【感想・ネタバレ】子どもたちに民主主義を教えようのレビュー

あらすじ

【メディア続々掲載!!】

★南沢奈央さんが「2022年の3冊」として本書を紹介(読売新聞・22/12/25)
★東洋経済「教育関係者にお薦めしたい」10冊 2022年がわかる、23年に備える教育トレンドに掲載!
★東洋経済オンライン 掲載 (23/1/6)
★京都新聞 (書評欄 22/12/10 )
★信濃毎日新聞 (22/11/29)
★熊本日日新聞(書評欄 22/11/25)
★文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ! 」著者出演
★鴻上尚史さん(作家・演出家)推薦!

★ベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』著者
元麹町中の校長と、教育の本質を問い続けてきた哲学者・教育学者が初タッグ!
★これからを生きる子どもたちに必須の力とは?
★全国の親からも絶賛の声

「教育の役割とは何か?」
「学校は何のためにあるか?」

学校改革の旗手と教育の本質を問い続けてきた哲学者・教育学者が
教育の本質を徹底議論! 究極の目的は「民主主義」教育だった。

ーー「多数決で決めよう」のどこに問題があるか、わかりますか?

「誰一人置き去りにしない」を教えるはずの教室で
平然と少数派を切り捨て、
一度決めたことには従え! と「従順な子」をつくる教育がおこなわれている。

未来の社会をつくる子どもたちに本当に伝えるべきことは、
対立を乗り越え、合意形成に至るプロセスを経験させることではないか。
学校で起きるトラブルこそが絶好の学び場であるはず……

本書は、子どもたちの「対話の力」を重視し、
学校で民主的な力をいかに育むかを提案する実践的教育書だ。

民主主義の考え方を広めていくことで
当事者意識が低い「日本社会」をアップデートする、
著者二人のつよい覚悟を持って書かれた。

いじめ、理不尽な校則、不登校、体罰、
心の教育、多数者の専制、学級王国・・・

いまの学校が抱える大問題を分析しながら
何ができるか、どこから変えていけるか、
哲学と実践を見事につなぐ画期的1冊。

現場で奮闘する教育関係者・保護者、必読!

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Posted by ブクログ

教育の当たり前を徹底的に問い直し、「それは何のため」の目的と、最上位目標を常に追うことの大切さを学んだ。まだまだ私は既存の教師はこうある「べき思考」にとらわれているのだな~と反省。
工藤さんも苫野さんもやっぱり先駆者!おもろんちゅすぎる

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

工藤勇一さんの対談内容がとても刺激的で、私が理想とする学校教育を提示されていて一気読みしてしまいました。「誰1人置き去りにしない」が心の軸に、いえ、生き方の軸になっていて、民主主義とか自由の相互承認とか難しい言葉を使われてますが。本質は「対話」。このスキルを私も学んでこなかった。自分と違う考え方を否定したり論破するのが強さであり正しさだと思っていたし、何かを生み出せるスキルではない事にも気づいていた。
日本の教育は、ドラマ「御上先生」のように上手くいかないだろうけど、保育者である私自身がこ」なら、言葉を獲得する時期の幼児期の子どもたちとが変わっていく中で、対話の力が芽吹くような保育を展開したいと感じた。
教員だけでなく、保護者にも保育者にも読んでほしい一冊。

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

教育観、組織観の転換は、もはや必至。本書の刊行の何年も前から、本書で語られているようなことは広がっています。しかし・・・おそらく現場の先生方のうち、少なくない人数の方は、そもそも読書をしていない。目の前のことに追われ、ようやく解放された後で生まれる時間内での、読書への優先順位が低いからかもしれませんが。なので、世の中の流れから取り残され、『自分や周囲の経験重視』『かつての価値観の継続』となってしまうのかも。/工藤先生や苫野先生は、目立つ発信者。その他の様々な考え方に先生方が触れれるよう、支えになりたい。

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2025年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最上位目標の設定や、裁量を与えてみんなを当事者にすることが肝かと思った。当事者意識を持ってもらえないこともあるけれど、みんなが裁量を持ち、みんなの意見が必要だと言い、忖度なくみんなの意見をもとに合意することを繰り返していけば、当事者意識が高まっていくのかもしれない。また、上手くいかなければno dealもありかなと思った。

