下村敦史のレビュー一覧
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閉じ込め症候群について考えると私はとても怖くなる。
自分の身体が動かず、声を発声する事もできず、表情を変える事もできない・・・
しかし、意識はある!
そんな状況で私は耐えられるかを考えると恐怖が浮かび上がってくる。
私の身体が五体満足に稼働する事に感謝します!!!
併せて、個人の価値観について考えさせられる・・・
メディアに乗りやすい美談には気をつけて、個人的な正義は誰かにダメージを与えている可能性がある事を考えなければならない!!!
閉じ込め症候群の女性患者が妊娠した?
彼女を妊娠させたのは誰なのか?
警察と病院と女性患者の家族は彼女を誰が妊娠させたのかについて調べ始めたところ、ある男が犯人である可能性が高い事を示す証拠が集まり出した・・・
今回もミスリードに引っ張られない事をお祈りします。
因みに、個人的なことではありますが、本レビューが2024第1号になります!
本年もどうぞよろしくお願いいたします!!! -
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葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子『警官の道』角川文庫。
7人の作家の短編を収録した警察小説アンソロジー。7人の作家全員が自分の好みというのはなかなかあり得ないことだ。読んでみれば、柚月裕子の『聖』がピカイチで後は平凡な短編ばかりで、少しがっかりした。
葉真中顕『上級国民』。本作に描かれる刑事事件とされなかった交通死亡事故は、2018年に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故を思い出す。実際にこういうことはありそうだ。90歳の佐々木嘉一が交通事故で亡くなった。しかし、車を運転していた谷田部洋は逮捕されなかった。その裏には驚愕の事実が隠されていた。★★★★
中山七里『許されざる者』。復興五輪などと銘を打って、コロナで延期された汚職に塗れた東京オリンピック。犬飼隼人シリーズの短編。今の時代、こんなこともありそうだ。東京オリンピックの閉会式を演出する予定の演出家の三浦伽音が殺害される。一体何があったのか。★★★★
呉勝浩『Vに捧げる行進』。警察官の名前がモルオとは。コロナ禍で疲弊する日常の中、町で頻出する落書き犯。その驚愕の意図とは。モルオという名前がどうにもこうにも。ストーリーが入って来ない。★★★
深町秋生『クローゼット』。ゲイの警察官か。世も末だななんて言うと顰蹙を浴びる、何とも嫌な世の中になったものだ。LGBTQなる少数派ばかりを擁護して一体何になるんだろうか。上野署の荻野大成と相棒の中澤祐一は荒神と呼ばれ、重宝されながら管内で起きる様々な事件現場に臨場する。その荻野には誰にも言えない秘密があった。★★★
下村敦史『見えない刃』。最近、やたらと性犯罪のニュースを耳にする。世の中、おかしなことになっているな。ある日、刑事課長に呼ばれた明澄祥子は性犯罪を専任することを命ぜられる。東堂とコンビを組んで性犯罪の捜査に乗り出した明澄が見た現実とは。★★★★
長浦京『シスター・レイ』。最近、注目している作家の短編。フランス帰りで予備校の講師という能條玲という謎の美女が主人公。玲は半グレ集団のトラブルに巻き込まれた知人の家族を救うために、果敢にも半グレ集団のアジトに乗り込む。★★★★
柚月裕子『聖』。最後の最後に納得のいくレベルの短編が収録されていてほっとした。母親と自分を虐待し、母親と別れたろくでなしの父親に復讐するためにヤクザに憧れ、組事務所に出入りする少年・聖。中華料理店でアルバイトをしながら、神戸の金坂組のバッジをもらうチャンスを狙う聖は、組に出入りするサングラスをかけた迫力十分の男に弟子入りを懇願する。★★★★★
本体価格820円
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冤罪か…
しかも、育ての父と血の繋がった父とどっちかが犯人って…
母が亡くなってはじめて知る真実。
死刑確定して捕まってる実の父。今まで、お父ちゃんと思ってた人とは、血が繋がってない。
でも、血より絆やろ!って私なら思う!
思うけど、そら捕まってるお父ちゃんが、無実で、育ててくれたお父ちゃんが真犯人かもしれんってなったら話は別やわな。
確かに時効になってるんで、真犯人は罪には問われんかもしれんし、自白したって自分は何もないし、無実の人だけ助かるって言ってもな。
刑務所入らんでも、社会的制裁ってヤツがね。マスコミに追われ、後ろ指さされ…
何か解決しても、素直には喜べん気持ちやな。
殺された親には、悪いけど、結婚なんか子供の自由にさしたり〜!とは思うな…
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一家心中で生き残った幸子の17年間の苦悩と再生のミステリー。
ずーっとずーっと自分の過去に囚われ前を向く事、幸せになる事から自ら遠ざかり、苦悩と向き合ってきた幸子の心の叫びが300ページ近く綴られている。
悲痛な叫びに読んでいて本当に苦しくなる。
このまま何の光も見えず終わってしまうのかと不安になったけれどラスト数十ページに救われた。
思わぬ展開になり少し驚いたけれど、このラスト数十ページこそおそらく作者が伝えたかった事だろうと勝手に解釈している。
加害者と被害者の思いがぶつかり合った先に見えた真実は残酷だけれど、それを知る事で前を向ける時もある。
その立場にならなければ分からない想いがある。
ただ自分は弱者、自分は被害者と思い詰める事でかえって自分を追い詰め頑なに殻にこもってしまい、人の温かさや本当の優しさを見失ってしまう事もある。
幸子さんがこれから先俯く事なく、真っ直ぐ前を向いて人生を歩んでいけたらいいな。 -
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法の正義と成年後見人が主題のリーガルミステリ
近年、無罪を頻繁に出すようになり「無罪病判事」と揶揄されている裁判官の嘉瀬清一
看護師によるヤクザの組長殺害事件の結審直前に倒れたが、その裁判でも有効とされた判決は「無罪」
自身が手掛けた裁判では四度目の無罪判決となった検事の大神による「無罪病判事」の真意、そして事件の真相の追求
医学部に合格しながらも、入学金を出してくれるはずだった祖父が認知症になり、成年後見人制度により弁護士が後見人になったため預金が降ろせずに納入期限が迫っている高校生の幸彦
果たして、法とは誰のためのものなのか?を問う物語
刑事裁判の有罪率99.7%となっている現代日本
そんな中で15件もの無罪判決を出している異例の裁判官の嘉瀬
無罪判決は検察からすれば汚点であり
国民やマスコミからは、なぜ犯罪者を野放しにするのかという誹りを受ける
有罪率の高さの理由は、有罪になる可能性の高い事件のみ検察官が起訴しているから
しかし、立証責任のある検察が「合理的な疑いを超える程度の証明」をできているのか?という疑問
「疑わしきは被告人の利益に」という原則が捻じ曲げられ、明確な証拠や根拠なしに法解釈が適用されているのではないか
「10人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれ」という言葉はどの程度の意味をもつのか
犯人に変わりはなくとも、求刑内容が事実とは異なっていたら?
