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Posted by ブクログ
「難民調査官」を務める如月玲奈が主人公の物語である。「難民調査官」という仕事は大切な役目なのだとは思うが、広く知られているのでもないように見受けられる仕事だ。そういう仕事にスポットライトを当てる“仕事モノ”な小説である他方、本質的には良質な「事件の謎を明かす」というミステリーであり、展開の中で「巷での情報の発信、受け止め」というような社会の色々な事に問題提起も行われている面も在って、少し夢中になってしまう。
難民申請をしているシリア人の父娘が在り、両者は180度違う話しをしている。父娘の話しがそういうことになるのは、何故なのか?何なのか?操作が少し手詰まりになっている殺人事件の謎と相俟って、それが次第に明らかになって行く…
なかなかに面白い!!
Posted by ブクログ
下村敦史『サイレント・マイノリティ 難民調査官』光文社文庫。
東京入国管理局の難民調査官・如月玲奈を主人公にしたシリーズ第2弾。
前作より断然面白く、読み応えがあった。
今回、如月玲奈が調査するのはシリアから娘と共に訪日したナディームという男性。シリアで政治的迫害を受け、家族を殺害されたと主張するナディームに対して、何故か娘のラウアは故郷で平和に暮らしていたと主張する。同じ頃、新宿で発生したシリア人殺害事件とその妻の誘拐事件。食い違う父娘の主張と殺人誘拐事件、謎が謎を呼び……
シリア国内の現実を知ると、つくづく平和な国に暮らせて良かったと思うのだが、世界の国々で大小様々な衝突が起きていることを考えると、いつこの平和が壊れてもおかしくないという不安も感じる。
本体価格660円
★★★★★
Posted by ブクログ
著者も何とフィールドの広い作家なのだろう。
全盲者を主人公に、中国残留孤児問題を扱ったデビュー作の乱歩賞受賞作を皮切りに、山岳ミステリー、リーガルミステリー、さらに医療ミステリーと続く。
今作(シリーズ第2弾とは知らなかった)は、一般にはあまり馴染みのない専門職ともいえる難民調査官が主人公。
難民申請したシリア人が、突如申請を撤回する。その豹変に不自然さを感じた主人公は、認定するか不認定とするか、自分の決断が直接人命を左右すると思い知り、逡巡する。さらに、誘拐事件も勃発し、殺人事件も絡み、混迷の度合いは増すばかり。
一方、主人公の先輩のジャーナリストは、シリアで内戦に遭遇し、テロリストの人質になる危機(シリアでの活劇は、冒険小説の趣き)。
日本とシリア、交互に描かれた展開が、認定問題とともにこの小説の謎解きの根幹だったとは。
パズルのピースが鮮やかに決まるかのような著者の巧みな技に、脱帽するばかり。
大半の読者にとって、テレビや新聞報道でしか知りえないシリアの問題を、安易に正義対悪の構図で考えたら、大事な何かを見落としそうだと、著者は登場人物の一人に言わせる。お涙頂戴の報道ほど、余り鵜呑みにしない方がいいとも。
事件が解明し、最終決断をした主人公が語る言葉は、読者も留め置く心構えだろう。
「正しいか正しくないか、を行動の指針にしたら、たぶん、色々と過ちを犯すと思う。正しさって、自分で決められるものじゃないし、自分が信じる正しさは誰かにとっての間違いだったりするし、自分だけは常に正しいことを選択できている、なんて思い込みは危険思想に繋がっていく。自分の選択を疑いながら、行動していくしかない。苦々しい結末だったとしても」
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小説・文芸
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