また、第三の案作りを楽しめるようになる、という記載があって驚いた。何度も挑戦し成果を出していければ、楽しさを感じられるのかもしれない。戦略を持ち、勝ちながら変えていく。

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2024年06月23日

Posted by ブクログ

民主主義を学ぶとは自律的な解決方法を身につけてもらうものであり、法教育の最上位目標とほぼ同義ではないか。

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も読み直したいと思う本に出会えた。

民主主義と誰1人取り残さない。

色々な考えを受け入れて、自分の思いを一方的にぶつけない、そんな教師でありたいと思った。

以下本文抜粋

3つの問いかけ
1.どうしたの?
2.どうしたいの?
3.何か手伝える事はある?

日本型教育の問題点の解決のポイント
1.心の教育
思いやりだけで問題は解決しない
2.いじめ問題
ちょっとしたトラブルもいじめ扱いし、大人が過度に介入することが、子供の自立や問題解決力を奪ってしまう
3.教員養成
教師の仮面を被る練習をさせない。教師も失敗することのある1人の対等な人間
4.理不尽な校則
理不尽な校則が民主主義社会におけるルールの本質の理解を妨げている
5.学級運営
団結.心を1つになどの言葉や学級王国がクラスの同質性を助長する
6.教師の力
1人の教師に、クラスのすべての責任を負わせる、固定担任制モデルは、サービス提供型教育の競争を加速させ、子供たちの依存を生んでしまう

学校を民主主義を学ぶ場に変えるヒント
1.子供たちに学校を作る体験を
2.合意を目指す技術を学ぼう
3.対立構造を作らない。
4.ボトムアップで変えていこう。
5.常に何のために?に立ち戻ろう

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2023年09月23日

Posted by ブクログ

面白かった。一気読み。工藤さんの考えはすごくしっくり来る。

学び いろいろあるが
心の教育ではなく、行動の教育に どんな場面でどんな行動をとればいいか
最上位目標は設定しても良い、そこから対話は始まる
意識改革のために 矛盾に気づく→優先事項の自問自答→矛盾しない自分に変わっていくプロセスを考える

ことあるごとに読んどきたい

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2023年07月11日

Posted by ブクログ


日本の教育の現状と課題を提示した本。

感想

良い本で非常に考えさせれる本。

10年くらい前に出会っていたかったなぁとも思う。

また工藤先生は民間のご経験があるのかと私は勘違いしていた。
どこかでお話を聞いたりご一緒してみたりしたいと思った。



教育界だけでは無いかもしれないが、
特に学校という現場は、
感情論が入りやすいような気がした。

教員の感情、
生徒の思い
卒業生の思いなど。

だから、何が最上位目標なのか?
を忘れがちな気がする。




厳しいことを言えば
この本が良い本と言われているくらいでは、
正直まだまだ日本はレベルが低いと思ってしまった。

ここに書いてることを前提として、ではどうするか?と話を進めていかないといけないと感じた。







序章学校は何のために存在するか

・学校を民主主義の土台とする

・民主主義とは、対話を重ねながら、社会やルールを作っていくことに意義がある。


・日本は民主主義国家だと思われているが、
民主主義を理解しきれていない(お上が絶対と言う意識が長い間あったから)


・教員主導で、民主的な対話の仕方を実践しながら、組織を変えていく


1章民主主義の土台としての学校

・誰1人置き去りにしないためにどうしたら良いか?を共通のゴールにする。(最上位目標とする)
多数決の問題点は、少数派の意見が切り捨てられてしまう

※多数決OKの条件
A案でもB案でも誰の利益を損ねることがないとき


・自由の相互承認(ヘーゲル)
すべての人が対等に自由な存在であることをお互い認め合う。
そのことをルールとした社会


・一般意志(ルソー)
みんなの意思を持ち寄って見出した、みんなの利益になる行為
1部の人の意思や権力で決められた方や権力はダメ



・公教育の役割
すべての人の自由を実現して、そして社会における自由の相互承認をより充実するための制度

ルールは作るものではなく、与えられるものだと誤解している人が多い


・学校は、一人一人の自由と平和な社会のためにある


・ランニング、コンパス2030 は教育界の目指すべき方向性そのもの

教育の最上位目標
個人及び社会の2030年におけるウェルビーイング


最上位目標実現する手段
①責任ある行動をとる力。
②対立やジレンマに対処する力
③新たな価値を創造する力


・当事者意識の低い日本
(特に政治への参加意識が低い)


