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Posted by ブクログ
すごく混乱する話だった。登場人物のほとんどが大山正紀で、今どの大山正紀が喋ってるの、今どの大山正紀について語られてるの、と立ち止まってしまった。本筋自体はシリアスだし深刻な問題の筈なのに、大山正紀が多すぎてところどころ忍び笑いが漏れてしまう。
今まで自分の中では深く考えたことがなかった同姓同名問題が、思考実験のように様々な観点で検証されているようでとても興味深かった。同姓同名故の展開も真犯人の正体も捻りが効いていて面白い。
一方でSNSって地獄だなと思った。特に負の側面が強調されて描き出されているせいもあって重い溜め息をついてしまう。とは言え決して極端な話でもなく確かに既視感があるので始末が悪い。発言の前には沈黙は金、言わぬが品性、あたりを思い起こしたい。
Posted by ブクログ
登場人物、全員大山正紀(おおやままさのり)という狂気の一冊。めっちゃ面白いし、キャラクターの書き分けが上手いから意外と頭がこんがらがることなく読めた。ただ、間で休憩するの一回くらいにしないと、リセットしたらめっちゃややこしくなりそう(笑)
最初にがっつり登場する大山正紀は、プロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟く日を夢見て練習に明け暮れる日々。活躍を機に有名大学へのサッカー推薦が決まるが、そんな矢先、日本中を震撼させる女児惨殺事件が起きる。犯人はすぐに捕まったのだが、その名前が大山正紀だった。それが原因としか思えないタイミングでサッカー推薦が消えてしまう。
それから7年後。プロサッカー選手になれなかった大山正紀は、殺人事件の犯人が少年であり、刑期を終えて出てくることを知る。さらにネットには「大山正紀同姓同名被害者の会」が立ち上がっていた。参加してみると十数人の、殺人犯と同じ名前ということが理由で人生がうまくいかなかった大山正紀たちが集まっていた。彼らは協力して自分が殺人犯ではないことを証明するために、犯人の住所を特定し、顔を公開することを思いつく。
展開がめちゃくちゃ面白くて、ページを捲る手が止まらず、最後どうなるのか楽しみに読み切った。
あらすじでは伝わらないけれど、めちゃくちゃ社会性のある小説だった。殺人犯と同姓同名という事実と、SNSの暴力性をこれでもかと突きつけられた気がする。自分が何もしていないことを証明すること、そんな方法を考えている間にも大山正紀を非難する投稿は増え続ける。
ネットの普及で情報が溢れ、簡単に検索される時代、自分の名前を検索したら殺人犯が表示されてしまうやるせなさ、本当に日本のどこかで起きている話だと思う。
Posted by ブクログ
●感想
物語のなかで描かれるのは、名前や噂から人物像をつくり、無関係な「同姓同名」の人々にまで偏見を向ける大衆の姿。……を読んでいると思ったら、読み手も断片的な描写から「この大山正紀は、あの大山正紀だ」と思い込み、読み進めていたことに気づかされる。
作中の大衆も、読み手も、足りない情報を自分の思い込みで埋めてしまう。偏見を外から眺めていたつもりが、自分もその構造のなかにいた。ミスリードの仕掛けと、作品が描く偏見のあり方が重なっているところが面白かった。
〜ミステリ作家からの挑戦状〜
登場人物全員、同姓同名!
大胆不敵、大混乱ミステリ待望の文庫化。
大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て
練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。
週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」ーー。報道後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった
“名もなき"大山正紀たちの人生が狂い始める。
これは、一度でも自分の名前を検索したことのある、
名もなき私たちの物語です。
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