下村敦史のレビュー一覧

  • 法の雨

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    無罪病判事と言われる裁判官が法廷で倒れた。そこから始まる検察と判事の馴れ合いがあるのではとか、成年後見人制度の抱える問題など、問題提起が物語の中でわかりやすく説明されていく。暴力団が絡み警察との馴れ合いも描かれていて、本当なのだろうかと思ってしまった。現実とは少しは違うのかもしれないが、現代の抱える法の問題をエンターテイメントに仕立てた作者の力量に没入してしまった。

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    2024年09月21日
  • そして誰かがいなくなる

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    どこかで聞いたタイトル、どこかで聞いたプロット、集められた推理作家たちの恐怖が始まる。
    流石の下村敦史、サラリと凄いことをやってのける。
    そこまでの驚きはないが、騙しに関しては巧みだし、もはや匠の域にいる。これだけ大掛かりな設定にしつつ物語が破綻せずに進んでいくのも上手いし、何よりも一気に読める楽しさがある。面白い。

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    2024年09月13日
  • 告白の余白

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    双子の兄の死の真相を探るために京都に行くミステリー作品ですが、他の方々の評価も頷けるなと感じました。
    京都の言葉の一つ一つにある皮肉や棘と言ったものがこの作品の伏線であり、物語の深みを増すものとして機能しているが、京都の京女を皮肉っているようにも感じられます。
    この作品の本質として、ミステリーの面白さももちろんのこと、人の言葉には余白があり、人に話す言葉の一つ一つには人それぞれの意味と尺度があるということを再認識させるものであると痛感しました。そういった意味では、京言葉の皮肉を題材にするというのは非常に挑戦的かつ素晴らしい作品に感じました。

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    2024年09月09日
  • ガウディの遺言

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    ガウディ建築のファンなので手に取ったが、ガウディ建築を巡るシーンがあったりガウディやスペイン史について語られる部分も多くよく調べて書かれていて面白かった。
    逆にガウディに全く興味がなく単純にミステリーを楽しみたい人には退屈な描写が多いと感じてしまう人もいるかも…。

    ストーリーはすこし無理やりで、ミステリーとして評価できるかと言われると星はもっと少なく付けてしまうかもしれないけど、作者さんの下調べにガウディへの愛を感じてガウディファンとしてはなんだか嬉しくなりました!

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    2024年09月01日
  • 絶声

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    お金に囚われている人達が、自分の権利ばかりを主張し見苦しい。
    けれど、気になる。
    父親は生きているのか、遺産はどうなるのか。
    気になって気になって読んだ。
    なるほど、そうきたかーとワクワクした。
    最後に太字のブログ部分のみを読み直した。
    素晴らしいトリックでした!

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    2024年08月29日
  • アルテミスの涙

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    閉じ込め症候群で
    寝たきりの
    女性患者が妊娠した。
    一体誰が―――!?

    全ての
    まばたきが、
    伏線。

    コミュニケーションの極限で
    生きている意味を問う
    渾身のミステリー
    -------------------------
    YouTube「ほんタメ」で紹介されていて、
    気になっていた一冊です。
    文庫化されていて、迷わず購入しました。

    話せない動けない彼女が病院内で妊娠していた。
    彼女の両親、病院、SNS、マスコミ…
    全てが騒然とし、病院の管理体制を糾弾する。

    産婦人科医の水瀬真理亜が、
    彼女とまばたきを使って会話を試みる。

    通勤中に読

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    2024年08月16日
  • 生還者

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    世界第3位の高峰のヒマラヤを舞台に様々な謎が絡み合う山岳ミステリーで、ラストの真相を知った時はぞっとする程かなり驚きました。
    登山に関して非常にリアルに書かれており、読み応えたっぷりでした。

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    2024年08月13日
  • 絶声

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    【2024年159冊目】
    あと数時間で親父が死ぬ。母と自分を捨てた男が死ねば、莫大な遺産が入ってくる。兄と姉との配分を考えても、億はくだらない――困窮する生活から抜け出せると考えていた次男の正好は、その瞬間を今か今かと待ち望んでいた。だが本人名義のブログが更新され、そこには「私は生きている」と書かれていた。

    最初の掴みが上手かった、刻限の決まった死ってどういうこと?と思わされる物語のスタートで、一気に引き込まれました。なるほど、そういう意味での死か〜と納得しつつ、ブログが更新される度に剥き出しになっていく欲望と欲望の戦い。

    そこに第三者も絡んできて、遺産は誰の手に渡るのかと最後までわからず

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    2024年08月12日
  • 全員犯人、だけど被害者、しかも探偵

    ネタバレ 購入済み

    WhyとHowのどちらが重い?

