下村敦史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
同姓同名であるからこその悩みに目を向けさせる作品かと思いきや、実は、人の背景には色々な悩み、感情があり、自分が正義で正しい!と思い込み、それを発信(インターネットでも他人との会話でも)することで、誰かを傷つけてしまうことがある。それが勘違いや誤解を招き、さらに負の連鎖が起きてしまう。
私はそんな負の連鎖を絶ちきるためには相手の背景、心情により目を向けて会話をすることは勿論、自分自身も許してあげながら、好きでいながら、ポジティブに生きていくことが大事なのかなと感じた。
自分の持つ負の感情、欲望に負けてはいけない
こんなポエムが思い付いてしまうくらい考えさせらる作品でしたし、登場人物が全員同じ名前で進行していく様は新しく、いい意味で頭の体操にもなったかな?笑
-
Posted by ブクログ
☆4.2
2月にスペインに行って色んなガウディの作品を見てきた
カサ・ミラ、カサ・バトリョ、サグラダ・ファミリア、グエル公園…
他にもこの本に出てくるモンセラートの丘の協会とか、大聖堂、たくさんスペインで見てきた景色を思い出しながら本を読めて楽しかった
お料理も現地の食べ方、よく食べるものを教えてもらってたから食べたなぁ、こんな味やったなぁとか思いながら読んでた
内容は、ガウディが大切にした設計図のない建築、家族が大事にされていることをミステリーの念頭に置いた作品。
このタイミングで読めて嬉しかった!!
伏線部が明確にされてて、分かりやすかった -
Posted by ブクログ
冒頭の主人公は引っ込み思案で人と関わりたくないくせに察してちゃんなところもあって正直少々イラついた。その位はちゃんと口にしろよと何度思ったか。そんな主人公がロペと出会いどう変わるのだろうかと期待したのだが、今度は何でもロペの言いなりに。ヒロインとの仲が少しずつ進むうちに、これは一体誰と誰が恋愛しているのだろうかと不安を覚えた。しかし不安をよそに本編は恋愛からは逸れて犯罪に巻き込まれて行くことになる。
作中で言及されたシムズというゲームは自分も好きでプレイしていた。シムと呼ばれるゲーム中のキャラクター達はパラメーターによって自律的にアクションを起こして生活するのだが、そこに介入するのがプレイヤーだ。やれあれをしろこれをしろと生活の細かい指示から、あいつを口説け、結婚しろと人生の選択を指示し、果てはこれを盗め、こいつを殴れと犯罪を強制する。正に本作のロペと被験者の関係そのものだ。それでもシムズはゲームでバーチャルでプログラムだ。キャラクターが犯罪を強制させられる様子は気の毒だが、そこに深刻さは存在しない。だが本作の場合はどうだろう。気の毒に思うより正気を疑う深刻さがある。現実でもあっという間に普及して浸透したAIに依存する現代人は多いと聞く。自ら思考することを放棄して判断をAIに委ねた結果、取り返しの付かなくなる事例はどんどん増えそうだ。
本作中の仕掛けやロペの正体には感づいたが、ワールドカップ予測の仕掛けにはなるほどと驚かされた。舞台設定がよく出来ている。プロデュースという行為の功罪についても色々考えさせてくれた。 -
Posted by ブクログ
「フィクションの〝表現〟が人を傷つけることには敏感なくせに、自分が実在の人間に吐いた言葉の〝表現〟が人を傷つけることに鈍感」
「思いやりでさえ人を傷つけるんだよ」
今の時代そのものだなと思った。
特別に恵まれたわけでもなく平凡に生きてるつもりだけれど、昔と違うのは、育った環境も何もかも違う人と、望む望まざるを得ず交流したり意見を見聞きする機会が多くなったところだと思う。
誰かの日常は誰かにとってマウントになり、誰かの優しさは誰かの傷を抉る。そう感じるのは受け手である自分の問題でしかないのに、「社会的な道徳」「社会的な正義」「必要な配慮」が足りていないと批判される。
そんなのおかしいよね?という気持ちを救ってくれる、わたしにとっては優しい物語だった。
「人間の見方ってね、本人は気づいていないだろうけど、自分の偏見をさらけ出しているのと同じなんだよ」
それはそう。でも、悪意より善意を汲み取って現実を見ていたいなと思うよ。 -
Posted by ブクログ
小説紹介クリエイターのけんごさんのオススメ本。
日本中を騒がせた女児惨殺事件の犯人の名前は大山正紀。将来有望なサッカー部、コンビニのバイト、アニオタ、家庭教師、研究者の大山正紀など同姓同名の人物たちの人生が狂い出す物語。
登場人物が同姓同名だからこそ可能な内容で最後は予想してなかった展開と結末で面白く読ませてもらいました。ただ、誰がどの大山正紀なのか混乱しながら、ページを戻りながら読み進めたので少し疲れたのも事実です。
SNSで身勝手な正義感から容疑者を特定しようとしたり拡散したりと聞きますね。本人が良かれと思ったことが、むしろ迷惑なことや自身が傷付くこともあり得るのでSNSを利用する時は良く考えて行動したいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公は全盲の村上和久。確執のある娘との仲を修復したいという思いもあり、孫娘への腎臓の提供を申し出るもそれは叶わなかった。そこで自身の兄に頼むも、兄は検査さえも拒絶する。兄は満州から引き上げてきた残留孤児で、再会したときにはすでに村上は失明していた。そんな背景もあり、村上は次第に兄に対して疑念を抱き始める。果たしてこの男は本当に自分の兄なのだろうか。
そうして兄の素性を調べ始めた村上の周囲で、それを妨害しようとする謎の勢力が動きだす。
主人公が全盲ということもあり他のミステリー以上にもどかしく、読者自身も先の見えない迷宮に迷い込んだような感覚に陥る。また伏線が巧妙に張られており、それが最後に回収される様が気持ちいい。