・だから、教育が必要。
子どもの時から

【社会をみんなで作っていくもの】
【人のせいにしない自分で考え行動しよう。】
【おかしいと思ったらちゃんと声をあげよう。】
【対立は必ず起きるから、それをどう解決するか学ぼう】
ということを教える。


×あなただからできたでしょう。
×社会が悪いから学校が良くない。
×どうして全国に広がらないんですか

→当事者意識がない
 行動を起こそう



2章日本の学校の大問題

・課題①心の教育「思いやり」で対立は解消できない


心の教育はできもしないことをゴール設定にしているから、いろいろな歪みを生む


嫌いな人がいても構わない
対話を通した合意形成の経験を積むことが重要

道徳は、国や時代、宗教によって大きく変わるもの。それよりも
市民教育を



・課題②いじめ、撲滅の発想がいじめを増やす。

子どとのトラブルに大人がいつまでも介入していると、子どとたちは自分の問題を自分で解決すると言う当事者意識を失ってしまう。 


いじめの定義を広げすぎたがために、本当に助けが必要な事案が埋もれてしまった

いじめの発生件数を減らす事が、目的化すると、大人による過度の介入か隠蔽が起こる  


子どもの自己解決能力を伸ばすことに力を注ぎたい

いじめを減らすための設計の2つの提言

①学校空間で子どもたちが受けるストレスをできるだけ減らす。
自己肯定感を高めるなど

②学校設計を流動的にする
固定担任生を止めるのも、1つの手


・課題③教員養成同質性と従順さの要求

教員養成の段階で、同質性と従順さを求めてしまっている。
教師は自由の相互承認こそ教えるべき存在だが、教員養成の段階から逸脱していると、厳しい指導が入ることも


日本人の従属性は、家族システムから切っている(お父さんが偉くて兄弟姉妹が不平等)


・課題④理不尽な校則「ルールは守るもの」とだけ教える学校教育

ルールだから仕方ないと思うのではなく、
ほんとにこのルールでいいのかと言うクリティカルシンキングを


・課題⑤学級運営、学級王国の問題


日本は、学級王国を築きたがる教員が多い。

学級を家族のような集団であるべきと考えると
真面目な先生ほど苦しむ。
(愛せない子がいる、一致団結できないなど)


教師の仮面を脱ぐことの大切さ

3つの問いかけが有効

「どうしたの?」
(子供の置かれている状態を言語化してもらう。
メタ認知の1歩。頭ごなしに叱らない。)

「どうしたいの?」
意思を確認。
置かれた状態を解決するための方法を頭の中で考えるきっかけ作り


「何か手伝える事はある?」
問題解決の手助け。
どんな支援を受けるのか、手助けを受けないのかを判断するの子ども自身。
大人がサポートの意志表示することで味方であると認識してもらい、心理的安全性に寄与する。



課題⑥教師の力先生の技量を上げれば、問題を解決すると言う幻想


教える技術の向上にこだわると、子どもたちは、受け身になり、主体的に学ぶ体験ができなくなり、当事者意識も奪いかねない。
それより自立を支援する技術の方が必要。


どんな教育なら良いのか、最上位目標、本質論が欠けている

3章学校は「対話」で変わる


・自分たちの学校を自分たちで作ると言う意識を

・合意を目指すアプローチ(超ディベート)を

・スピーチ指導を徹底する理由
 みんなを当事者意識に変えていくから


プレゼンテーション3つのチェックポイント。
①僕は何のためにプレゼンしてるのか?
②誰に対してプレゼンしているのか
③話した言葉が、相手にはどう伝わっているのか


・理想とのギャップに苦しむ教員へアドバイス

①できるだけ対立構造を作らない。
戦わなくてよさそうなところから学校変えていく(例えば年1回の学校行事など)

②子どもたちに任せつつも、戦略はしっかりアドバイスをする。
やる以上成果につなげていく。


・スピーチ指導を徹底する。
常に次の3つを自分に問う
①何のためにプレゼンしてるのか
②誰に対してプレゼンしているのか
③話した言葉が、相手にはどう伝わっているのか