    犯人の正体について割と分かりやすかったので星4。
    ただ、そこに至るWhy done itとHow done itの組み合わせが非常に秀逸です。
    何故このようなデスゲームが行われたのか、どのように社長室の殺人事件が起きたのか。
    そしてどうして「全員が犯人で、被害者で、探偵」なのか。
    推理そのものよりも、因果関係の繋がりをこそ楽しむべきかもしれない。

    #怖い #ダーク #ドロドロ

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    2024年08月11日
  • 法の雨

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    『逆転無罪』から始まって裁判官、検察官、弁護士……いろいろな立場の人のいろいろな思惑が絡まりあって進んでいくストーリーが面白かった。読後もスッキリして自分好みの良い作品だと思いました。

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    2024年08月03日
  • 法の雨

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    今回も面白かった!
    大きなミスリードはないのだけど、私はほんの少しの記述で惑わされた箇所がある。さすがです。

    成年後見制度おそろしい…
    近いうちに自分にも関係するかもしれない。全く知らなかったので知れてよかった。
    認知症は、分野によってしっかり覚えているものと忘れてしまうものがあるのだろうか。検事と話す時と、家族と話す時の差がありすぎたのだが、そういうものなのかな。

    読み終えて、タイトルってどう読むんだろうと思ったが、ちゃんとルビ振ってあった。

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    2024年07月30日
  • 緑の窓口 樹木トラブル解決します

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    改めて緑の大切さが分かり、自然をもっと大切にしてどんどんふれあっていこうと思える1冊でした。
    「樹木が全てを語ってくれました。」
    これ、めっちゃかっこいいですねw

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    2024年06月26日
  • 同姓同名

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    やっとゲット。
    なんとなく気づいたものもあり、完全に騙されたものもあり。ホント色々仕掛けてくる。
    ズルい!(良い意味で)

    一気読みではなく、所々立ち止まって、一旦本を置き考える。前のページも見返す。
    何故あの人はあんなことを?という疑問や違和感が結構出てきたせいで、
    そうでもしないと頭の中が整理できなかった。
    複雑!(良い意味で)

    真相はなんとも理不尽。可哀想。

    序盤はコンビニ女子に、中盤からは"細目"にずっとイライラさせられた。
    コンビニ女子さ、別人だと分かってるのに名前だけであんなに毛嫌いするもの?

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    2025年05月25日
  • アルテミスの涙

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    ネタバレ

    小説の導入部分から性犯罪を匂わす描写があったが、
    それは読者をミスリードに導くものであったことが
    結末が分かってから再度読むとそれが分かる。
    本当の愛の形かもしれないが、生まれた子供の立場になってみたら「親のエゴ」と思われるかもしれないと考えされられた。

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    2024年05月23日
  • 白医

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    安楽死についての苦しい話しでしたが、なかなか奥深い話しだった。最後の医師の言葉はぐっとくるものがあって感動した。ある意味どんでん返し。

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    2024年05月03日
  • 白医

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    下村敦史『白医』講談社文庫。

    安楽死をテーマにした医療ミステリー。ミステリーと言うよりもヒューマンドラマと言った方が正解か。

    超高齢化社会が到来し、医療技術が進歩し、不治の病に苦しみながら死ぬに死ねない人たちが増えているのは事実だ。そんな状況の中、安楽死、或いは尊厳死と言うのは非常に難しい問題で、簡単に答えを出すことは出来ないのだろう。

    本作では、安楽死や尊厳死について是非は明確にせず、時と場合により選択の余地があることを匂わせている。


    ホスピス、天心病院の医師、神崎秀輝は末期癌のボクサー、水木雅隆の安楽死を行ったとして裁判に掛けられる。神崎はその他に2件の安楽死に関わったとされてい

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    2024年04月21日
  • 法の雨

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    先週の土曜日、怒涛の6連勤を終えた自分へのご褒美として購入した一冊です。
    駅前の書店で出会いました。
    下村さんの作品は初めてかと思いきや、
    「闇に香る嘘」を読んでました。

    疑惑の逆転無罪判決。

    ”無罪病判事”と呼ばれる裁判官がいる。
    起訴後、有罪率99.7%の日本で、無罪判決が下される。

    担当検事の大神は3回連続で無罪を言い渡され、
    検察庁内でも「ありえない」出来事として、
    出世の道は絶たれ、自身の今後すら危うい状況。

    その裁判長が判決直後に突然倒れる。

    そこから二点の視点(検察官の大神と、裁判長の孫)で物語は展開していきます。

    物語のテンポが良く、
    息つく暇なく数時間で読み切りま

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    2024年04月08日
  • 警官の道

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    上級国民:葉真中顕/許されざる者:中山七里/
    Vに捧げる行進:呉勝浩/クローゼット:深町秋生/
    見えない刃:下村敦史/シスター・レイ:長浦京/
    聖(あきら):柚月裕子

    作家もいろいろ 物語もいろいろ
    読んだことのない作家さん出会うのも おもしろい

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    2024年04月05日
  • 警官の道

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    警官も人。
    悩みもあれば間違いもする。
    そんな中でも信念をもって行動し生きている人はかっこいい。
    どの作家さんの作品も響きました。

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    2024年02月29日
  • アルテミスの涙

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    事故の影響で意思の疎通を目のまばたきのみで行うという推理小説
    子を産む、中絶をするという命に関わることとはどういうことかということも考えさせられる作品

    良い悪いの二者択一しかないという問題では無いからこそ読者に考える余地があるのが良い

    身体が動かない、意思の疎通もままならないことからの先入観、思い込みを逆手にとったのはやられた

    ラストのキレイな終わり方もGood

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    2024年02月23日