苫野一徳のレビュー一覧
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子どもたちが自律的に考え、他人と合意を形成していくための教育をしていこうという主張。成田悠輔さんの22世紀の民主主義を合わせて読んでいたこともあって、工藤先生がおっしゃる民主主義という言葉が適切であるのかは少し疑問でした。
自分自身から見える世界ではやはり、他責的な思考に陥っていることは確かにそうであり、自律的に物事を考える姿勢を子どもたちに伝えていきたいということには共感できました。
一方で、対話の中でwin-winになれる結論を探っていくことは大事ではあるが、そのような合意を形成すること難しさが抜けていると思う。誰にでも、また、短期間でできるようなことではないでしょうか?
現に工藤先生自身が行った改革はトップダウンによる強硬突破だと思います。
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Posted by ブクログ
とかく頭の良い人は白か黒かの0ー100思考で、一気呵成に仕組みを変えたがる傾向があるが、この著者はそういった極端な考え方を戒め、ゆるやかな変革を是としている点で好感が持てる。教育の目的が自由の相互承認という主張は「本当にそれだけか?」という疑問が最後まで残ったが、主張が最初から最後まで首尾一貫しており理解はしやすい。
ただやはり著者が期待するような時間軸で、著者が期待する方向に教育が変わっていくとは思えなかった。つまるところ資本家や支配層がどういう人材を必要とするかで教育の方向性が決まるのであって、一概に「よい」方向に改革が進むとは限らない。むしろ支配層のお仲間だけが競争せずして支配権力を継承する仕組みの方が好ましいと考えているはずで、今後も被支配階層(国民の99%)に対する愚民化政策が推進される可能性が高い。著者が主張する新教育で育った自己主張の強い人間が受容されるようになるのは社会全体の価値観がすっかり変わらない限り難しいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる少数派になってる…という状況がたまに起きるようになり、うかうかと思ってることを言いづらくなりました。(例えばマイナンバーカードを持つことについてとか…)
組織の中でできる活動として、教育に関するおかしな介入や締め付けに抵抗している友人の姿を目の当たりにすると、自分も黙っていてはいけないと思うものの一個人でどんな風に「おかしいぞ!」とか「ふざけたことしてんじゃないよ」と世の中に問えばいいのか、問えるのかと無力感が正直あります。
大きな声を発することができなくても、周りがみんな朱くなっても自分が白だと思ったら白という意見を曲げない強さをせめて維持し続けたいと思います。
本書は、これからまた数年過ぎたところから本書が著された当時を振り返る、そしてその時の現実・現状を見直すという、考え続けるための一つの標となる一冊だと思います。
編集部によるあとがきにも勇気をもらいました。今後もこのような良書を出版し続けてほしいです。 -
Posted by ブクログ
一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対する挑戦というか。
個人的には反日思想の展示など不愉快だし、する必要はないと思うが、一方で表現に規制がかかる危うさには怖さを感じる。こうした規制を許せば今後、反日的なものでなくとも、政府や権力者が、言論や表現に制約をかけられる世界になっていくわけだから。
アートの世界だけでなく、科学技術なども国の意向に沿わなければ補助金がなくなり、活動できなくなってしまう模様だ。それは果たして国民にとって健全な、豊かなことなのだろうか。賛否両論のものに対して全員が自由に発言できる世界、何事にも反対意見を出して議論できる社会、多面的に物事を考えられる世の中、そうしたものを守らなければ。などと思いました。