・理想とのギャップに悩む教員へ


できるだけ対立構造を作らない


・意識改革は、3つのステップで進む。
1自己矛盾が起きるフェーズ

2優先すべきものを自問自答するフェーズ


3 矛盾しない自分に変わっていくプロセスを考えるフェーズ

・こだわりを捨てる

終章教育を哲学することの意味

・この本を使って対話会を開いて欲しい




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2023年06月04日

Posted by ブクログ

私の好きな苫野一徳氏と、話題の工藤氏の共著ということで、読んでみましたが、期待に違わぬ良書でした。私は滅多にないんですか、もう一度読み返しました。すると、たくさんの学びがありました。工藤氏の教育に対する並々ならぬ熱い思いと、行動力に圧倒されました。何かを変えるときに、最上位目標の設定がいかに大切かが、分かりました。また、改革するとき、「対立構造をつくらない亅「戦わなくていいところから変えていく亅という指摘がとても新鮮で、心に留めておきたい言葉でした。また、「何が目的で何が手段なのか亅「手段として優先すべきものは何なのか亅を考えていこうと思いました。

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2023年05月06日

Posted by ブクログ

対談形式で、書かれていることは非常にシンプル。

民主主義教育を重要視している2人が、その目的や意義、原則、方法をわかりやすく語り合っている。

ただ真似るのではなく、本書から指針のようなものを得られるように心掛けて読み進めた。

民主主義においては、”対話“が重要であること。
また、対立を恐れず、且つ対立構造を生まずに合意形成を得るための共通の最上位目標を共有することなど、多くの学びがある本だった。

「戦わなくていいところから変えていく」
「勝ちながら変える」
面従腹背
などのキーワードも、心に残った。

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2023年03月14日

Posted by ブクログ

色々な理由をつけて
安易に多数決に頼っていた
自分を省みる。
さあ、自分からできる変革をしていこう。

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

何のために?自分の言葉は相手にどう伝わっているのか?焦らないで、目的に立ち返りながら実践していく。誰一人取り残さない!

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2023年03月04日

Posted by ブクログ

多くの人と共有したい内容の本です。
多数決の問題点、わかりますか?
考えたこともありませんでした。当たり前な手段だと思ってました。多数決という仕組みは、少数派を容赦なく切り捨てる、多数者の専制に陥ってしまう。誰一人置き去りにしない社会を作るために、何をすべきか、それぞれに考えて、対話しながら、社会を作る。民主主義の原点を教えてもらいました。

