下村敦史のレビュー一覧

  • 生還者
    一気読み。手が止まらなかった。
    始めの「男」「彼」は誰なのか予想しながら、途中でその予想を変えてみたり戻してみたり全然違うこと想像してみたり、そんな読み方ができたので楽しかった。
    サバイバーズギルトの感情もすごくよく伝わってきた。
    カンチに挑むのはちょっと現実味に欠ける気もするけど。

    そして最後、...続きを読む
  • 黙過
    最終章で話が合わさると、ガラッと一気に思わぬ方向にもっていかれる構成。真相は明らかでも答えはなくて、逆に考えなさいよって問いかけられるような...こういう話を知れただけでも身になるお話。
  • 失踪者
    真山道弘が友人だった樋口友一の遺体を遭難現場で確認した場面から始まる物語だが、過去と現在の事象が交錯しながら謎を明らかにしていく展開が楽しめた.遺体の樋口が年を取っていたことを発見した真山は、彼の生存を確認しその理由を探る.榊智輝や宮崎洋介などクライマーが登場するが、真山の探究に多くのヒントを与えて...続きを読む
  • 絶声
    策士策に溺れるという感じです。頭のいい人たちの遺産争いは恐ろしい。作品の仕掛けにもまんまと騙されたというか、私が主人公の立場でも主人公と同じ結末を辿ったと思います。
  • 告白の余白
    日本人に限らず外国人も憧れる京都。おっとりとして日本の女性を象徴しているように言われる京女。
    …をディスった本?
    読み始めは、京都の言葉が鼻について疲れてしまったけど、これって敢えて嫌らしくしてる?と思ってから面白くなった。

    読み終えて改めて表紙の後を読んだら、ちゃんと書いてある。「腹黒の街。美し...続きを読む
  • 闇に香る嘘
    久しぶりに江戸川乱歩賞受賞作品を手に取り、久しぶりに、面白い江戸川乱歩賞受賞作品を読みました。

    69歳の村上和久は、渡満した経験のある、全盲の男性。
    視力を失った後、離別した妻との間には娘・由香里がおり、由香里の幼い娘、すなわち和久の孫娘は腎臓を患い、透析を受けている。

    己の身勝手から娘と絶縁状...続きを読む
  • 叛徒
    下村作品4作目。
    今年に入ってからは3作目です。

    中国語の通訳捜査官である七崎は、かつて意図的に誤訳をし冤罪を生んだ同じ職に就く義父を告発した過去を持つ。
    義父は自殺し、以降署内では身内を売ったとされ、家庭でも居場所を喪った。
    ある日、歌舞伎町で殺人事件が起き、第一発見者の通訳を担当する。
    その直...続きを読む
  • ロスト・スピーシーズ
    まさにハリウッド版冒険活劇アドベンチャー気分で読んでしまいました。危機ありスリル満点のサバイバル、ぜひ映画化期待しています。はたして「奇跡の百合」はみつかるのか?ハラハラドキドキ読む手が止まりませんでした。
  • 緑の窓口 樹木トラブル解決します
    作者の作風らしからぬカジュアルな雰囲気が良かった。
    割と怖さのある物語が多いイメージだったので。

    樹木の何気ない様相でとんでもないトラブルが起こってるなんてよっぽど木が好きじゃないと気づかないよ。
  • 闇に香る嘘
     あまりミステリーは読まないが、とあるきっかけでこの本と出会いました。
     腎不全を患う孫のため、全盲の主人公は岩手の田舎の実家に住む兄に依頼するのだが、適合検査すらも拒絶されることから、中国残留孤児による永住帰国した兄の存在を疑うということから話しが展開していく。
     全盲の息苦しさ、中国人残留孤児の...続きを読む
  • 闇に香る嘘
    みえないからこそ、どんどん深みにはまっていくんだよね。主人公同様に恐怖心と猜疑心が湧きつつ、真相を知った時はえぇ、そういうことだったの?って驚かされた。
    それは信じて疑わないだろうなぁ。。
    自分だって何一つ疑わず生きてきたし、根底が覆されるよなぁ。。
    下手したら受け入れられずに最悪な結果になることだ...続きを読む
  • 情熱の砂を踏む女
    スペインで死んだ闘牛士の兄。彼の死に疑念を抱き、スペインへ渡った怜奈は、兄の仇だと感じていた闘牛に心惹かれのめりこんでいく。しかし男社会の闘牛界には苦悩も多く、そしてますます膨れ上がる兄の死への疑念。ミステリではあるけれど、それ以上に熱い闘牛士たちの物語です。
    闘牛って全然知らなかったなあ……「躱す...続きを読む
  • 生還者
    雪山で遭難死した人。生還者の異なる証言。どちらが正しいのか。
    個人的には、なるほど、と謎の回収がとてもすっきりした。
    また、適宜なんども、現時点で、どこが食い違っていて、どこが謎なのか、主人公達の会話で振り返ってくれるから、深く考察しながら読んでいるわけではない自分のような読者にもわかりやすいのも良...続きを読む
  • 闇に香る嘘
    中国残留孤児をテーマにした社会派ミステリ。作者さんが海外に行ったことないらしいですが、参考文献がとても多く、しっかり調べてあるなぁと感心しました。
    凄いのは、主人公が全盲の男性なのですが、視覚情報のない中しっかり周囲の描写や必要な情報、見えないことへの不安などをきっちりと伝えていること。すごい筆力だ...続きを読む
  • 生還者
    サバイバーズ・ギルトがテーマの山岳ミステリー。山岳の中でも厳冬期ヒマラヤ登山を描いた筆者の登山知識には驚きです。まるで登山家が書いた小説のようです。最後、恵利奈じゃなく、葉子で良かった。
  • 情熱の砂を踏む女
    スペインで闘牛士となった兄が、演技中の事故で亡くなった。死のきっかけとなった危険な大技になぜ兄は挑んだのか。その謎を解くべくスペインに渡った怜奈は、実際に闘牛を観戦してその魅力に取り憑かれてしまい、兄の思いを理解すべく自ら闘牛士となることを決意する。
    日本人にはあまり馴染みのない闘牛の世界をわかりや...続きを読む
  • 闇に香る嘘
    最初は重たい展開だったけど、後半になるにつれて、えっ、なんか変、あーれーという具合に騙された感満載。でも最後は愛を感じるお話で終わりましたね。
    読後感思ったほど悪くなかった。
    もう少しミステリー読んでいこう。
  • コープス・ハント
    プロローグから、読者は一気に小説世界に引き込まれる。
    本章に入ると、猟奇殺人者の告白に、女性刑事が真相を究明せんと捜査を開始する。それを妨害しようと、闇の勢力が彼女の前に立ちはだかる。その戦いは、女性版ダイ・ハードか。
    一方、3人のユーチューバーが「遺体探し」に出かける(現代の出来事に、ユーチューバ...続きを読む
  • 黙過
    短編で一つ一つの話でどんでん返しがあったのですが、そこまでの衝撃度はないし、回収されない伏線があったなぁと思っていたら、最後の話で見事な伏線回収とどんでん返しでした。素晴らしい作品でした。
  • 生還者
    みんな山が好きな人なのに、極限での選択が悪い方に向いてしまったり、すれ違いによる誤解により罪の意識に苛まれてしまった、切ない話でした。最後は救われる話で良かったです。