下村敦史のレビュー一覧

  • 闇に香る嘘

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    江戸川乱歩が還暦のとき創設された江戸川乱歩賞、推理作家の登竜門として歴史を重ね、賞として還暦を迎えた年に、本作が受賞した。主人公が盲目というユニークな設定で、主人公が常闇の中で、歯痒いながらも推理を重ねて、真実に近づいていくプロセス、読んでいる途中で、謎が複線化していき、人間関係に違和感を感じた推理が、最後にどんでん返しにあうか、主人公と同じ真実の闇の中で手探りする感覚が味わえる。
    満州開拓団として満州に送り込まれた人々、終戦間際にソ連が攻めてくる情報から、日本を目指して過酷な帰国路を歩む。幼い主人公も、母と兄とともに川を渡って逃れる途上、兄が流されていき、生き別れになる。戦後結婚するが、無理が祟り、主人公は盲目になる。盲目状態への苛立ちや傲慢さにより妻から離婚され、娘も家を出て行く。主人公の自分勝手さにより、娘の結婚相手は去り、娘は未婚のままで孫娘を育てていく。この孫娘は腎臓に問題があり、透析を続けて命をつないでいる。孫娘は娘から生体腎移植を受けるが完治せず、主人公の腎臓は移植には不適合となる。この孫娘の命運が一つのテーマになる。一方生き別れとなった兄は、中国残留孤児として主人公が失明後に帰国し、母とともに過ごしている。主人公は、本物の兄か疑念を持ち続け目が見えない不便さを顧みず調査を始める。この不信感のなか、突然本物の兄だと名乗る人物から電話を受けたり、主人公のもとに、点字で謎めいた手紙が届くようになる。目が見えない故、調査はままならず、不信感が募っていくなか、結末へ滑走していく。

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    2026年01月31日
  • 暗闇法廷

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    ネタバレ

    何かあると思って注意深く読んでいたつもりだったけど、騙されたー!
    これはこうかな?と予想しながら読んだ事がどれも違って爽快!
    丁寧に法廷劇を描いてるので、そーゆー反論なのねとわかりやすく読みやすくて飽きさせない。
    にしてしても、なんて施設だったんだろう。
    実際に不正をしている施設はとても多いんだろうな。

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    2026年01月28日
  • 同姓同名

    購入済み

    挑戦的かつ社会的

    小説における禁忌に挑むような作品。
    凶悪犯罪によって悪名となった大山正紀という名前。
    人生を狂わされた複数の大山正紀の視点が交差し描かれるミステリ。
    社会的なテーマもありつつ、アクロバットな曲芸を華麗に決め着地するような、そんな作品でした。

    #共感する #ドキドキハラハラ #深い

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    2026年01月27日
  • 生還者

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    ヒマラヤ山脈のカンチェンジュンガで命を落とした兄の遺品を調べるうちに、命綱であるザイルに意図的な細工があることに気づいた増田。
    雪山での事故は、実は殺人事件?
    生還者ふたりの意見は食い違い、増田はレポーターの八木澤と生還者高瀬を追う。

    キーワードはサバイバーズギルト(生還者の罪悪感)
    最後の最後まで真相はわからず、命をかけた描写にもドキドキしっぱなしでした。
    登山にはまったくの素人でも解像度高く読めました。

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    2026年01月24日
  • 暴走正義

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    「暴露系」
    「報道加害」
    「エスカレート」
    「誤認逮捕」
    「再犯」
    「死刑反対」
    正義をテーマにした6話収録の独立短編集。

    2023年に刊行された『逆転正義』の続編だが、前作未読でも全く問題ない。

    本書が描くのは正義を掲げながら暴走するネット世論の危うさだ。

    形勢が変われば掌を返し、責任を曖昧にしたままアカウントを削除する。
    今時のSNS事情がリアルに反映されていた。

    どんでん返しも健在で、ミステリーとしての満足度も高い。

    作者は“匿名の正義”の軽さと残酷さを容赦なく突きつけて来る。
    物事を多面的に捉える事の重要性を改めて感じた。

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    2026年01月24日
  • 口外禁止

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    「あなたをプロデュースします」——。
    恋愛塾に通う冴えない主人公のもとに届いた一通のメール。それはAIによる人生の指南だった。
    AIがワールドカップの番狂わせを連続的中させたことで主人公はその指示を信じ、思考を委ねていく。
    人生が好転したかに見えたが、やがて不穏なトラブルに巻き込まれていく。
    展開自体は先は読めるものの、続きが気になり面白く読むことができた。

    印象的なのは、主人公として描かれた現代の若者像だ。コスパ・タイパを重視し、考えることを放棄して最適解に従う姿は、闇バイトなどに普通の若者が流されてしまう構造とも重なる。努力を避け、テイカーとして生きることの危うさがリアルに描かれており、単なるサスペンス以上の社会性を感じた。