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2023年02月23日

Posted by ブクログ

【日本の学校の大問題】(「子どもたちに民主主義を教えよう」)
⒈「思いやり」で対立は解消できない
・民主主義の成熟を妨げてきたのは、これまで日本でよいとされてきた「心の教育」。
対立を解きほぐすために何が必要かというと、どんな対立があるのかを明確にしなければいけない。そして対立を平和的に解決するには、お互いの利益を損ねないためにはどうしたらいいか対話を重ねないといけない。
そうした一連のプロセスを飛ばして、「思いやり」「美しい心」で解決しようとするのはあまりに乱暴。
・日本の道徳の指導方法:「忖度」や「空気の読み方」を教えている。
それができないと排除するのが日本。
学校は本来道徳教育をすべきではない。やるべきは市民教育。
道徳は国や時代や宗教によって大きく変わる。
「黄金律」でさえも大きく異なる。
これまで人類は異なる道徳をめぐって争ってきた。
もうそんな戦いはやめにしましょうということで人類が辿り着いたルールが「自由の相互承認」。
どんなモラルの持ち主もそれが他者の自由を侵害しない限りお互いに認め合うことをルールにすること。
モラル教育ではなく、自由の相互承認のルールを教え、実践できるようになるための市民教育が必要。
・教員志望「素敵な先生と出会いまして」が多いが、それを聞いていると「最悪な気分」(工藤)
子どもたちを見ている言葉には聞こえないから。
「私が受けてきた教育はこういうところが問題と感じますので現場に入ってこういうところを変えたいんです。それが子どもたちと日本の未来のためになると思います。」という若い人が切望されている。
⒉「いじめ撲滅」の発想がいじめを増やす
・いじめは心の教育で改善しようとする限り問題は改善しない。
・9割の生徒が加害者かつ被害者。
件数を減らすことが目的になると、大人による過度の介入か隠蔽。
・トルストイ「子供が喧嘩をすると、すぐに大人が割って入って仲裁しようとするけれども、緊急性が高くないならまずはそっと見守っていなさい。子供は人間関係を自分で築き直す力を持っている。
にもかかわらず、大人がすぐに介入すると人間関係を自力で修復する機会を失われて、かえって恨みを募らせる。」
⒊同質性と従順さの要求
・大空小学校初代校長木村泰子「教師の仮面を被らない」
・そもそも教師とは一体何なのか。
「自由の相互承認」をこそ教えるべき存在。
・学生は免許を取得するために、黙って従わなければならない。
問題は、民主主義の担い手であるはずの先生が理不尽に声を上げずに「何とかやり過ごせばいい」マインドを持ってしまうこと。
建前が慣習化すると、おかしいと思っても声を上げられなくなり、自分自身も染まってゆく
⒋ルールは守るもの、とだけ教える学校教育
・学校でルールを作り合う経験をもっとしてもいい。
やり方は、ルール作りの権限を子供に委ね、誰一人置き去りにしない状態を目指して知恵を奮ってもらう。
⒌学級王国の問題点
「クラスを家族のような場所にしていこう」となった日本のクラス制度。
家族モデルは子供も先生も苦しめる。
子どもは、「何で赤の他人と一致団結しなきゃいけないんだ」
教師は「子どもを愛せない自分や問題が起こったらは、「親」である自分のせい」真面目な先生ほど苦しむ。
・学級崩壊の原因は、「学級崩壊を起こしていないダントツに素晴らしい先生」の存在。
1人の先生の肩に学級の全ての責任が背負わされることの典型的な問題。
これは心の教育と似ていてできないことを背負わされているから。
・教員の技量がでこぼこであっても、ちゃんと子どもたちを支援できるチーム制に変えた。
・「毅然として叱れ」は大きな間違い。
叱ることは、効果がない上に弊害が大きい。
「叱る」は「怒る」と違っていい意味で捉えられがちだが、ネガティブな感情を与えることで操作する行為で、叱られた側は何かを学ぼうとするよりもネガティブから逃れることを優先する。
「叱る依存」が止まらなくなる。
・三つの問いかけ
「どうした?」「どうしたい?」「何か手伝えることはある?」
子供が教室を飛び出して見つかったら、怒らず、
「おお、ようやく見つけたよ。おう、どうした」
「この先生って今までの先生と全然違う!」となる。
人間として尊重してくれていると感じる。
⒍先生の技量を上げれば問題は解決するという幻想。
・教える技術の向上よりも、自律を支援する技術。
・一般的なリーダー「何をどのようにするか」
優れたリーダー「それは一体何のため?」
・信念のぶつけ合いではなく、
その奥にある欲望に目を向けて、互いの欲望を満たし合う第三のアイデアを考えてゆく。

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2023年02月06日

Posted by ブクログ

多数決はA案B案のどちらでもいいとき(どちらになっても利害がない場合)使ってよい。

自由への相互承認
誰もが生きたいように生きたいと思っている。それを認めること。
お互いに認め合うことをルールにした社会作りをしていくことが大事。

憲法とは、国民から国家権力への命令である。
だからルールはみんなで作っていくもの。

「他者の自由を侵害しない限り、みんな違ってみんないい」こらが民主主義の考え方?

責任ある行動をとる力(当事者意識を持つ)
対立やジレンマに対応する力
新たな価値を創造する力
これらを手段として、誰もが取り残されない社会をらつくっていく。

話し合いをするときのポイントは「誰が気分を害するか」ではなく、「誰の利益を損ねるか」を考える。
この案を採用したら、誰が得をして誰が損をするのか。損をさせない方法はあるか、と考える癖をつける。

「トラブルが起こらない社会」を目指すのが「心の教育」で「トラブルが起きた時に解決できる人材がたくさんいる社会」を目指すのが「行動の教育」であり、民主主義教育である。

