江戸川乱歩のレビュー一覧
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ネタバレ鏡合わせの世界とは不思議に魅力的なものであるが、半円の鏡と半円の鏡を向かい合わせて球体の鏡を作ったとするならば、その玉の中心から見えるのはどのような景色だろうか。この物語は、そんな誰でも思いつくような、しかし決して実行することはないような想像を、実際に試してしまった人物についての物語であった。
人が発狂するまでを丁寧に追っていて、まるで隣で知り合いが狂っていくのを見ているようだった。と同時に、彼が思考実験の末にたどり着いたその世界はとても綺麗だろうなとも感じた。ついに球体鏡の中に入り、発狂した友のことを、「怪物の世界に足を踏み入れた」と表現しているところもよい。
そうして、人間ほどの大きさの -
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江戸川乱歩文学忌、享年70歳
1925年 大正14年 「新青年」初出
「赤い部屋」に集う7人
常識では語れない体験を語る
新入の男が語る「未必の故意」的完全犯罪
倫理と心理の妄想
この「未必の故意」とは、直接的に殺す意図はないが、結果として殺害が起こることを認識しつつ行動する心理状態を指す。語り手は、自己の行為を正当化せず、むしろその曖昧さと罪の重さを深く自覚している。
語り手の告白は、単なる犯罪談ではなく、人間の意志と無意識、倫理と罪の境界を問う。
心理戦が面白いと言えば面白い
イラストは寿なし子さん
妖しげな雰囲気はよろしですけど
女の子が可愛い感じすぎるかなあ
狐面は妖しさ増し -
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江戸川乱歩文学忌、石榴忌
1931年 昭和6年 「文藝倶楽部」増刊号初出
小説家「私」は、上野動物園で猿に真似をさせて遊ぶ奇妙な男に声をかけられる。男は猿の模倣の話を引き合いに出しながら、やがて自分が体験した小説になりそうな事件の話を語り始める 。
物語は、ビルの5階の貸事務所で始まる。連続する首吊自殺。
男はその真相を目羅博士という目医者が鏡を使った自殺風殺人と知る。
それを逆手にとった青年。
おそらく当時多少増えてきたビル群からの
発想でしょうか
あり得そうで面白い
イラストはまくらくまさん
表紙にも使われているタイル張りの床が素敵 -
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乱歩作品は乙女の本棚シリーズと相性が良いようで、現在47冊中4作が乱歩作である(太宰作品はもっと多い)。
本作『赤い部屋』は江戸川乱歩の初期の短編小説。僕は『D坂の殺人事件』に収録されているのを読んだ事がある。
推理小説黎明期を思わせる少しぎこちなく、しかし才気走った語り口が面白い。谷崎潤一郎の初期犯罪小説にも通じるものがあると思う。
とは言え、乙女の本棚シリーズで気になるのはやはりイラストや装丁。銀糸を漉き込んだ和紙の見返しも雅、黒地に白抜きの文字や、えんじに白抜きの文字はそのまま薄暗い赤い部屋の描写と共鳴し、妖しい雰囲気を醸しだす。ランプや階段など静物のイラストも良い。特に人をはねた直 -
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ネタバレ■江戸川乱歩「鏡地獄」
既読を再読。
■谷崎潤一郎「人魚の嘆き」
未読のまま。
水島爾保布の挿画ありの中公文庫で読みたいので。
■小栗虫太郎「方子と末起」 ★
初読。まさことまき。
百合、スール、手紙のやり取りという少女小説、にして不思議の国のアリスモチーフ。
推理小説<恋愛小説。
■泉鏡花「妙の宮」 ★
初読。
たった4ページだが、なんでこんな風景を思い描いたのだろう? と。
■木下杢太郎「少年の死」
高原英理・編「少年愛文学選」で既読。
■坂口安吾「蝉―あるミザントロープの話―」
初読だが、混乱をそのまんま文章にした風情で、よくわからなかった。
Misanthrope はフランス -
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ネタバレ総題の漢字よし。
収集箱じゃつまらない、蒐集函なのだ。
カバーイラストも素敵。
新潮文庫nexというレーベルで、ヤングアダルトにこの作品たちを差し出した編集部、GJ!
■坂口安吾 桜の森の満開の下
既読を再読。
■芥川龍之介 影 ★
初読。
芥川といいえばドッペルゲンガーなのでそういうことかと中盤で思わせておいて、ラストなんと映画だった? 夢だった? というオチ!
しかもそれすら真実かどうか不明な放り出し方。凄い。
しかし、「歯車」でも感じたことだが、狂気に飲み込まれそうな感覚を、それでも作品化「しちゃえる」ことが、逆に悲劇だったのかもしれないと考えたりもした。
■江戸川乱歩 芋虫
既読