下村敦史のレビュー一覧
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現代社会の「正義」を巡る複雑さと危うさを巧みに描いたミステリー短編集として、非常に印象深い作品だった。
各話の叙述トリックとどんでん返しが鮮やかで、読み進めるごとに視点の変化がもたらす驚きと深みが楽しめた。
実際には叙述トリックを多用した本格ミステリではあるものの、単なるエンタメに留まらず、倫理や社会の矛盾について深く問いかける作品だった。
短編集ながらどの章も読み応えがあったが、特に最後の「死は朝、羽ばたく」は個人的にはお気に入りで、文中の違和感、叙述トリックを用いたどんでん返し、社会的な問いかけの全てが物語の中でうまく調和している短編だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレどんでん返しモノが好きなので、レビュー見て購入。短編だと難しいのでは?と思ったが、無駄のない情報と読みやすい文体、そしてどんでん返しに楽しく読むことができた(といっても重めの話も多いのだが)。
全体を通して
・一見加害者にも背景がある
・過去に罪を犯したからと言って第三者が『正義』を振りかざして攻撃していい理由にはならない
・その自称『正義』が加害になることもある
・加害者と思いきや被害者、被害者と思いきや加害者という可能性もある
・正義とは?罪とは?
といったテーマが感じられた。
どんでん返しを楽しむのはもちろん、いろいろ考えさせられる内容だ。
自分の価値観もひっくり返される、という意味で『どんでん返し』なのかもしれない。
どの話も面白かったが、一番最後の『死は朝〜』は展開の予測がつかず、衝撃と真相にいろんな気持ちがこみ上げてきて泣いてしまった。
スカッとジャパン(懐かしい)的な後味の良さもある(笑)
この話が最後でよかったな…
読めなかった、という点では『保護』も面白かった。
小説ならではだなぁ。
頭の中に浮かんでいた映像が見事にガラガラと崩れ落ち、再編成される。
どんでん返しモノの好きな瞬間は、読み返して「ああーーー!確かにそう書いてる!!(あるいは書いてない!!)」と衝撃を受ける瞬間。たまらないですね。
この作品で作者さんを知ったのですが、他の作品も面白そうなので読んでみようと思う。
唯一『ストーカー』に関してはいろいろツッコミどころがあった…(笑)
あと読んでてしんどい(笑) -
Posted by ブクログ
またまた、久しぶりの作家さん(下村さん)!
登山か…
全く縁がない…
私なんかが、山登ったら、即遭難しそう…
ハイ、山岳ミステリー!
この話も遭難と無関係やない!
雪崩から、生還した2人…
時間差ありで、救出されたけど、言ってる事がバラバラ…
その遭難で、兄を亡くした主人公。
しかし、兄は、ある事があってから、登山してないのに、急に!!
真実は、山にある!
色んな矛盾した事象が徐々に明らかになる!
解説にもあったけど、ルービックキューブみたいに面白い!
立体型パズルの事やけど、同時並行で発生する事象と過去の事象が、混ざり合い、ややっこしいのが、最後にスッキリって感じ。
面白いかった!
この作者さんのも、結構、手元にあるんで、読み進めよ!
仲間の死を伴った奇跡の生還には、後悔と痛みが付き纏う。生き延びるために苦し
い選択を迫られることもある。だが、精神的に思い詰めて幸福を拒絶してしまったら、不幸な結末しか待っていない。
生還者には、死者の分まで生き抜く義務があると思う。
あなたはもう幸せになっていいと思う。生き延びたのはあなたのせいじゃない。
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今週は、体調復活したので、映画館で!
「鬼滅の刃」を横目に見ながら、
「スーパーマン」
何回、リブート?リメイクしてんねん!って話はあるけど、DCコミックの代表やからね!
何か、圧倒的な強さがないな…
ある意味、人間っぽいっぽい言うか…
親の教えは、参考にはしても、自分の道は、自分で決めようね!
ワンちゃん、ヤンチャ過ぎ!
しかし、こんな超人がいっぱいの世界で、超人が人間の味方してくれんのかな…
人間は、ワガママ放題やし…ピンチの時だけ、「助けて-」が通用するんかな…
そうや!書くの忘れてた!
スーパーマンの敵は、ウルトラマンって…
日本で、その名前使うな!
人の事言えんのか(^◇^;) -
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足下が崩壊するような、どんでん返しっていいですね!
本書を読むと何も信じれなくなり、宙に浮かされて巴投げされたような気持ちになります。
見て見ぬふり:クラスで起きているイジメを、見て見ぬ振りが出来なかった主人公は、加害者達をSNSで告発するのだが・・・
保護:人生彼女無しのサラリーマンが仕事帰りにコンビニの前で佇むセーラー服の彼女を保護する!?
