【感想・ネタバレ】アルテミスの涙のレビュー

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Posted by ブクログ

デビュー作『闇に香る嘘』への著者による再挑戦と、解説者が述べているとおり、障害によるコミュニケーションが困難な状態で生きる意味を問うミステリー。
確かにデビュー作に匹敵する、それ以上の傑作と言える。
産婦人科医の水瀬真理亜は、「閉じ込め症候群」で入院している女性患者岸部愛華が体調を崩したので診察すると、彼女は妊娠していることが判明。
寝たきりで身体が動かせない彼女に誰が妊娠させたのか。病院は騒然となり、マスコミも知るところとなり、騒ぎは拡大し、愛華の両親は病院を非難する。
真相を探ろうと水瀬真理亜は、話すことが出来ない愛華のために、文字盤を使い彼女の声を聞く。
そして驚天の事実が明らかになるが、話を聞く側の事実誤認や誤解が混迷をもたらし、どんでん返し的な展開になる。
次々と語られる真実に、読む手が止まらない。
著者の巧みな伏線の張り方に、読者も翻弄されるが、芳醇なワインを飲んだかのような読後感が味わえる。
一連の騒動の後で、ある人物が述懐する。
「正論なんてものはね、人を追い詰めるためにしか役立たないものなんだよ。人間は、自分は正論に不快を感じて反論するくせに、他人には平然と正論をぶつけたくなる生き物だ。自分は正しいことをしているという思い上がりがあるから、相手の心の傷に気づけない」

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

事故の影響で意思の疎通を目のまばたきのみで行うという推理小説
子を産む、中絶をするという命に関わることとはどういうことかということも考えさせられる作品

良い悪いの二者択一しかないという問題では無いからこそ読者に考える余地があるのが良い

身体が動かない、意思の疎通もままならないことからの先入観、思い込みを逆手にとったのはやられた

ラストのキレイな終わり方もGood

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2024年02月23日

Posted by ブクログ

閉じ込め症候群について考えると私はとても怖くなる。
自分の身体が動かず、声を発声する事もできず、表情を変える事もできない・・・
しかし、意識はある!
そんな状況で私は耐えられるかを考えると恐怖が浮かび上がってくる。
私の身体が五体満足に稼働する事に感謝します!!!

併せて、個人の価値観について考えさせられる・・・
メディアに乗りやすい美談には気をつけて、個人的な正義は誰かにダメージを与えている可能性がある事を考えなければならない!!!


閉じ込め症候群の女性患者が妊娠した?
彼女を妊娠させたのは誰なのか?
警察と病院と女性患者の家族は彼女を誰が妊娠させたのかについて調べ始めたところ、ある男が犯人である可能性が高い事を示す証拠が集まり出した・・・


今回もミスリードに引っ張られない事をお祈りします。


因みに、個人的なことではありますが、本レビューが2024第1号になります!

本年もどうぞよろしくお願いいたします!!!

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2024年01月03日

Posted by ブクログ

今回も、下村節が光ってました。でも、重い問題を題材としているのに、そこの心理描写が物足りなくて、個人的には、少し惜しい気がしてしまいました。
ひとつ言えるのは、親だからって子供を支配してはいけないということですね。

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

202311/部外者にあっさり話したり、文字盤に気づくの遅いとか、ツッコミ所もあるけど、勢いとうまさで読ませる。やはり下村敦史は面白いし毎回意欲を感じる。愛華の判断等は、現実には女性のほうが共感しにくいような気がする。

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2023年12月23日

Posted by ブクログ

閉じ込め症候群で寝たきりの女性が妊娠した。誰の子なのか?そして産むか中絶するかの本人の意思確認はどうするのか?というお話。
寝たきりで動けなくてもよりよく生きたいという思いは理解できるが、はたして自分がそのような立場になったときにどう感じるのか、よくわからない。
ただ、お話の中にあった「愛するものがあれば生きる希望になる」というのはその通りで、人は誰しも「愛するもの」があるから生きて行こうと思えるのだと感じた。

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2023年11月25日

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