作品ごとにジャンルを変える著者が今回挑むのは、相続法をテーマに遺産を巡っての相続人たちの愛憎劇。
膵臓がんに冒された昭和の大物相場師が自宅から失踪。
彼の子供たちー長男、長女、次男(後妻の息子)の三人は、失踪宣告の成立を今か今かと待ち構えていた。が、成立直前に彼のブログが更新され、さらに彼にしか知り
...続きを読む得ない事柄が綴られる。彼は生きているのか。
次々と更新されるブログに、とんでもない仕掛けがされていたとは、相続人たちとともに読者もアッとさせられる手品のようなどんでん返し。
著者の謀に見事に欺される。
「飢えた狼が餌を欲するように人が金を求めれば、目の前にある幸せも見落とし、人間性を失うのかもしれない」と、エンターテイメントながら、著者が現代の風潮に一石を投じる作品。