トラブルが起きた時には、「どうした?」「どうしたい?」「何か手伝えることはあるかい?」の声がけ。

これからの教員に求められる能力は「自律を支援する技術」

リーダーが全校生徒に語る時に必要なのが、みんなを当事者に変えていく言葉である。

三者面談の目標

「学校と保護者の信頼関係が増す」「学校と子どもの信頼関係が増す」「親子関係が少しでも良くなる」

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2023年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく面白かった。
今の教育界の現状に対して、鋭い視点で問題を指摘している。キーワードとなっているのが、「最上位目標の設定」。これに尽きる。何か活動する際に、ここに立ち返ることを徹底し、自問自答し、自分を変えていく。自分も意識したい。

また、「当事者意識」も大切な概念であると感じた。これがあるからこそ、自分たちで動き出し、活動を意味あるものにしていく。授業の場面だけでなく、特別活動や号令、給食当番といった日々の小さな活動も、全てこれにつながる。

人は簡単に変わらない、敵を作らない、妥協なくして平和はありえない、いじめゼロはあり得ない、心の教育には無理がある、行動変えるのは簡単、まずは青臭い話から、こだわりを捨てて自己修正していく…心に刺さる言葉がたくさん出てきた。現場を見ているからこそ、こちらが共感できるものがたくさんあると感じた。

馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない。このことわざのように、子どもと同様、職場内でも環境(きっかけ)づくりに注力していきたい。

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2022年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

民主的な学校=自由+自ら対立を解決する仕組み
民主主義はみんなで政治をする以上、「いかに衆愚政治を防ぐか」と「いかに多数者の専制を防ぐか」をセットで考えなければならない。
対話をする際に、最上位目標は何か?という設定と合意が必要不可欠である。
教育現場では、心を教育すればうまくいくという「心理主義」が浸透しているが、実際はそうではなく、対立をどう乗り越えるかという「行動の教育」が必要である。
信頼されるために、「どうしたの?」「どうしたい?」「手伝えることは?」の声掛けが有効。
「よい」教育は何か?という最上位目標を見失っている今、「〇〇すべき」ではなく、「〇〇したい」という教師の欲望を共有することによる相互理解が重要。
スピーチの場が少なく、「言葉は伝わらなくて当たり前」という前提が浸透していないため、いざその場面になると意思疎通ができないイライラが生まれる。もっとスピーチを増やして、「話が聞いてもらえない」「意思疎通ができない」という体験を積むのが良いのでは?

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2022年11月27日

Posted by ブクログ

今後の教育に必要な点を2人の対話を通して論じている。本質を突き詰めていくと哲学的で理想論になりがちだが、教育現場から実践的に進めてきた工藤さんの意見だと説得力がある。
一般企業での仕事の進め方にも通じるところが多く、学びが多かった。


一章 民主主義の土台としての学校
多数決の問題点とは
 少数派を切り捨て、多数派に強制的に合わせる
 =ファシズム思想
多数決は「どちらの案になっても誰の利益を損ねることがないとき」につかう

目指すべき姿
・誰1人置き去りにしない社会
 一般意志=みんながOKと言える最上位目標を探す
 自由の相互承認=他者の自由を侵害しない限り、何を考えても何をしても自由
・自分たちでルールを作るという当事者意識を持つ
・対話を通して利害関係を調整し、
 みんなにとって生きやすい社会を作る

問題はあなたが行動を起こすかどうかだ

二章 日本の学校の大問題
①思いやりでは対立は解消できない
 感情ではなく理性的に物事を考える
 美しい心ではなく、対話を重ねる
②いじめ撲滅の発想がいじめを増やす
 子供の自律を奪わない
 大人が介入しすぎると
 自分の問題は自分で解決するもの、という
 当事者意識を失ってしまう
③教員への同質性と従順性の要求
 本質観取:テーマの共通了解可能な本質を
 みんなで考え、言葉にして書き合っていく対話
④ルールは守るもの、とだけ教える学校教育
 クリティカルシンキングが出来る人が少ない
⑤学級王国の問題
 自分のクラスだけ良ければ良い
 教育のサービス化による弊害。環境が悪ければ自ら変えて学ぶアクティブラーニングがあるべき
 3つの問いかけ
 1.どうしたの?(何か困ったことあるの
?)
 2.どうしたいの?(どれからどうしようと考えているの?)
3.何か手伝えることはある?(私に何か支援できることはある?)