    また本作は、自分自身のAIとの付き合い方を省みるきっかけにもなった。知らず知らずのうちに「自分の頭で考えるプロセス」を省略し、AIの思考回路に偏らされていることと同義ではないか、
    便利なツールであるからこそ、表面的な処理を任せるのではなく、最終的には「自分の言葉」で思考し、話すよう意識しなければならないと痛感した。

    サクセスストーリーに見せかけた転落劇であり、AIに依存して窮地に陥る主人公をどう描くのか、今の時代に非常に相性の良い一冊だ。

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    2026年01月20日
  • 闇に香る嘘

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    ネタバレ

    おもしろかった!
    ただ、かなり重い話でなかなか読み進められず、正直読むのに時間はかかったな…でも終盤に入ってからは一気にスラスラ読めた。

    学生時代に授業で習ったことはあるけど、中国残留孤児や満州事変について、改めてちゃんと知るきっかけになってよかったなと思う。知識として知っているだけのときと、物語として読むのとでは、受け取る重さが全然違った。

    全盲になったうえに、育ててくれた親が本当の親じゃなくて、しかも自分が純中国人だったなんて、設定としてもしんどすぎる…。どれか一つでも相当きついのに、それが全部重なってくるのが本当に重い。

    でもその分、話の作りはすごくうまくて、途中で感じていたモヤモヤが最後に全部つながって「そういうことか!」ってスッキリした。重たい話ではあるけど、最終的にはちゃんとハッピーエンドだなと思えたのもよかったな。

    嘘の上に成り立っていたとしても、愛情は本物だったし、一緒に過ごした時間まで嘘になるわけじゃない、っていうところが好きだった。そこは読んでてちょっとほっこりした。

    あと、目が見えない世界の描写が印象的で、「見えないってこういう感覚なのかな」と思いながら読んでた。なんとなく、自分も目をつぶったまま読んでいたみたいな感覚…。

    ★4.5かな
    最後まで読むとかなりおもしろいけど、内容が重めで、私の好みど真ん中って感じではなかったので…

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    2026年01月17日
  • ガウディの遺言

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    下村敦史『ガウディの遺言』PHP文芸文庫。

    サグラダ・ファミリア、或いはガウディの歴史を下敷にした重厚なミステリー小説にして、家族の物語でもあった。

    下村敦史の作品はまさに変幻自在というくらいにその都度、舞台や作風を変化させるので、なかなか底が見えて来ない。これだけサグラダ・ファミリアやガウディについて調べることは並大抵のことではないだろう。そして、それを小説という形に昇華させる腕前には驚かされた。


    舞台は1991年、スペインのバルセロナ。現地で父親と共に暮らす佐々木志穂は、真夜中に出掛けて帰ってこないサグラダ・ファミリアの聖堂石工である父親を探している最中に、父親の友人であるアンヘルの遺体がサグラダ・ファミリアの尖塔に吊り下げられているのを発見する。

    父親の失踪もアンヘルの殺人に関係していると考えた志穂は、手掛りを求めてサグラダ・ファミリア建設に関わる人々を調べ始めるが、その過程でガウディが遺したサグラダ・ファミリアの幻の設計図を巡る陰謀に巻き込まれていく。

    本体価格1,000円
    ★★★★

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    2026年01月15日
  • 失踪者

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    面白かった。なぜふたたび山に戻って死んだのか。読み応えありましたね。登場人物がそれほど多くない中でそれぞれの人物がどのように絡んでいくのか。綺麗に最後はまとまりました。よかったです。

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    2026年01月13日
  • 口外禁止

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    序盤から中盤にかけてはなんだかご都合主義みたいな話だなと思っていたのですが、終盤辺りで何だかちょっと胡散臭くなってきて、ラストはある程度予想の範囲内、という感じでした。
    ただ、AIという存在がちょっと恐ろしいものに感じられました。

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    2026年01月11日
  • 黙過

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    騙された!
    短篇か思ったら騙された!
    5回?なんかもっと騙された感がある。
    壮大な問題。
    愛犬のだったら・・・・・とか思ってしまうぐらい。(ありえない事だけど)
    目的は同じで、手段が違うだけ。 
    凄いテーマじゃないか。もっとエンタメ強くして長編を読みたい気分。
    面白かった。

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    2026年01月04日
  • サイレント・マイノリティ~難民調査官~

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    今回も面白い。
    本当に最後にいつもどんでん返し。
    イスラムはこわいよ。
    特にイスラム国は。悪い人は一部だろうけど、テロしすぎやろ。
    あまりにもアッラーを崇めすぎててこわいよ。そういう未知の事だから余計にしりたくなる。難民調査官シリーズはもう出ないのかなー。

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    2026年01月03日
  • アルテミスの涙

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    小説なので綺麗にまとめられている
    が、可能性は低いとしても、もし現実にあれば
    どう考えれば良いのだろう
    それぞれの命とこれから、それぞれの考え
    答えのない重いテーマだと思う

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    2026年01月01日
  • 口外禁止

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    ネタバレ

    会話が中心なので、一気に読めた。
    あなたの人生プロヂュースします。という怪しいメイルが到着した3人の若者
    色々な事に勇気を持って踏み出せない多くの若者に寄り添う本だと感じた。
    ワールドカップの試合結果が3試合も当たってしまった事から信用して指示に従う若者たち。誰が誰を騙しているのか?
    最後までわからないスリリングな展開に引き込まれる。
    濡れぎねの罪を被せられた若者たちが取った行動は?