危険な香りがプンプンしました!!!
完黙:麻薬の売人が捕まった!!!取調官はあの手この手で売人の背後を突き止めようとするが。売人の口は完全に閉ざされていた・・・
二年後売人は釈放されるのだが・・・
ストーカー:人を殺めたばかりの部屋に彼氏がやって来た!!!
彼氏の優しさに見え隠れするウザさの正体と、人を殺めたトイレを彼氏から守る事は出来るのか?
罪の相続:息子を殺めた男に拉致される?
男が恨んでいるのは主人公の祖父?
祖父の秘密と罪の清算は時代を超えて、今を生きる物達に襲い掛かる!!
死は朝、羽ばたく:刑務所を出所したばかりの男が若者達に絡まれ、『服役者だった事をバラされたくなかったらカネハラエ』と脅される・・・
刑務所の中で反省した受刑者達は本当に罪を許されているのか?
白眉は保護!
滑るくらい騙された!!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ下村さんのどんでん返し短編集!
•「みてみぬふり」…教室では、同級生の三ツ谷が、古島達3人に毎日弁当を捨てられたり暴力を振るわれていたりと、いじめが止まらなかった。
冬樹は、いじめの状況を担任の石澤に相談するも、石澤は状況を目の当たりにしながら何も行動しない…
みかねた冬樹は先輩に相談すると、捨てアカウントでいじめの事実をSNSで#拡散希望と付けて名前付きで投稿してしまう。
あっという間に投稿は広まり、三ツ谷へといじめはなくなったので、冬樹は内心清々していたが、古島が自殺未遂を起こしてしまう…
2年前に三ツ谷の兄がいじめられていた時、担任は石澤であったのだ。
三ツ谷は敢えて古島達お願いして、いじめられているふりをして、石澤先生が助けてくれるか試していたのだ。
しかし2年前石澤は何もしなかったわけではなく、彼なりに働きかけていたのだ…
第三者視点で、世間一般的な「悪人」を、正義感だけを理由に、相手を叩きのめしたいという感情に任せて徹底的にバッシングできる世の中。
まるで中世ヨーロッパで行われてきた魔女狩りのようで、魔女側になるのもおそろしいが、自分が魔女狩りをする側にならないように、正義を振りかざすことで悲劇につながることのないように気をつけようと思いました。
•「保護」…コンビニの前で雨の中、傘もささずに立ち尽くしている制服姿の春子を放って置けず、アパートの自室へ匿う事にした満雄。
40歳と17歳、2人の歳の差をしっかりと意識しながらも、満雄は女性と付き合った事がないなりに、春子と少しずつ距離が縮まり、いずれ2人は結ばれるが…
いや〜〜〜やられた!!!
まさか春子が40歳の引きこもりで、満雄が17際の中卒サラリーマンだったとは…
最初に春子の顔を見た時に驚いたり(女子高生だと思っていたため)、28歳の上司に怒られていたり、女性経験がなかったり、そりゃ17歳なら普通だわな!と伏線にも納得できました…
と同時に、40歳でいまだに職につかず、養われていながらも親の介護に疲れたもいう理由で家出をして、挙げ句の果て17歳の少年に匿ってもらう春子の、常識の無さに鳥肌が立ちました…
ここから短くします。
「完黙」…麻薬の密売人の話。逮捕されても、背後にいる組織の存在は決して明かさない。その理由は、裏の世界で信用を得るためである。
だがまさか、その先再逮捕された時に全てを麻取にバラし、組織の幹部達もろともぶっ潰すためだったとは(薬により亡くなった奥さんと娘の復讐を果たすため)全くよそうできませんでした。
アングラ的スリルもあり、読んでいてドキドキしました。
•「ストーカー」…風呂場にて、ある「殺人」を犯した直後に彼氏が急に家に!現場を見られるわけにはいかないので早く帰って欲しいのに中々帰らない彼…どうする?!
まさかストーカーが、その「彼」で、殺人というのは、身籠った子供を体内から掻き出してトイレに落としたことだったとは…しかもその赤ちゃんは助かり、殴り殺したはずの彼までなんと生きていたという、お先真っ暗エンド…
•「罪の相続」…祖父が、戦時中に食料の代わりに身体を差し出してきた女性と関係を持ったことにより、女性の孫にあたる人物に”罪の相続”として息子を殺された主人公の話。
まさか犯人が子供で、家で祖父が”罪は相続されるもの”という教えに沿って起こしてしまった事件であったとは…息子の罪を隠すために、父親が罪を被ろうとしていたのだ…
•「死は朝、羽ばたく」…刑務所を出ると、少年3人達にカツアゲの脅しをかけられ続ける主人公。
まさか主人公が、前科者の出所者ではなく、刑務官だったとは…
彼は死刑のスイッチを押す役割を担い、精神的負担の重さに耐えきれずに辞職した直後だったのだ。
死刑囚からの手紙に書いてある、「死にたくないと思いながら死んでいくことこそが罪を償うためには必要だ」という言葉が、あまりに重くて恐ろしさすら感じた。
六つの話全てがどんでん返しで、どの話もどんでん返しの火力がとてつもなく高かった!
