苫野一徳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
教育哲学の観点から、よい教育とは何かを、いろいろな哲学者や社会思想を引用しながら、教育問題が迷走する根本の原因と、2つの大きな思想の中でのバランスを追い求める教育についてまとめている。
基礎的な哲学の人物や考えはある程度理解して読まないと理解しづらいと思った。また、1章を経験主義からくる規範と事実誤認のイメージから根本の問題にたどりつけないことをまとめているが、読者層はある程度の知識を持った人を想定しているのか、それとも現場の人間に近い人を想定しているのかわかりづらかった。理想論と現実論が重なり合っていたように感じた。
ただこのような類書は少ないので、いろいろな意味で教育問題をまとめ、方向 -
Posted by ブクログ
教育という問題に関する独断論と懐疑論に対して、
それらとは違った方法で何らかの答えをだしうるはずではないか、という感度をもつ、
若手哲学者の1冊目。
これは竹田哲学の方法でもあるが、
現象学の「なぜそう感じたのか」という問い方と、
ヘーゲルの「自由ということを互いに認め合う」という条件の下で、
教育という信念対立に陥りやすい領域においても、
一定の「よい」とい原理が導き出せるのではないか、と。
ただし、
まだまだ青い、という印章を受ける。
わかりやすい記述をしようとする意志と、
検証可能であることを目指そうとする態度から、
読みやすくはあるが。
それは、「机上の空論だよ、やはり」というよう -
Posted by ブクログ
・どうして今までこの「議論の形式」が一般的になっていなかったのか不思議。これを以ってようやく盲目的な主張の「門前払い」ができるようになったと思います。
・果たして「幸福」が〈自由〉に包摂されるのかは疑問です。しかしこの場合、社会構想をする観点からは、個人の嗜好によってバラバラな「幸福」よりも、一律に「行動選択の自由」を与えたほうがいい、という説明なら、より納得しやすいのではと思います。
・著者はかなり明るい展望を持っているように感じますが、これからも教育界は混沌とした状況が続くと思います。というのは〈一般福祉〉という概念が広すぎて、素直に機能してくれるのか、わからないのです。つまりそれは、 -
Posted by ブクログ
とある教育イベントで著者の苫野一徳さんがご登壇されたのをきっかけに読んでみようと決意しました。
数ある書籍や論文などで「これが、これこそがよい教育だ!」と訴え続けられているなか、哲学的観点から「絶対によい教育などない」とし、多くの人たちが承認できる“よい”教育は何なのかを、一冊のなかで模索していく書です。
教育哲学に関する先人の言葉を引用しながら、現代日本の社会や教育にとって何がよいのかを順序よく丁寧に述べられています。
また重要なことがらについては、何度も繰り返し述べられているので、大変読みやすく理解しやすいです。
ただ、私自身、哲学に関しては理解に乏しいため、読んでいくなかで理解に苦しむ -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の経験を過度に一般化する=一般化のワナ。有識者会議でも多い。自分の経験にすぎないことを自覚する。=議論を建設的にする方法。
問い方のマジック=二元論的な問い、どこからが砂山でどこからが砂粒か、人間は平等か不平等か、など。
帰謬法=相手を言い負かすためだけの議論。相手の主張の矛盾や例外を攻撃する方法。
超ディベート=共通了解指向型対話=勝ち負けでなく共通の了解事項を探る。
意味とは欲望のこと。欲望の前には遡れない。何が欲望を抱かせるのか、はわからない。しかし、意味を見いだすのは、ある欲望があるから。
欲望に基づく信念が生まれる。信念=欲望の別名。信念ではなく欲望で話したらどうか。理解し -
Posted by ブクログ
哲学というより、考え方について教えてくれる本(哲学はそもそも考え方についての学問であるが)
わかりやすく、論理的で有意義なことしか書かれてないと思う。とても良かった。
書いてあったことは大体こんな感じだった。
・私達の生きる世界に絶対的真理はなく解釈があるだけ。(あったとしてわからない)
・自身の体験を一般化して語ることの危険性。
・二元論は非常に誤解を招きやすく、本質的な問題解決には繋がらない事が多い。
・所謂思考実験は問いに作者の欲望(価値観)が隠されていることが多く、二元論で答えることができない問題も多い。その為、問い方を変えた方が良い事がある。
・あらゆる原説は帰謬法によって否定可能