないが、良かった。
これは少女失踪のミステリーではなく、少女失踪事件を通して不器用ながら熱い奈良という刑事を主役としたその周りの人々の話なのか。
奈良の妹ですら長年苦しんだから、あおいはこれから先もまた別の苦しみ・戦いがあると思うが、未来が明るくあってほしい。
Posted by ブクログ
ある日突然消えた我が子。捜査線上に何人も怪しい人物が浮かび上がっては消え、浮かび上がっては消えの繰り返し。錯綜する証言。ドラマとは違い、遅々として進まない捜査。被害者家族に対する悪意の数々。事件そのものもですが、事件の背景にあるものや事件によって否応なく変化していかざるをえなかった家族の様子やその周囲の人々の様子がとても上手く描かれていると思います。
事件から月日が経ち、縮小、そして解散されていく捜査本部。それでも娘を必死に探す父親の姿と、諦めない奈良刑事の姿がとても印象的でした。娘(沙希にとっては妹)が帰ってくるまでは絶対に諦めないで探し続ける家族の姿が胸に迫り、読み進める毎に切なくなっていきました。葵は、最後の方で本当に些細な証言から発見されるのですが、そこに至るまでの警察の地道な捜査に脱帽です。とても読み応えのある作品でした。
Posted by ブクログ
ど真ん中ストレーーート!!
って感じの警察小説。
ブグログ内で評価高いですね~。
行方不明になった少女を探す警察と家族の姿が描かれています。
まさに執念。主人公の警官の捜査には頭が下がります。
実際の警官がみんなこうだとどれほど頼もしいだろうか。
被害者家族の苦痛や頑張りも痛々しいほどでした。
まるでノンフィクションのようなフィクション。
でも、すらすら読めますね~。
そして私ですら2度も目頭が熱くなってしまいました。
ラストはもちろんですが、中盤での母親の置き手紙。あれはヤバい。
いつ帰ってきてもいいように鍵をかけずに仕事に行き、晩ごはんを用意しておくなんて。おそらく毎晩かかさずやっているのだろうと思うと、ゆるゆると涙腺が緩みます。
な、泣きはしませんよ。緩んだだけですから。
それにしても母親って不思議ですね。最後もそうだったけど、どうしてそんなに子供のお腹を心配するのか。本能の為せる業なのか~。
犯人にたいしてはもちろんですが、野次馬やら心無い言葉を発信するクズどもに大いにムカつき、さらにそれよりもゾッとしたのは、自分ではレイプできる力が無いからといって少女の情報を流してレイプに役立たせ、何処かの誰かにレイプされてる少女の姿を想像して歓んでいた男の醜悪さよ。クズか。クソか。どんな歪み方よ。
よくもこんな設定を思いつけるもんだわ。
ネットの進化は捜査にも役立つが、犯罪にも役立ってしまう。
人間の本質は善も悪もある。残念だが道具の進化はどちらにも利してしまうのだろうなー。
塩田武士さんの「罪の声」のときもそうだったが、あまりにも実際の事件に寄せられ過ぎていて、そこが嫌だった。
実際の事件から着想を得るのは構わないけど、そこから一歩も出ていない気がする。
良い意味でも悪い意味でもど真ん中ストレート。
いろんな感情を刺激された良い作品ではあったが、まんま過ぎんかな?
好きな人にはごめんなさ~いm(__)m