下村敦史のレビュー一覧

  • 悲願花

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    読み終えてさすが下村さんと唸る結末だった。
    幸子が一家無理心中から一人生き残るところから始まるプロローグはあまりに重く、どこにもぶつけようのない暗い怒りを燻らせたままのその後の後ろ向きな生き方は読みながら本当に息苦しい。なので、この結末は加害者と被害者は紙一重の隔たりなのだと強く思い知らされ、それまでの景色がより一変する鮮やかな衝撃。
    幸子にも雪絵にも寄り添えない。
    でも、自分が上手く言葉に表せなかった育児生活の大変な面が綴られた雪絵の手紙は一読の価値あり。的確に本質を突いた子育て中の母親の叫びがここにある。

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    2021年04月01日
  • 真実の檻

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    ネタバレ

    闇に香る嘘、告白の余白に続き下村敦史作品3作目。テーマは重いけど、少しずつ真相に近づくに連れてハラハラが増してほぼ一気読み。
    冤罪はこうやって作られるのかとやり切れない気持ちになる。後味はあまり良くないけど面白かった。

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    2021年01月14日
  • 真実の檻

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    ネタバレ

    結末が気になり一気読みした。面白いかどうかはやはり読書ペースと比例する。自分に合わない、面白くない本はなかなか読み終えられず時間ばかり過ぎる。警察、検察、法廷と難しい話も所々あったけれど大学生が周りの人に恵まれて死刑囚の実父を無罪までにする過程はわかりやすい分そんなにうまくいくか、、と突っ込みたくなる部分もある。けれど娯楽としては楽しめえた。初読み作家さんなので他の作品も読んでみたい。

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    2020年12月06日
  • 真実の檻

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    面白かった。読み易くよいが展開がなんとなく予想がつく感じで読み進めました。ご都合主義的な展開だったような印象があり少しだけ冷静に読み終わりました。でもよい小説だと思います。また、別の作品も読んでみようなと思います。

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    2020年10月29日
  • 黙過

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    ネタバレ

    短編から、長編へ繋がって行くところが面白く、視点が変わることによって、真相も変わって行くところが凄いなと思いました。
    ただ、登場人物が思い悩むほど、私自身に倫理的な嫌悪感がないところに、温度差があって、緊迫感に入り込めませんでした。
    異種移植、そんなに嫌悪感あるかなぁ。内臓変わっても、外見からじゃわかんないし。姿かたちが変わってしまったり、本人では無くなってしまうわけじゃないのなら、そんなに嫌悪感は感じないかな。
    そもそも、輸血も臓器移植も、何なら予防接種だって、異物混入には変わりないと思ってしまいます。私としては、自分以外はすべて、人だろうが動物だろうが機械だろうが「他」には変わりないので、

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    2020年09月27日
  • 黙過

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    長編かと思ったら短編集かと思いきや・・・

    最終章の『究極の選択』は最後にお読みくださいとある?

    これ何?と思いきや、少し驚きの構成となっている。


    下村さんの作品のメディア批判には共感が持てます。
    作中の動物愛護団体をみて思うことは、何かを守るために何かを傷つける人達は沢山います。
    メディアの方々と何かを守る団体の方々には世の中に対してフェアに生きてほしいと思います。

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    2020年09月27日
  • サイレント・マイノリティ~難民調査官~

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    難民調査官シリーズの2巻目。1冊目はクルド、2冊目はシリアです。1冊目よりもミステリー色の強い作品になっています。シリアの情勢を伝えつつ、見事な構成のミステリーとなっています。

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    2020年09月13日
  • フェイク・ボーダー~難民調査官~

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    日本に人種や宗教の問題がないわけではないですが、それでも日本に住んでいると人種や宗教などに起因する難民問題を実感することは難しい。そんな難民問題に正面からぶつかっている小説です。
    なかなか考えさせられる小説ですが、ミステリー部分はちょっと弱いかな。

