あらすじ
民主主義の原型を構想したルソーの思想。その本質を知り、私たちの社会を問い直す!
「社会契約」とは? 「自由」の本当の意味とは? 民主主義の理念の起源とは? 現代社会の根源的課題を考えるうえで必読の名著『社会契約論』。ルソーの生きた時代、彼の思想、その人となり、生涯なども解説しながら、難解な本書を平易にときほぐす特別授業が、自由学園の生徒たちとのオンライン講義と対話で実現! ルソーの『社会契約論』は「哲学とは社会を考えるうえで、こんなに役立つのだ」という最高の実例だ。本書を読み進めながら、「よい社会の本質」にたどり着くための思考法を伝授する。
第1講 ルソーの読み方 その人生と思想
第2講 社会契約論の核心
第3講 「よい社会」の根拠は「一般意志」にあり
第4講 若者たちと考える『社会契約論』の可能性
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Posted by ブクログ
社会契約論のエッセンスを平易に解説した良書。
社会や政治に興味を持つ高校生あたりが読んでおくと良いのではないでしょうか。
現代は民主主義の危機とか色々言われていますが、こういう時代にこそ、このような古典の名著の考え方に触れておくのは意義のあることだと思います。
Posted by ブクログ
解説がとても分かり易い。社会契約論を読んでみようと思わせる一冊。学生たちとの対話も面白い。
苫野先生の思想がちょこっと出てくる部分も深掘りして読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
一般意志は個別意志の総和から衝突し合う私的な利益を差し引いて、みんなの利益になるものとして見出された合意。p.90
一般意志はそれがみんなの利益をめざすものであるというその概念の定義上、常に正しい。みんなの利益をめざすものは政治的に正しい。一般意志はみんなの利益をめざすものだから政治的に正しい。p.87
一般意志はすべての人の利益になる合意なので、誰かの自由を犠牲にする全体主義と同一視できない。p.67 ※アーレントは「同一視」しているのではなく、全体主義への道が潜んでいると指摘しているのでは。
一般意志は実現しなければ意味のない原理ではなく、政治権力や法の正当性をはかる基準として意味をもつ。p.66
国が滅ぼされると、せっかく手に入れた安全や自由を根こそぎ奪われるから、これを守るためには命をかける必要がある。自分たち以外にこの国を守ってくれる人はどこにもいない。「統治者が市民に《汝、国家のために死なねばならぬ》と言うときは、市民は死ななければならない(ルソー)」p.92
ルソーが提示したのは哲学原理であり、ロベスピエールがやったのは原理主義。だから(独裁・恐怖政治の)ロベスピエールはルソーの後継者とはいえない。p.109