⑥先生の技量を上げれば問題は解決するという幻想
 教える技術の向上ではなく
 自律を支援する技術の向上が必要
三章 学校は対話で変わる
 学校運営を子供に託す
 合意は超ディベートで目指す
 A案とB案の対立があったら、もっといいC案をみんなで考えていく
 生徒会も定期的にスクラップ&ビルド
 プレゼン3つのチェックポイント
 1.僕は何のためにプレゼンしているのか
 2.誰に対してプレゼンしているのか
 3.話した言葉が相手にはどう伝わっているのか
意識改革が進む3つのステップ
 1.自己矛盾が起きる
  目的は何かなど本質的な問いがきっかけ
 2.優先すべきものを自問自答する
  手段は何か、手段として優先すべきものは何か
 3.矛盾しない自分に変わっていくプロセスを考える
 現実的に実行するステップを考える

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「誰かが決めてくれるそんな“当事者意識”を失った従順な子を育てる教育は終わりにしよう」という一節から始まる本書。

工藤氏は

学校とは子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためにある。だからこそ、子どもたちに「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」すなわち自律する力を身につけさせていく必要がある。そして、自律を支援することを教師に求めている。
また、学校を「民主主義の土台をつくる場」と考え、「誰一人置き去りにしない社会」の作り方を多数決ではなく、対話の中から作ることを生徒や保護者、教員に体験させてきた実践を語っている。
最上位の目標を設定し、まずは戦わなくてよさそうなところから学校を変えていき、やる以上は成果につなげていく。
その時に意識するべきことは「誰が気分を害するか」ではなく、「誰の利益を損ねるか」であり、感情と切り分けて、理性的に物事を考えること。これが唯一の方法だとしている。
 

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2025年02月07日

Posted by ブクログ

民主主義をいかに根付かせ、実践するか、の対談本。事例は豊富だし、リーダブルです。別に教育の現場にいるひとでなく、誰かといるためにすべてのひとの参考になる本だと思います。対立を解きほぐし、人とではなく問題と戦うために、地道な対話を続ける。よく言われるように「魔法の杖」はない。そう腹をくくって、誰ひとり取りこぼすことのない社会をめざして、自分のいるところからやっていこうと思いました。

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2024年11月24日

Posted by ブクログ

子どもたちが自律的に考え、他人と合意を形成していくための教育をしていこうという主張。成田悠輔さんの22世紀の民主主義を合わせて読んでいたこともあって、工藤先生がおっしゃる民主主義という言葉が適切であるのかは少し疑問でした。
自分自身から見える世界ではやはり、他責的な思考に陥っていることは確かにそうであり、自律的に物事を考える姿勢を子どもたちに伝えていきたいということには共感できました。
一方で、対話の中でwin-winになれる結論を探っていくことは大事ではあるが、そのような合意を形成すること難しさが抜けていると思う。誰にでも、また、短期間でできるようなことではないでしょうか?
現に工藤先生自身が行った改革はトップダウンによる強硬突破だと思います。

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2023年10月08日

Posted by ブクログ

とても勉強になった。
読みながら、たくさんメモしたくらい。。

学校の先生じゃなくても、知っておいていいことだらけ。

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2023年02月23日

Posted by ブクログ

苫野さんと工藤さんが対話することで工藤さんの独りよがりにならない実践となっている。
 簡単に読めるし、教員養成としても考えさせる面もあるので、ぜひ読んでみることをお勧めする。

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2022年12月21日

Posted by ブクログ

学校は民主主義の土台をつくる場である、という常日頃考えていたことを言語化してくれた本です。

本書では、理想的な民主主義とは何か?ということをはっきりと示しています。「誰一人置き去りにしない社会をつくる」ということです。
この定義、すごい!と心から感じました。
今の日本も、民主主義を謳う諸外国も、この理想にはまだまだ届いていませんが、「誰一人置き去りにしない」ことを原点にし、そこを目指すことが教育や社会をよりよくすることは明白です。
今後、自分の教育の軸にもなり得る言葉を掴めたような気がしました。

