下村敦史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「許されたかったら許しなさい。他人に寛容を求めるならまず自分が寛容になりなさい。それはいつかきっとあなたのためになるから」
この一文がとてもよく刺さった。
様々な人々が行き交う高級老舗ホテルを舞台に、時を超えた出会いと、それぞれが抱える苦悩や葛藤が描かれていて面白かった。
SNSが蔓延る今の時代、心無い声に傷つきながらも、出会った人たちの言葉を通して「優しさ」や「正しさ」と向き合っていく登場人物たちに、いつの間にか見入ってしまった。
本当の優しさとは何なのか、人を許すことや寛容であることにはどんな意味があるのか。そんなことを考えさせられた一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた本が待望の文庫化ということで、さっそく読み始めた。
本作最大の特徴は、なんといってもタイトルにある通り、全員が犯人であり、被害者であり、そして探偵であるという点である。
一見「そんなことあり得るのか」という破綻寸前、もといすでに瓦解の音が聞こえてしまいそうな設定だが、7人の登場人物たちは、「我こそは犯人」と主張するために次々と他者の主張の綻びを見抜く「探偵」となり、そしてまた他者が「犯人」に踊り出るたびに実は「被害者」の側面も見えてくる。
このようなひりついた空気の中で、最後の最後に明かされる事実は、ここまでなんとか食らいついて読んでいた読者を鮮やかに振り払ってくる。「君たちが見ていた世界は…」と。
正直なところ、普段からトリックを解明しながら読み進める読書をほぼしていない私にとって、次から次へと展開される、ある種の多重解決とでも言えるようなトリックの展開は、凡百の脳みそを置いてけぼりにしてしまう部分もあった。だがそれは、私の能力が足りていないだけであり、それでもこの作品を最後まで読み進めた時にどんでん返しを見事に食らう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネタバレがあるのにミステリーというのはキャッチーだなと思って読んだ。
試みの方向性としては「僕の家族はみんな誰かを殺してる」と似た感じかなと思った。
セオリーでは、不測の事態で嵐に巻き込まれるのに今回はあえて嵐に閉じ込められる方向なのもいつもと違う感覚。
大抵は嵐で閉じ込められるところにサスペンスがある感じなのに、それがないからどうなるのかなーと思ってたらまさかのサメ!!
昔は結構地上波でサメ映画やってたんですよ!夏とか!それを彷彿とさせる恐怖のサメ!
いやー、これは驚いたな。そうくるとは。
と作中作部分を読み終わって、解決編へ。
こっちもこっちで、真犯人たった一人の為に書かれた作品とは。全然犯人が分からずに読んでたので見事に騙されましたわ。
どの仕掛けもなかなか面白く、他にはない感じで読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
大変興味深く読み進めていけた!自分の兄は本当は偽物なんじゃないか、、という疑いから真実を知る話。
社会問題の切り込みとしての「中国残留孤児」のテーマはこの夏読んでよかった。1945年以降、日本はどうしても夏と戦争は切り離せない。
後ろに出てくる参考文献の一覧から余程準備したのだろうと推察される。並々ならぬ下調べの痕跡がある小説は作者の血と汗を感じられて好き。
そしてミステリーでは全盲×薬の濫用で記憶が曖昧という、目が見えるのが当たり前だと思ってる読み手からすると超絶信用できない主人公というのもこのミステリーの面白さを際立たせてると思う。なお主人公だけでなく、登場人物も誰が真実を述べてるのか分からない。目が見えないからあんたホントは誰?となる瞬間も多々あった。笑
これは果たしてどんな結末を迎えるのか、心配になりながら読んでいった。
ただやはりそんな心配も杞憂に終わり、結末としては私の好きな終わり方だった。題名に反してわりとハートフルなんですよ。
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Posted by ブクログ
閉ざされた館の設定を作るのが、時代が進むに連れて難しくなって来たような気がします。
閉ざされた島、怪しい洋館、雪の中の山荘、崖崩れで孤立した別荘の、クローズドサークル物は読んでて楽しいです。
自分も本作のような浪漫の詰まった館を建てたいなぁと思ってしまいました。
併せて、前半での建築士とのやりとりについて、ほぼほぼ建築業に携わる人も納得の会話です!
そして、最後の2ページ・・・
大作家、御津島磨朱李が建てた洋館に招待された、若手の小説家達、編集者、書評家そして探偵?
洋館の主人は集められた者達へ、ある予告をする!
スマホは取り上げ、外は吹雪等の制約のもと事件のような事が、薄らと起こっていく・・・
はたして洋館に集められた者達は、無事に帰る事が出来るのか?