下村敦史のレビュー一覧
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「闇に香る嘘」は下村敦史さんのデビュー作品であり、2014年の「第60回江戸川乱歩賞」の受賞作品でもあります。
実は下村さんは2006年から9年連続で江戸川乱歩賞に応募していて、9年目にしてようやく受賞できたそうです。作家さんの苦悩については当然知るべくもないですが、普通は5年くらい連続で落選してしまったら、心が折れてしまうのではないでしょうか?諦めずに挑戦し続けたことには心から敬意を表します。
子供の頃、満州で亡くなったと思っていた兄が、中国残留孤児として日本に帰国し、実家で母と暮らすようになりますが、69歳で盲目の主人公はその兄に違和感を感じ、兄の存在を疑い始めます。
至る所に散り -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじを読んで、どうなるんだろうと気になり読む。
謎の核の部分は戦争のあまりにも暗い影によって読むのがしんどいかと思ったが、物語の推進力が強く、読むのをやめられなかった。
物語の骨格がとても重厚で、叙述もフェアで、読み終わったとき、大掛かりでダイナミック(かつ、もちろん安全)なアスレチックで遊び終わったような充足感があった。
差別の気持ちを持っていた属性が実は……というところはやりきれない気持ちになる。
ずっと失明した主人公の視点で語られており、最後の方、色の描写が出てきておや?と思ったら語り手が変わっていた。つまりずっと色の描写はなかった(はず)。私も失明した人の目線でずっと謎解き -
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病院で寝たきりとなっている、若い女性患者に突如発覚した妊娠。
瞬きのみでのコミュニーケーションから読み取った、本人の希望は『子供は産みたい』だった。
ミステリー要素も強い本作ですが、生命倫理や当事者の人権問題など、多くの社会問題も複雑に孕んだ本作。
ページを捲る手が途中から加速していくように、のめり込んで読めました。
この著者の作品、他にも積読してるので、そっちも楽しみだなー。
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全てのまばたきが、伏線。
『江花病院』に長期入院している閉じ込め症候群(ロックドインシンドローム)の女性患者・岸部愛華が深夜に体調を崩した。当直中の産婦人科医・水瀬真理亜が診察すると、愛華は -
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ネタバレ大御所覆面ミステリー作家御津島の新邸のお披露目会。招待されたのは推理作家達に文芸評論家、編集者。そして、探偵。
豪華な新邸はミステリーに関わるものにはたまらない「何かが起こりそう」な雰囲気。そして、外は吹雪。
御津島は、今夜あるベストセラー作家の盗作を公表すると言い残し姿を消してしまう。叫び声を残して。
しっかりとしたクローズドサークルと一癖ある登場人物達。しっかり堪能させてもらいました。
そして、邸宅が本当に豪華絢爛。何かが起こるには最高の舞台。あぁ~建もの探訪がしたい。
ラストも「おぉ~っ」と、ちょっと目を見開いてしまいました。 -
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日本人は闘牛の事を知らなさ過ぎる!!!
でもそれはしょうがない!
欧州の人達が相撲を知らないように私達が闘牛を知らないのは誰でも出来るわけではなく、生きていく上で必ずしも必要ではないからかもしれない!
そんな、私達の生活の延長線上に無い闘牛について、興味のある人にも無い人にも読んで欲しいと思う
本作はストーリー以上に
・闘牛とは何か?
・闘牛に関わる人々?
・闘牛士の社会的地位
・闘牛の世界と女性
・スペインにおける闘牛文化
・闘牛における牛の役割と扱い
などの私達が通常に暮らしていては決して知ることの出来ない知識が詰まってます!!
全く興味のなかった人も読んだ後はYouTubeで検索す