民主主義の実現のために「最上位目標」を設定する、というところも目から鱗でした。
子どもたちだけでなく大人同士でも多数決なしに話し合いの結論を出すことは難しいです。根気と時間が膨大に必要です。
「最上位目標」の合意をしたとしても難しいかもしれませんが、話が逸れたときなど、常に立ち返る本質としてとても重要であることは間違いないと思いました。

一方で、工藤さんは行政に近い立場だったこともあるからか、組合を軽んじた発言や教員への管理的な言葉などはやや気になりました。
苫野さんが対談相手であることでその辺は上手くバランスがとれているのかなとも思います。

学校は社会の縮図です。
自分が「こんな社会にしたい、生活したい」と思えるようなクラス、学校を作っていくことが教員の大切な役目だと思ってきました。
本書は、これまでの自分の教育観を言語化し、強化・アップデートしてくれた一冊です。
教員養成の入門書としてもおすすめです。

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2022年11月23日

Posted by ブクログ

<目次>
序章   学校は何のために存在するのか
第1章  民主主義の土台としての学校~全員が合意できる「最上位目標」を探せ
第2章  日本の学校の大問題~民主主義を妨げる6つの課題
第3章  学校は「対話」で変わる~教育現場でいますぐできる哲学と実践
終章   教育を哲学することの意味

<内容>
麹町中校長で、宿題全廃・全員担任制などをおこない、現在横浜創英中高の校長をしている工藤勇一と熊本大准教授の苫野一徳の対談集。ここでは工藤氏のポリシーが聴ける。タイトルの通り、学校は民主主義を教える場、なのだが、それができていない。民主主義の根幹は、「全員が合意できる「最上位目標」を探すこと」。なるほど目からうろこである。現在、民主主義は終わったとの説も出るくらい、日本の、いや世界の民主主義は閉塞感に満ちている。多数決などが問題なのはわかっていた。工藤氏は、多数決ではマイノリティが排除されるし、彼らの不満がたまるだけ、という。「全員合意」がポイントで、でもそんなことは無理なので、「最上位目標」という形で、妥協点を見つけること。皆が歩み寄ることが「民主主義」なのだという。学校は、その勉強に、訓練に最適なのだという。確かにそうである。そこから始まり、今の教育界の膿を次々と指摘する二人。自分も学校現場にいて、納得の話である。教育関係者は、特に若い層の人は読むべきである。

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2022年10月31日

Posted by ブクログ

高次目標を念頭に置いてそれに叶うかどうかで判断しようという点は全ての組織マネジメントに通じるところであるが、作者のプロフェッショナリズムが高すぎて少し読んでて胸焼け。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

主張が明確で分かりやすかった
主体性のある、自律した、問題解決能力を育む教育が大切
→誰も取り残さない社会、平和が最終目的
→対話できることの重要性、ディベートではなく超ディベート

対立構造を作らない、戦わなくていいところから変えていく

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

本番さながらの選挙についてや、横断歩道を事例とした海外との違いなど、とても興味深い内容だった。疑問に持つことも重要。ただ一方で、社会の慣習に寄り添う場面も少なからず必要だと思う。そうした中、双方の主張を踏まえた新しいアイデアを出して合意形成を図る発想は、新鮮でとても良い。まだまだ、学ぶべき事があることを痛感する。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ちょうど、「民主主義とは何か?」と疑問に思っていたところにこの本が出版され、すぐに購入した。

大方の議論に異論は今のところない。
改革をしていく、デモクラシーを起こしていくことはとても勇気がいることだ。教育学部生の頃は志高かったはずの私も、若手教員になり、気づけば周りに流されて「仕方ない」と思ってしまったりする。しかしそんな若手でも少しずつ変えていけるのだというメッセージには励まされた。

納得できないのは「心の教育」への批判である。
「トラブルが起きない社会」が問題なのは理解できる。しかしそれを「心の教育」のせいだとするのはクリティカルではない気がするし、「心」の軽視を感じる。
私自身「心」について語る材料をもっていないので深く議論はできないが、違和感が残る。

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2022年11月28日

Posted by ブクログ

感想
学校での哲学教育。日本では民主主義は外から与えられてきた。自分で勝ち取った実感は薄く権利を行使しない。子供達に自分で考える機会を与える。

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2022年11月01日

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