下村敦史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代社会の「正義」を巡る複雑さと危うさを巧みに描いたミステリー短編集として、非常に印象深い作品だった。
各話の叙述トリックとどんでん返しが鮮やかで、読み進めるごとに視点の変化がもたらす驚きと深みが楽しめた。
実際には叙述トリックを多用した本格ミステリではあるものの、単なるエンタメに留まらず、倫理や社会の矛盾について深く問いかける作品だった。
短編集ながらどの章も読み応えがあったが、特に最後の「死は朝、羽ばたく」は個人的にはお気に入りで、文中の違和感、叙述トリックを用いたどんでん返し、社会的な問いかけの全てが物語の中でうまく調和している短編だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレどんでん返しモノが好きなので、レビュー見て購入。短編だと難しいのでは?と思ったが、無駄のない情報と読みやすい文体、そしてどんでん返しに楽しく読むことができた(といっても重めの話も多いのだが)。
全体を通して
・一見加害者にも背景がある
・過去に罪を犯したからと言って第三者が『正義』を振りかざして攻撃していい理由にはならない
・その自称『正義』が加害になることもある
・加害者と思いきや被害者、被害者と思いきや加害者という可能性もある
・正義とは?罪とは?
といったテーマが感じられた。
どんでん返しを楽しむのはもちろん、いろいろ考えさせられる内容だ。
自分の価値観もひっくり返される、という意 -
Posted by ブクログ
あらすじ
リコールを隠して販売した電気自転車で死亡事故が起こり、遺族や記者からのバッシングで製造会社社長が自殺。
社長を自殺に追い込んだであろう、遺族や記者、妻や社員などが脅迫めいた文言で呼び出され、「社長を殺した者のみが生き残れる」新たな傾向のデスゲームが始まる。
かんそう
デスゲームが起こりうる世界線のお話。
社長が自殺した社長室を完全再現した建物が舞台な時点で、ミステリを愉しむ世界で起こったお話なんだなと受け入れて楽しく読めた。
やりたい放題詰め込まれた感じが好きな人におすすめ。
その世界線の中では、筋は通した!という書かれ方をしているが、紛れ込んだ子供に関しては、話の展開に関わるので -
Posted by ブクログ
暴露系インフルエンサー芳郎はエビデンス無き拡散により、自ら窮地に陥ってしまう。
正義を建前にゴシップをばら撒く週刊正義の窓際記者の藤原の、先走りすぎるスクープの結末。
ストーカー被害を受け付けない警察に対して、巧妙な手立てで対抗する高嶺彩佳。
美人局の被害に遭いながらも不当に逮捕された五味の警察への復讐は、意外な形で五味のアリバイとなり…。
性犯罪者の更生プログラムを主催する、「再起の光」荒貝あやかの本当の目的は…。
死刑制度に反対する集団が持つ、死刑制度への脆弱な感情論の隙を突いたある犯罪者の告白。
いずれも正義の使い方の様々な形を、手を替え品を替え皮肉な要素をたっぷり含ませて読ませてくれ -
Posted by ブクログ
またまた、久しぶりの作家さん(下村さん)!
登山か…
全く縁がない…
私なんかが、山登ったら、即遭難しそう…
ハイ、山岳ミステリー!
この話も遭難と無関係やない!
雪崩から、生還した2人…
時間差ありで、救出されたけど、言ってる事がバラバラ…
その遭難で、兄を亡くした主人公。
しかし、兄は、ある事があってから、登山してないのに、急に!!
真実は、山にある!
色んな矛盾した事象が徐々に明らかになる!
解説にもあったけど、ルービックキューブみたいに面白い!
立体型パズルの事やけど、同時並行で発生する事象と過去の事象が、混ざり合い、ややっこしいのが、最後にスッキリって感じ。
面白いかった!
こ -
Posted by ブクログ
足下が崩壊するような、どんでん返しっていいですね!
本書を読むと何も信じれなくなり、宙に浮かされて巴投げされたような気持ちになります。
見て見ぬふり:クラスで起きているイジメを、見て見ぬ振りが出来なかった主人公は、加害者達をSNSで告発するのだが・・・
保護:人生彼女無しのサラリーマンが仕事帰りにコンビニの前で佇むセーラー服の彼女を保護する!?
危険な香りがプンプンしました!!!
完黙:麻薬の売人が捕まった!!!取調官はあの手この手で売人の背後を突き止めようとするが。売人の口は完全に閉ざされていた・・・
二年後売人は釈放されるのだが・・・
ストーカー:人を殺めたばかりの部屋に彼 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下村さんのどんでん返し短編集!
•「みてみぬふり」…教室では、同級生の三ツ谷が、古島達3人に毎日弁当を捨てられたり暴力を振るわれていたりと、いじめが止まらなかった。
冬樹は、いじめの状況を担任の石澤に相談するも、石澤は状況を目の当たりにしながら何も行動しない…
みかねた冬樹は先輩に相談すると、捨てアカウントでいじめの事実をSNSで#拡散希望と付けて名前付きで投稿してしまう。
あっという間に投稿は広まり、三ツ谷へといじめはなくなったので、冬樹は内心清々していたが、古島が自殺未遂を起こしてしまう…
2年前に三ツ谷の兄がいじめられていた時、担任は石澤であったのだ。
三ツ谷は敢えて古島達お願いして、い