無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
青臭くて、そして熱い男たちの絆と友情の山岳ミステリー。下村敦史さんの作品を読むのはこれで三作目ですが、『闇に香る嘘』が中国残留孤児、『叛徒』が通訳捜査官と外国人の労働問題。
そしてこの『失踪者』が山岳ものと、作風のバリエーションの幅広さに驚きます。そしてどの作品も確実に芯を突いてくる。その筆力と構成力も本当にスゴい。
十年前の転落事故で親友の樋口を、クレバスに置き去りにしてしまった真山。彼の遺体を回収するため、再びシウラ・グランデ峰に挑み、遺体を発見した真山だったが、樋口の遺体は数年分年を取っていて……
秘密裏に生還し、そして姿を消した樋口を追う現在パートと、真山と樋口の関係性が描かれる過去パートが交互に展開していきます。
現在パートのミステリとしての面白さはもちろんだけど、過去パートで描かれる、真山と樋口の関係性が、先に書いたように青臭くも、熱くそして爽やか。
団体としての和が問われる山岳の競技大会。常人離れした才能と実力を持ちながらも、チームにまったく馴染もうとしない樋口に、別チームに所属していた真山は徐々に興味を持つように。
そして競技大会で受けた恩を返すため、真山は一人、樋口がトレーニングしている山へ挑みます。そこで徐々に見えてくる孤高の天才、樋口の底知れない実力と野望、そして孤独。それに強く惹かれた真山は、樋口の夢に付き合う決心を固め……
何者も寄せ付けなかった樋口が見せる意外な顔と、真山が樋口の才能と登りっぷりにとことん惚れ込む様子が、どんどんと読んでいる自分を引き込んでいきました。
このときの二人は大学4回生だけど、それを感じさせない青さと爽やかさ。青春真っ只中という感じがして、読んでいて爽快感すら感じさせます。
そして、物語の骨組みを支えるのが、登山に関しての知識と、圧巻の登山の場面。いずれの描写や説明も丁寧かつ迫力に溢れていて、山と男たちの物語がより真に迫ってきます。
大学卒業後も二人の絆はますます深まり、ついに樋口の悲願だった標高8000メートルを超えるK2と呼ばれる山脈に挑むことに。しかしそのタイミングで、真山の身辺に思わぬ事態が起こり……
K2へ挑む二人のワクワク感から、二人の決裂。それは一つの時代が終わったような寂しさを、読んでいる自分も感じました。そしてそれぞれの道へ袂を分かった二人を、忘れられぬ山への思いと、絆が再び結びつける。この男臭さも熱さも本当にたまらない!
過去パートが10年前の事件に追いつき、そして描かれる現在パートの真実。消えたはずの樋口と同じ登山スタイルの謎のクライマーの正体。そして、最後に真山がシウラ・グランデ峰で見つけたものと、たどり着いた樋口の想い。
死んでしまった登場人物はもう戻ってはこない。その登場人物が魅力的であればあるほど、物語とは分かっていながらも残念に感じてしまいます。しかしこの『失踪者』のエピローグは、その残念な気持ちを凌駕し、心に何か熱いものを残してくれました。
Posted by ブクログ
下村敦史『失踪者』講談社文庫。
『生還者』に継ぐ、壮大なスケールで描かれる山岳ミステリー。細部まで巧く考えられたミステリーであり、10年という時間と地理的なスケールの大きさにも驚かされた。気が付けば、早く真相を知りたいと願いながらも、読み終えたくないと願うジレンマに苦しむ自分が居た。
2016年、山岳カメラマンの真山道弘は10年前にクレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を捜しにシウラ・グランデ峰を登る。真山はクレパスの底に変わり果てた姿の樋口の遺体を発見するが、有り得ないことに遺体は明らかに歳を取っていた……
下村敦史の作品には裏切られることがなく、安心して読める。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