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    2025年12月30日
  • 口外禁止

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    「口外禁止」

    読後にこのタイトルに、恐ろしさを感じました。
    もしかしたら、そういう時代が直ぐそこに迫っているのかもしれない。
    いや、もうその時代なのかもしれません。


    陰キャで自己肯定感の低い大学生金崎恵介のもとに、一通のメールが届く。
    「あなたの人生、プロデュースします」
    スーパーAI「AI(あい)ザム」が、人生の様々な出来事に対して、正しい選択を助言してくれるとのこと。
    金崎は、AIザムの力を借りることに。すると女性と仲良くなり、楽しく遊べる友達もできたが、ある事件をきっかけに人生は暗転していくことに・・・
    といったあらすじ。


    AIに相談すれば、最適解を導き出し、無難な人生を過ごすことができそうです。
    しかし、AIの助言に頼り何もかも選択して生きた人生は、はたして自分の人生なのか?
    そして、今まさにAI第一世代として生きている自分。
    考えさせられる作品でした。

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    2025年12月29日
  • 闇に香る嘘

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    兄の正体を探るために知りたかった──、村上竜彦に成りすました偽残留孤児なのかどうか。

    ──私には真実を突き止める必要があった。
     
     
     
    第60回江戸川乱歩賞受賞作。

    全盲、中国残留孤児、腎臓移植。これらだけ並べただけでも、かなり見応えのあるパワーワードの数々。
    そして盲目が故、一度不信感が募った結果、膨らみ始めた猜疑心はどんどん加速していく。

    下村敦史氏の作品は、アルテミスの涙を読んだことがありましたが、物語の構成が面白い。
    他作品も楽しみー。
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    『第60回江戸川乱歩賞』受賞
    『週刊文春2014ミステリーベスト10』国内部門 第2位
    『このミステリーがすごい!2015年版』国内編 第3位
    歴代の江戸川乱歩賞受賞作で両ランキングのベスト3に入ったのは史上初の快挙!

    村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

    27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
    全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。

    選考委員の有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛し、選考会では満場一致で受賞が決定。
    第60回を迎える記念の年にふさわしい、江戸川乱歩賞受賞作!

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    2025年12月28日
  • 逆転正義

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    興味本位で読んでみた

    こういう逆転もののストーリー
    裏の裏書いて、いつも見破れない…

    読書初心者の方でも読みやすい活字な気がする。

    見て見ぬふりと死は朝、羽ばたくが
    特にいいかな

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    2025年12月28日
  • 法の雨

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    スッキリ度80%。
    無罪病判事と揶揄されるほどの判事から立て続けに受ける無罪判決。その真意を探ろうとする検事と、判事の孫、妻とも繋がっていく、意図を辿るような話。
    途中で嘘?!そんな理由!?と思いましたが、ラストまで読んでなるほど、と納得。
    他人から見ただけでは推し量れない重責と覚悟があったんだと思うと、複雑な気持ちになります。
    自分や家族が被害者になったとしたら、無罪なんてとても許せません。でも逆に加害者にされたら、なんで、と絶望すると思います。
    どちらにならないためにも、慎重になり、知識をつけて、大切な人をちゃんと大切にしたいと思いました。
    法廷が、起訴された罪状について有罪無罪を決める場であり、殺意がなければ無罪もあり得る、なんて初めて知りました。
    改めて、数々の激務をこなしながら市井を守ろうとする方々に敬意を表します。

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    2025年12月28日
  • 暗闇法廷

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    なんとなく怪しいなと思ってた奴がやっぱり犯人だった

    専門用語の羅列が少々しんどかった
    裁判ものだから仕方がないが
    その分、法廷のシーンはヒリヒリしたし、最後のオチのところは仰天です

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    2025年12月22日
  • 闇に香る嘘

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    主人公が全盲だからこそ出来る鮮やかなトリック。伏線もよく、推理小説としても、中国残留孤児問題や腎臓移植などの問題も読み易い文体でサスペンス要素としてもいい物語だった。

    アルコールで精神安定剤や睡眠剤呑むなよ…とはずっと引っ掛かってたけどね。
    もう少し各キャラに魅力があったらなぁ、、

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    2025年12月16日