Posted by ブクログ
2020年08月25日
これは怖い話だったな。
大学生の洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で「赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。まだ刑が執行されていないこと、事件は冤罪の可能性があることを知った洋平は、父の無実を明らかにするために事件について調べ始める…といったお話。
その調査の過程で...続きを読む様々な冤罪が疑われる事件にぶち当たり、その都度に”有罪を作り出していく”司法の現場の実態が明らかになっていく。
それにしても、ここに描かれる警察、検察、裁判所の在り方は、威信とか沽券とかもあるだろうが、根本的には皆忙しすぎるな。それで『起訴された以上、終着駅が「有罪」の列車』というのもゾッとしない。
物語が好意的な協力者ばかりで進むのがいささか物足りないが、少しづつ真相に近づいていく中で当たっていく事件にもひねりがあり、その都度に司法への疑心暗鬼が深まっていく作りは面白い。
主人公が頑なで甘ちゃんなところがあまり好きになれず、なかなか複雑な顛末にもあまり葛藤がないところが減点。
私も会社で痴漢で捕まった人のことを結構見聞きしたけど、酔っていてやったかどうか分からないという人もあれば、無罪を主張して裁判で戦った人もいた。
いずれにせよ真相は第三者には知りようもなく、捕まった以上認めてしまった方が早いという感じで、自分の身に降りかからないように満員電車では注意をするしかない。
基本的に警察にお世話になるようなことは絶対してはならないが、巻き込まれないようにもしないとな。