下村敦史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
一家心中で生き残った幸子の17年間の苦悩と再生のミステリー。
ずーっとずーっと自分の過去に囚われ前を向く事、幸せになる事から自ら遠ざかり、苦悩と向き合ってきた幸子の心の叫びが300ページ近く綴られている。
悲痛な叫びに読んでいて本当に苦しくなる。
このまま何の光も見えず終わってしまうのかと不安になったけれどラスト数十ページに救われた。
思わぬ展開になり少し驚いたけれど、このラスト数十ページこそおそらく作者が伝えたかった事だろうと勝手に解釈している。
加害者と被害者の思いがぶつかり合った先に見えた真実は残酷だけれど、それを知る事で前を向ける時もある。
その立場にならなければ分からない想いがある -
Posted by ブクログ
法の正義と成年後見人が主題のリーガルミステリ
近年、無罪を頻繁に出すようになり「無罪病判事」と揶揄されている裁判官の嘉瀬清一
看護師によるヤクザの組長殺害事件の結審直前に倒れたが、その裁判でも有効とされた判決は「無罪」
自身が手掛けた裁判では四度目の無罪判決となった検事の大神による「無罪病判事」の真意、そして事件の真相の追求
医学部に合格しながらも、入学金を出してくれるはずだった祖父が認知症になり、成年後見人制度により弁護士が後見人になったため預金が降ろせずに納入期限が迫っている高校生の幸彦
果たして、法とは誰のためのものなのか?を問う物語
刑事裁判の有罪率99.7%となっている現代 -
Posted by ブクログ
ガウディの建築物が大好きなので、タイトルに惹かれました。
サグラダファミリアで起こった殺人事件。
サグラダファミリアで石工として働く日本人の父がガウディの遺言にまつわる謎に巻き込まれ逃亡。父の無実を証明するため、またガウディの遺言の謎解きをすることになる娘。
物語途中でガウディの情報を集めるため、いろんな関係者に話を聞く形で、サグラダファミリアや他の作品やガウディ自身にについて、知識も得られてしまうおまけ付き。
サグラダファミリアの建築の行方もを左右されてしまうほどの壮大なスケールの話で、これは実在する世界的に有名な建造物であるだけに、どうやって収拾するのかとハラハラしながら読みましたが、き -
Posted by ブクログ
題名の「法の雨」は、雨が万物を潤すように、仏法が衆生をすくうことのたとえ」だそうだ。
様々なテーマで現代の問題にメスを入れる著者が、今回問いかけるのは、「法の正義とは」と「成年後見制度の闇」。
公判検事の大神護は、「無罪病判事」と呼ばれる裁判長の裁判で、今回も無罪判決を受ける。
その裁判長が判決直後法廷で倒れ、無罪となった被告は死亡する。
大神検事は、関連があるのかと調査を始める。
一方、嘉瀬幸彦は医学部受験に合格し、入学金を祖父に払ってもらう予定だった。その祖父が認知症になり、成年後見制度を適用されてしまう。
入学金の振込期限が迫るが、後見人の弁護士に支払いを拒否される。
入学金は果たして払 -
Posted by ブクログ
「失踪宣告」しても、しなくても、うちには、そんな莫大なお金ないからね!
なので、こんな事件起こり得ない…
ハァー…
こんな財産ある家に生まれたら、どんなにええか!って思うけど、現実には、あんまり居心地が良いもんやないのかもしれん。
父親も金の亡者で、その子らもあんまり変わらん感じだし…
「世の中銭や!」
を地で行く家族やけど、楽しいん?
あるに越した事はないけど。
(めっちゃ欲しいのも確かやけど^^;)
で、得意の遺産争い。
お父ちゃんは、行方不明のまま。失踪宣告して、法律上は死んだ事にして、濡れ手に粟。
本当に亡くなったのか?
失踪宣告を前にブログの更新が…
しかし、こんな晩年嫌やな -
Posted by ブクログ
ネタバレ怒りと憎しみ、恨み、復讐、負の感情で支配されていく幸子。
ずっと暗闇の中。
読んでいて苦しかった。
元々、何か言われれば、否定的なことを思うし、恋愛に発展しても相手の言動一つ一つに緊張。
幸せになりたいのに、できない、いいのかと遠ざける。
自分の思いをぶつけることができる相手を見つけては、復讐心が加速する。
手紙にしても矛盾が、違和感があるのに、点と点を無理やり繋げて、自分の考えだけの物語の完成。
彼女が作った物語が崩れたときの葛藤。
幸子が見ていた景色が変わる。
雪絵、美香、郷田の告白。事実。
加害者、被害者、怒り、復讐、赦しとは。
-
Posted by ブクログ
下村敦史『法の雨』徳間文庫。
ひと筋縄ではいかないリーガルミステリーである。二転三転の展開と驚愕の結末。嘉瀬裁判官は認知症を患ったまま判決を下していたのかと腑に落ちない点もあるが、まあまあ面白かった。
それにしても成年後見人制度というというのは何とも酷い制度だ。家族が自由に預金を引き出せないなど有り得ない。もっとも近年は特殊詐欺が横行したお陰で自分の預金でさえもATMで自由に引き出せない。高齢者ともなるとさらに引き出せる金額も制限されるのだ。
有罪率99.7%を誇る日本に於いて逆転無罪判決は、検察官にとって死を意味する。
看護師が病院内でヤクザの組長の財布を狙った窃盗を働き、組長に見 -
Posted by ブクログ
内部で疎まれ、厄介者扱いされる新宿署のダメ刑事・田丸。
彼がいるとお宮入りになるとの噂から、ついたあだ名が『オミヤ』。
しかし、本当の彼はとても優秀で熱い刑事であった。
別作品で、すでに『オミヤ』となっていた田丸が、『オミヤ』と呼ばれるまでになった過去の話。
管内でOLの刺殺体が発見される。更に、歌舞伎町の人気ホストの遺体が発見される。
当初、別の事件と見ていた本部に対し、田丸は、驚くべき共通点を見出した。
それは、裁判員制度に絡む謎であった。
本部の誰にも信じてもらえない状況のなか、唯一の相棒・神無木との信頼関係は、どうなるのか。
最後に、ウルウルします。
『もう俺を守ろうとするな。相 -
Posted by ブクログ
未完の建造物であるサグラダ・ファミリアで起こった殺人事件。
1991年、バルセロナで暮らす佐々木志穂は殺人事件があった日に父が行方不明になっていることから事件に関わっていると考え、手がかりを求めて奔走する。
恋人を巻き込んで、危機迫る中ひたすら真相を突き止める姿に逞しさを感じる。
すべてが解明されたとき、10歳で母をその地で亡くした原因まで知ることとなる。
罪からは決して逃れられないが、人間、罪を負う者を赦すことはできる。
この一言に意志の強さと重さを感じた。
この物語は壮大でありガウディについても深く知ることができ、バスクとスペイン内戦のことなど歴史的なこともわかり、より一層バルセ