どんでん返し選抜!!! -
Posted by ブクログ
現代社会が抱える様々な課題をテーマに、作品を次々に著す著者が今回選んだのは、終末期医療及び安楽死。
この重たいテーマを主題にした6話からなる連作短編ミステリー。超高齢社会の日本で、誰もが避けることの出来ないこの問題。
ホスピスで起きた不審死で裁判にかけられる神崎医師を主役に、助かる見込みがなく耐えがたい痛みに苦しむ患者とその家族を前にした後輩医師や看護師の苦悩が各話に描かれる。
第4話では、シベリアで抑留されていた男と彼の妹とを主役に展開する。
男の、希望のない永久凍土の地獄で奴隷にされる毎日と妹の癌に冒され耐えがたい痛みに苦しむ毎日とを、オーバーラップさせ小説に膨らみを持たせて、特に印象深い。
安楽死が認められていない日本で、「ターミナルセデーション」=終末期鎮静という緩和ケアは容認されており、その違いに疑問を持ち悩む医師の姿が描かれている。
「患者に安楽死を切望させてしまったとしたら、医師の力不足だ。医師自ら患者を手にかける行為は、それを認めてしまっているに等しい。安楽死が医師の努力義務の放棄だと気づいたとき、医師は――いや、私にはもっとできることがあるんじゃないか、と思うに至ったんだよ」
神崎医師の言葉に救いがある。 -
Posted by ブクログ
今まで無かった視点でした。
安楽死を与える事は誰にとっての救いなのか?
そして、救われた人と同じ数だけ苦しむ人が増えてしまう・・・
下村さんの小説ですから 仕掛けが無いわけが無いと思い読み進めていくうちに、安楽死に関わる医師の少しずつゆっくりと蝕まれていく何かを少しだけ感じる事が出来ました。
何処からが安楽死=犯罪で、何処までが医療行為に当たるのかにも疑問を感じました。
安楽死を犯罪と定義しているのは法律で、法律は人の命が一番大事という前提で作られているため死に加担する行為を只々禁止しているだけであり、法律自体が人の尊厳を傷つけている可能性があるかもしれない・・・
一方で医療行為ではあるはずの、ターミナルケアには痛みと同時に意識が遠のいてしまうものもあり、果たして安楽死とどう違うのか整理しきれないものもあるのが事実です・・・
もしかすると、安楽死に関わって犯罪者と扱われた医者の中には苦悩の末に導き出した答えが其れだったのかもしれないと考えさせられました・・・
答えが出ない問題であるからこそメディアに煽られず踊らされず考えなければならない事なのかもしれません。
ホスピスで起きた三件の不審死!?
末期がんの患者に対して安楽死の措置をとったとして1人の医師が逮捕!!!
物語は法廷から始まる・・・
死刑の話とシベリア抑留の話も考えさせられました・・・
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Posted by ブクログ
デビュー作『闇に香る嘘』への著者による再挑戦と、解説者が述べているとおり、障害によるコミュニケーションが困難な状態で生きる意味を問うミステリー。
確かにデビュー作に匹敵する、それ以上の傑作と言える。
産婦人科医の水瀬真理亜は、「閉じ込め症候群」で入院している女性患者岸部愛華が体調を崩したので診察すると、彼女は妊娠していることが判明。
寝たきりで身体が動かせない彼女に誰が妊娠させたのか。病院は騒然となり、マスコミも知るところとなり、騒ぎは拡大し、愛華の両親は病院を非難する。
真相を探ろうと水瀬真理亜は、話すことが出来ない愛華のために、文字盤を使い彼女の声を聞く。
そして驚天の事実が明らかになるが、話を聞く側の事実誤認や誤解が混迷をもたらし、どんでん返し的な展開になる。
次々と語られる真実に、読む手が止まらない。
著者の巧みな伏線の張り方に、読者も翻弄されるが、芳醇なワインを飲んだかのような読後感が味わえる。
一連の騒動の後で、ある人物が述懐する。
「正論なんてものはね、人を追い詰めるためにしか役立たないものなんだよ。人間は、自分は正論に不快を感じて反論するくせに、他人には平然と正論をぶつけたくなる生き物だ。自分は正しいことをしているという思い上がりがあるから、相手の心の傷に気づけない」