裁判員制度
国民の感覚に左右されるのであれば、それこそ中世の裁判と同様ではないかという批判
マスコミは判決内容の一部分だけ切り取ってそれらしく報道するが
そんな断片的な情報で勝手に決めつけている国民
公開されている裁判記録のすべてを判事と同様の視点で読んでいる人はどれだけいるのか?
でも、実際どうなんですかね?
合理的な疑いすべてを超える程度の証明ってできているのだろうか?
その人ができた、やった事に疑いはなくとも、その意図まではどうやっても証明できないのではなかろうか?
それこそ殺意なんて証明のしようがないと思うんですけどね
場合によっては人を刺していながら殺意は否定できる場合もあるでしょうし
ましてや、良心は誰にも裁けやしない
もう一つのテーマ、成年後見人制度
知的障害・精神障害・認知症などによって判断することができなくなった人に後見人をつけ、財産管理や契約などの法的な問題に対処する制度
家族が後見人になる事もあるが、現実的にはまったく関係のない弁護士など家族以外を家庭裁判所が選出する事も多くなっているよう
弁護士が後見人となることで悪意を持った親族が財産を勝手に使う事を防げる一方で、本当に困っている家族が被後見人の財産を使う事ができなくなる弊害もある
夫婦でもどちらかの銀行口座に集約されている事が一般的だし
きっちり半分に分けているのでなければかなり困るでしょうね
作中の弁護士の態度に関してはそれなりの理由があったのはわかるし
制度本来の意味で被後見人の財産を守るという役割は果たしているけれども
それって本当に被後見人のためになっているのかね?
この制度が成立した経緯はともかく、その運用実態に関しては弁護士の小遣い稼ぎ的な側面があるのではないかと疑ってしまう
家族だからといって無条件で後見人なれるものではないだろうけど
もっと柔軟な対応はできないものなんですかね?
タイトルの「法の雨」は、仏教用語の「法雨」が由来
「雨が万物を潤すように、仏法が衆生を救うことのたとえ」
「救いの雨でもある」
とのこと
「法律」とは誰を守るためのものなんですかね?
誰が、どう使うかによって如何ようにもなってしまう場合がありすぎるなぁ -
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ガウディの建築物が大好きなので、タイトルに惹かれました。
サグラダファミリアで起こった殺人事件。
サグラダファミリアで石工として働く日本人の父がガウディの遺言にまつわる謎に巻き込まれ逃亡。父の無実を証明するため、またガウディの遺言の謎解きをすることになる娘。
物語途中でガウディの情報を集めるため、いろんな関係者に話を聞く形で、サグラダファミリアや他の作品やガウディ自身にについて、知識も得られてしまうおまけ付き。
サグラダファミリアの建築の行方もを左右されてしまうほどの壮大なスケールの話で、これは実在する世界的に有名な建造物であるだけに、どうやって収拾するのかとハラハラしながら読みましたが、きちんと落としどころがあってホッとしました。
完成したら、計算され尽くした素晴らしい鐘の音色が街に響くだろうとありましたが、これは本当のことなのでしょうか。
是非とも聴いてみたいものです。
完成時期がどんどん先に延ばされていますが、本当に完成する日が来るのでしょうか。 -
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題名の「法の雨」は、雨が万物を潤すように、仏法が衆生をすくうことのたとえ」だそうだ。
様々なテーマで現代の問題にメスを入れる著者が、今回問いかけるのは、「法の正義とは」と「成年後見制度の闇」。
公判検事の大神護は、「無罪病判事」と呼ばれる裁判長の裁判で、今回も無罪判決を受ける。
その裁判長が判決直後法廷で倒れ、無罪となった被告は死亡する。
大神検事は、関連があるのかと調査を始める。
一方、嘉瀬幸彦は医学部受験に合格し、入学金を祖父に払ってもらう予定だった。その祖父が認知症になり、成年後見制度を適用されてしまう。
入学金の振込期限が迫るが、後見人の弁護士に支払いを拒否される。
入学金は果たして払い込みできるのか、無事入学できるのか、タイムリミットサスペンスとともに、大神検事の調査とどのように関係してくるのか。
検事、弁護士、判事、さらに暴力団も加わり、複雑に絡み合い、二転三転する展開に目が離せないリーガルミステリー。またまた今回も、小説の魅力を堪能でき、著者の作品に外れはない。