苫野一徳のレビュー一覧
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教育改革と言いながら、なかなか現状維持からの脱却ができない現実がある。この本を読んで、学校の制度や、学級のあり方、教育に対する考え方に思っていた以上に不都合が生まれてきていることを感じた。けれども、変えていくには時間と労力が必要で、それを進める意志の力もいる。多忙な現場では負のスパイラルに陥っていることを感じることも多い。けれども、本著では、教師を信頼し、その成長を長期的に支援することの必要性が書かれており、相互承認を基盤としたあり方だなぁと、感じた。最後の長期的なヴィジョン、実現していくといいなぁ。子どもが自分の力を実感しながら、満たされて伸びていける、自由感のある学校になるといいなぁ。
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Posted by ブクログ
『ルポ 誰が国語力を殺すのか』の中で哲学対話が紹介されていたので関連書籍を読んでみようと思い立ち、購入。
内容はとても興味深く、小学校教師を目指す者として哲学対話を学校で取り入れたいと感じた。
一方で今の子どもたちに答えのない議論をさせるのは難しいのではないかという不安もある。
著者の娘さんたちは自分の軸を持っていて、考えを言語化できている。すごい。
なんならそこらの大人よりしっかりしてる。
しかし学級ではそうはいかない。
発言はおろか、考える行為自体困難な子どもだっている。中途半端に導入すれば、たちまち授業が成り立たなくなるだろう。
だからこそ指導者の腕が試される。
哲学対話について色々調 -
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白くて、勉強になった本。
私は昔から哲学に対して「揚げ足取りの屁理屈」だと感じていた。
ただ年齢を経て、哲学への興味は出てきたもののなかなか哲学って掴みきれないな、とも感じていた。
そこで、本書に書いてあった
・哲学とはなにか
・宗教や科学との違い
・哲学的思考の出発点やゴール
・帰謬法の説明と対処方法
などが今の自分の哲学への解像度をぐっと上げてくれた。
現代の科学的思考や宗教とも違う、概念の本質を考え、相互理解を深め、共通了解を見つけるための思考や議論の大切さを深く感じた。
SNSを中心とした物事を、単純に黒か白かで判断したり、単なる合理性だけで判断する人が増えて -
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竹田青嗣先生と苫野一徳さんの初の対談本、
一気に読んでしまいました。
普遍暴力をいかに逓減するか、という問いかけ。
ずっと頭にこびりつきながら問いかけていたことは、
「ではどうやったら具体的に、日常においてそれが可能か」
ということ。
仕事や、家庭、あるいはそれぞれの共同体の中で、
「場」を創設していくには?
あるいは確かによくできた原理かもしれないが、
覇権主義の現在の世界システムで、「相互承認」の感度を世界的に育んでいくことはできるのか?
人間には理性とは別のエゴイズムの原理があって、道徳はおろか法をも掻い潜ってそれが制御不能なものになるのが人間の常ではないか。
(いじめや学級崩壊や -
Posted by ブクログ
# 物事の本質についての考察
- 絶対的な本質は存在せず、「人それぞれ」という面がある
- しかし「人それぞれ」で終わると議論が進まない
- 個々の経験(例:良い教育の経験)を共有し対話することが重要
- 多くの人が納得できる共通点を探すプロセスこそが「本質」を見出す道
- この対話は他者との違いの発見と自己理解にもつながる
# 対話の進め方
- まず「本質」を探りたいテーマを設定する(友情、自由、幸せ、良い社会など)
- できれば自分の最近の体験や選んだ理由に基づくテーマが良い
- 参加者がテーマに関する具体的な経験や考えを持ち寄る(例:最近感じた幸せな瞬間)
- 共有された経験から -
Posted by ブクログ
宗教、哲学、科学。現代にも強力な方向性を導く思想/学問であることは違いないが、近年特に「哲学」のあり方や価値が見直されている。
高度経済成長期の盛りに沸騰した資本主義社会の中では、ある種の「もたらされる必然的な事実」の海をありきたりに航海すればどうにかなる社会であったのかもしれない(当時の時代背景を蔑んでいる訳では決してないことを留意いただきたい)。
しかし現代はVUCAとも呼ばれるように「多様性」「不景気」「格差」などの極めて複雑かつ困難性が高い状況において、絶対的真実なるものは全く無く、先々の未来は各個人の意志に委ねられることが多いと思うのである。
その純然たる個々人の意志にあらゆるものを -
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世の教育に携わる人は必読だと思った。これからの公教育の目指すものは学びの個別化と、自ら学ぶ力だと言ってる。
苫野一徳
1980年生まれ。熊本大学准教授。博士(教育学)。関西学院高等部、早稲田大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。早稲田大学教育・総合科学学術院助手、日本学術振興会特別研究員などを経て現職。専攻は、哲学・教育学。
自身の著書『子どもの頃から哲学者』において、17歳から8年続いた躁鬱病(双極性障害)を哲学によって克服したことを告白している。
教育の力 (講談社現代新書)
by 苫野一徳
教育の世界に身を置いていていつも心苦しく思うのは、みんな