下村敦史のレビュー一覧
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中国残留孤児という、とても重い出来事がテーマの作品。
恥ずかしながら私はその言葉を知っているだけだったので、この作品を通して当時の歴史について学ぶことができた。
「兄」は本当に実の兄なのか。
母の命を狙っているのは誰なのか。
そして、本当の「兄」とは誰なのか。
主人公が盲目ということもあり、不安感や猜疑心がより強く伝わってきて、後半は読む手が止まらなくなった。
後半では驚くべき真実が明らかになるが、主人公を取り巻く人々の温かさに、私の心も救われた。
この小説を通して、戦争の悲惨でつらい歴史の中にも人間性の尊さや愛があることを感じ、静かな感動を得ることができた。 -
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『アルテミスの涙』は、医療ミステリーとしての緊張感と、人間の尊厳や生命倫理について考えさせるテーマが印象的な作品だった。
物語は、閉じ込め症候群(ロックドイン症候群)の患者・岸部愛華の妊娠という衝撃的な出来事から始まる。まばたきだけでしか意思を伝えられない愛華の思いを、産婦人科医の水瀬真理亜が懸命に読み取ろうとする姿に強く引き込まれた。
事件の真相が明らかになるにつれ、「命とは何か」「本人の意思をどう尊重すべきか」という重い問いが浮かび上がる。予想を超える展開に驚かされる一方で、登場人物たちの葛藤や選択には深く考えさせられた。読後には切なさとともに大きな余韻が残る、印象深い作品だった。 -
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同姓同名であるからこその悩みに目を向けさせる作品かと思いきや、実は、人の背景には色々な悩み、感情があり、自分が正義で正しい!と思い込み、それを発信(インターネットでも他人との会話でも)することで、誰かを傷つけてしまうことがある。それが勘違いや誤解を招き、さらに負の連鎖が起きてしまう。
私はそんな負の連鎖を絶ちきるためには相手の背景、心情により目を向けて会話をすることは勿論、自分自身も許してあげながら、好きでいながら、ポジティブに生きていくことが大事なのかなと感じた。
自分の持つ負の感情、欲望に負けてはいけない
こんなポエムが思い付いてしまうくらい考えさせらる作品でしたし、登場人物が全員同じ名前で進行していく様は新しく、いい意味で頭の体操にもなったかな?笑
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☆4.2
2月にスペインに行って色んなガウディの作品を見てきた
カサ・ミラ、カサ・バトリョ、サグラダ・ファミリア、グエル公園…
他にもこの本に出てくるモンセラートの丘の協会とか、大聖堂、たくさんスペインで見てきた景色を思い出しながら本を読めて楽しかった
お料理も現地の食べ方、よく食べるものを教えてもらってたから食べたなぁ、こんな味やったなぁとか思いながら読んでた
内容は、ガウディが大切にした設計図のない建築、家族が大事にされていることをミステリーの念頭に置いた作品。
このタイミングで読めて嬉しかった!!
伏線部が明確にされてて、分かりやすかった -
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冒頭の主人公は引っ込み思案で人と関わりたくないくせに察してちゃんなところもあって正直少々イラついた。その位はちゃんと口にしろよと何度思ったか。そんな主人公がロペと出会いどう変わるのだろうかと期待したのだが、今度は何でもロペの言いなりに。ヒロインとの仲が少しずつ進むうちに、これは一体誰と誰が恋愛しているのだろうかと不安を覚えた。しかし不安をよそに本編は恋愛からは逸れて犯罪に巻き込まれて行くことになる。
作中で言及されたシムズというゲームは自分も好きでプレイしていた。シムと呼ばれるゲーム中のキャラクター達はパラメーターによって自律的にアクションを起こして生活するのだが、そこに介入するのがプレイヤーだ。やれあれをしろこれをしろと生活の細かい指示から、あいつを口説け、結婚しろと人生の選択を指示し、果てはこれを盗め、こいつを殴れと犯罪を強制する。正に本作のロペと被験者の関係そのものだ。それでもシムズはゲームでバーチャルでプログラムだ。キャラクターが犯罪を強制させられる様子は気の毒だが、そこに深刻さは存在しない。だが本作の場合はどうだろう。気の毒に思うより正気を疑う深刻さがある。現実でもあっという間に普及して浸透したAIに依存する現代人は多いと聞く。自ら思考することを放棄して判断をAIに委ねた結果、取り返しの付かなくなる事例はどんどん増えそうだ。
本作中の仕掛けやロペの正体には感づいたが、ワールドカップ予測の仕掛けにはなるほどと驚かされた。舞台設定がよく出来ている。プロデュースという行為の功罪についても色々考えさせてくれた。 -
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小説紹介クリエイターのけんごさんのオススメ本。
日本中を騒がせた女児惨殺事件の犯人の名前は大山正紀。将来有望なサッカー部、コンビニのバイト、アニオタ、家庭教師、研究者の大山正紀など同姓同名の人物たちの人生が狂い出す物語。
登場人物が同姓同名だからこそ可能な内容で最後は予想してなかった展開と結末で面白く読ませてもらいました。ただ、誰がどの大山正紀なのか混乱しながら、ページを戻りながら読み進めたので少し疲れたのも事実です。
SNSで身勝手な正義感から容疑者を特定しようとしたり拡散したりと聞きますね。本人が良かれと思ったことが、むしろ迷惑なことや自身が傷付くこともあり得るのでSNSを利用する時は良く考えて行動したいものです。 -
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ネタバレ主人公は全盲の村上和久。確執のある娘との仲を修復したいという思いもあり、孫娘への腎臓の提供を申し出るもそれは叶わなかった。そこで自身の兄に頼むも、兄は検査さえも拒絶する。兄は満州から引き上げてきた残留孤児で、再会したときにはすでに村上は失明していた。そんな背景もあり、村上は次第に兄に対して疑念を抱き始める。果たしてこの男は本当に自分の兄なのだろうか。
そうして兄の素性を調べ始めた村上の周囲で、それを妨害しようとする謎の勢力が動きだす。
主人公が全盲ということもあり他のミステリー以上にもどかしく、読者自身も先の見えない迷宮に迷い込んだような感覚に陥る。また伏線が巧妙に張られており、それが最後に回収される様が気持ちいい。