下村敦史のレビュー一覧
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下村敦史『叛徒』講談社文庫。
やはり下村敦史は巧みで、面白い。通訳捜査官という異色の警察官を主人公にした警察ミステリー小説である。ミステリーと同時に進行する家族の物語も非常に良い。
通訳捜査官の七崎隆一は同職の義父の不正を告発し、自殺に追い込んだことから、職場でも家庭でも居場所を失う。歌舞伎町で起きた殺人事件の捜査直後に、息子の部屋で血まみれの衣服を発見した七崎は目撃情報と併せ、息子が犯人である可能性に戦慄し、単身捜査を始める…
組織に属するが故の正義と組織の存続というジレンマ。そこに大切な家族が絡んだ時、如何に行動するのが、正しいのか…
“裏切り”の黒いミステリー -
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●感想
物語のなかで描かれるのは、名前や噂から人物像をつくり、無関係な「同姓同名」の人々にまで偏見を向ける大衆の姿。……を読んでいると思ったら、読み手も断片的な描写から「この大山正紀は、あの大山正紀だ」と思い込み、読み進めていたことに気づかされる。
作中の大衆も、読み手も、足りない情報を自分の思い込みで埋めてしまう。偏見を外から眺めていたつもりが、自分もその構造のなかにいた。ミスリードの仕掛けと、作品が描く偏見のあり方が重なっているところが面白かった。
〜ミステリ作家からの挑戦状〜
登場人物全員、同姓同名!
大胆不敵、大混乱ミステリ待望の文庫化。
大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て
練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。
週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」ーー。報道後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった
“名もなき"大山正紀たちの人生が狂い始める。
これは、一度でも自分の名前を検索したことのある、
名もなき私たちの物語です。 -
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ネタバレ色々見落とさないように頑張って読んでいたが、真犯人には辿り着けず。何かが腑に落ちんと思って推理編へ。7つのネタバレのうち、何個かはそうなのかな?と思っていた通りであったが、そのネタバレに翻弄された。そもそも当たり前だけど知ってないとこんなネタバレ書けんわな〜ってところが盲点。フィクション目線で読んだしまってたのかも。まんまと思い込まされてしまった。作中の自分を囮に未然に犯罪を防ぐ名探偵の話も面白い(実際それに当たりそうな名探偵が出てくる)がミステリー作者が真犯人を炙り出すために事実ベースの小説を書くというのも新しいなと思った。
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SNS「リアリズム」で「タナトス」と名乗る者が殺害予告を投稿した。そしてその通りに名指しされた人物が不審な死を遂げ、現場には投稿された文面が貼り付けられていた。その後も同一犯によるものと思える事件が続き、ネット上では「タナトス」への殺人依頼の投稿が絶えなくなる。現代社会の恐ろしさを描いたミステリです。
軽い気持ちで誰かを憎んだり、あるいは殺意を覚えることは誰にでもあるのではないかと思います。だけれどそれを公の場で表出するのは絶対ダメだよね。SNSは楽しくもあるけれど、「好き」なことで楽しくあるべきだよなあ、と実感しました。愚痴と不満と怨嗟を吐き出したところで、ネガティブが加速してしまうだけのような気がします。それこそこんな風に付け込まれてしまうかも。
ここで描かれる怒りや恨みがあまりにカジュアルなのも恐ろしいところです。殺意を抱くハードルが低すぎて、こんなことで殺されたらたまったものじゃない、という心境になりました。事件の構図が予想外に二転三転するところはわくわくして一気読み。「タナトス」の狡猾さは恐ろしいのだけれど、このラストはあまりにも皮肉でした。 -
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舞台は1991年のスペイン・バルセロナ。
未完の大建築といわれるサグラダ・ファミリア贖罪聖堂を背景に、稀代の天才建築家アントニオ・ガウディが遺した真実をめぐる歴史ミステリーです。
物語のベースとなるのは、歴史的な建造物を巡る重厚な謎。独自のアイデンティティを守るために戦ってきたカタルーニャの歴史や文化を知っていればいるほど、作品に漂う切実さと深みがより一層際立ちます。
そんな荘厳なサグラダ・ファミリアの尖塔に、突如として見つかる冷たき遺体。遺体の友人であり、事件に関する大きな秘密を知る日本人石工を父に持つ佐々木志穂が、警察すらも信用できない極限の状況の中で、真実にたどり着くために「遺された物」を必死に追い求めていきます。
やはり下村作品の真骨頂というべきか、物語は二転三転し、読者を最後まで翻弄し続けます。歴史のロマンと予測不能なサスペンスが美しく融合した、まさに『ダ・ヴィンチ・コード』のような知的興奮が好きな人にはたまらない一冊です。 -
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※7つのネタバレはネタバレに含まなくてもいいですよね? 表紙にも出てるのでそこはご容赦いただきたい。
推理することは苦手で、推理小説を読んでも犯人やトリックを考えられないタイプの私。それでも、珍しくあるトリックは気づくことができた。なんなら、過去の章に気づくこともできて、共犯者まではわかったものの……主犯は見破れなかった!!
惜しいところまで行けたなー! なんてちょっとした達成感を味わうことができた作品。推理小説初心者にはうってつけなのかも?
さて、なぜトリックに気づくことができたのかと言えば、理由は単純。
冒頭に含まれた7つのネタバレのおかげである!!
7つのネタバレはすべて嘘はついていない。
ただし、どう捉えるかが大きなポイントである。
特大のヒントを与えられた状態から始まる推理小説。
ネタバレありの理由もロジカルに説明されていたので、個人的にはなかなか満足の作品だった。 -
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ネタバレトリッキーな推理小説。
面白い作風だなぁ。
今回は表紙と題名に吊られて思わず購入した作品なのだが、当たりで嬉しい。
最後のまとまりも美しく、著者の他作品も読みたくなった。
『ネタバレあり』を謳っている本書、「うーむ、こう書かれているが、極力ネタバレを見ずに読もう」とほぼほぼ先入観なしで読むという作者の意図に反する読み方をしてしまう。笑(推理もへったくれもない)
それでも(むしろ「だから」かもしれないが)、作中の展開にドキドキが止まらなかった。
特に水中の描写にはハラハラ。
また、ありきたりなロマンス要素がなかったのもいい。
ただ、露悪的に振舞ったあの人のセリフの数々だけは演技と後でわかっても顔を顰めてしまう…。
肝心の推理パートにおいても、訪問者の正体はある程度推測できたが、話の持っていき方が面白い!
少しチープな所も否めないが、ミステリーのお約束と言ってもいい動機にも納得。
自力で解けた謎もあったが、大部分は驚きの連続で、ミステリーってこの謎解きの快感が病みつきになるよね〜っ!と大満足。
一気読み出来たので、読み終わった時にはものすごい充実感があった。
個人的には新しい推理小説のあり方を見せてもらったようで大満足でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレありつつ、島で殺人が起こる、お話(?)。
最初に7つのネタバレがされ、島でのルポ(?)的なお話が展開されていく。
未解決事件の作品として話が展開し、終盤は読者からの手紙を紹介しつつ、その作品の真相の答え合わせをする形。
(作品編と解答編とで紙の色が異なっている)
序盤からとある違和感を感じ、それが何かしら意味を持つのだろうと思ったら、やっぱりだった。
ただ、真犯人と真相は予想とは程遠いものだった。
入れ替わりについては考えていたのだけどなぁ。
ネタバレを念頭に起きつつ、引っかかるもんかと読み進めていたけども、ネタバレをを引っかけにも使っていてすごいなぁ、と思いました。
あと、謎のフルネームについてははミスリードだったのかなぁ?。