苫野一徳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
一般意志は個別意志の総和から衝突し合う私的な利益を差し引いて、みんなの利益になるものとして見出された合意。p.90
一般意志はそれがみんなの利益をめざすものであるというその概念の定義上、常に正しい。みんなの利益をめざすものは政治的に正しい。一般意志はみんなの利益をめざすものだから政治的に正しい。p.87
一般意志はすべての人の利益になる合意なので、誰かの自由を犠牲にする全体主義と同一視できない。p.67 ※アーレントは「同一視」しているのではなく、全体主義への道が潜んでいると指摘しているのでは。
一般意志は実現しなければ意味のない原理ではなく、政治権力や法の正当性をはかる基準として意味を -
Posted by ブクログ
ネタバレ苫野先生のVoicyを聴いて、興味が湧き読破。
この本を買ったのは、何年か前。
その時は、パラパラと中身を見て「なんか小難しそうだな…」と思い、読んでいなかった。
読んでみると思ったよりも読みやすく、最後まで興味を持って読むことができた。
哲学的な難しい話も少し出てくるので、その部分は軽く読み流すところもあった。
子どもに学び続ける力(学力)をつけるという点は大賛成で、私が目指している教育の姿でもある。
絶えず自己更新をしていく必要があるのは、子どもだけでなく教師も同じであり、省察的実践家として在るべきというのも納得。
自由になるために学び、教育の土台には「自由の相互承認」があるという点 -
-
Posted by ブクログ
とかく頭の良い人は白か黒かの0ー100思考で、一気呵成に仕組みを変えたがる傾向があるが、この著者はそういった極端な考え方を戒め、ゆるやかな変革を是としている点で好感が持てる。教育の目的が自由の相互承認という主張は「本当にそれだけか?」という疑問が最後まで残ったが、主張が最初から最後まで首尾一貫しており理解はしやすい。
ただやはり著者が期待するような時間軸で、著者が期待する方向に教育が変わっていくとは思えなかった。つまるところ資本家や支配層がどういう人材を必要とするかで教育の方向性が決まるのであって、一概に「よい」方向に改革が進むとは限らない。むしろ支配層のお仲間だけが競争せずして支配権力を継承 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる -
Posted by ブクログ
一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対