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    2020年09月13日
  • 緑の窓口 樹木トラブル解決します

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    市役所新しくに設置された樹木に関する相談窓口「緑の窓口」に異動になった天野くんと、たまたま知り合った樹木医の柊紅葉さんによる樹木関連の日常の謎

    まがりなりにも森林生態系の学問を修めた身として、樹木に関する知識が少しはあったので、よく理解できるものもあったりツッコミを入れられるものもあったり
    でもまぁ、個別の品種の特性までは知らないからなぁ

    収録されているエピソードは6つ

    ・スギを診せてください
    ・クヌギは嘘をつきません
    ・モッコクの落とし物です!
    ・ソメイヨシノは実は、
    ・チャボヒバを前に無力です…・・・
    ・全ては、樹木が語ってくれました


    ・スギを診せてください
    スギを伐りたい嫁と伐

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    2020年09月04日
  • 真実の檻

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    これは怖い話だったな。

    大学生の洋平は母の遺品整理の際、本当の父親が元検察官で「赤嶺事件』と呼ばれる殺人事件を犯した死刑囚であることを知る。まだ刑が執行されていないこと、事件は冤罪の可能性があることを知った洋平は、父の無実を明らかにするために事件について調べ始める…といったお話。
    その調査の過程で様々な冤罪が疑われる事件にぶち当たり、その都度に”有罪を作り出していく”司法の現場の実態が明らかになっていく。
    それにしても、ここに描かれる警察、検察、裁判所の在り方は、威信とか沽券とかもあるだろうが、根本的には皆忙しすぎるな。それで『起訴された以上、終着駅が「有罪」の列車』というのもゾッとしない。

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    2020年08月25日
  • 真実の檻

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    ネタバレ

    真相に近づくにつれ、育ての親と血縁の親を両天秤にかけなくてはならない状況で、「葛藤」を描いた秀逸の内容。主人公の洋平が母の遺品整理中に見つけた写真。時期的前後関係から自分の父親が違うことに気付く。父親に聞いてみると「赤嶺事件」にたどり着く。赤嶺信勝は母の両親を殺害し死刑判決により執行待ちだが、冤罪の可能性。洋平は記者の涼子、弁護士の柳本のサポートを受け、冤罪事件の真相を解明する。母は死の直前父親と離婚を決意したことが冤罪事件の真相だった。最後まで激しい展開で、ストーリー構成と人物描写は素晴らしい!

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    2020年08月11日
  • サハラの薔薇

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    考古学者がフランスへの移動中に乗っていた飛行機が
    サハラ砂漠に墜落
    他数名の生存者あり
    そこに残るものとオアシスを求めて移動するもの
    そのあとは追うもの追われるものの展開など
    いろいろ盛り込まれています

    砂漠を何日も歩き続ける大変さって
    どんだけだろうなぁと

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    2020年07月25日
  • 真実の檻

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    母の死がきっかけで父とは血が繋がっていないことと実の父は死刑囚として収監されていることを知ってしまった大学生の主人公。
    実の父が起こした事件を調べるうちに冤罪の可能性を書いた記事を発見し、その記者に協力を求める。
    彼女と調べを進めていくうちに協力者も増え、真相に迫っていくが、真相はまた主人公には受け入れがたい事実だった。
    裁判官の実情や検察と警察の関係など、人を裁く人たちは本当に公正なのかということも問うている。

    意外と読み応えがあった。
    冤罪がテーマのように見えるが、司法の正当性や公正性が本筋のテーマだと思う。
    最後の展開はなんとも言えず、全てを失ってしまったほうは自業自得とは言え、仕打ち

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    2020年05月23日
  • サイレント・マイノリティ~難民調査官~

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    難民調査官?

    初めて聞く職業の名称


    本作では激化するパレスチナ情勢の下日本に難民申請するシリア人に視点を合わせた社会派小説か?と思いきや、冒頭でシリア人が殺される!?
    しかも難民申請するシリア人の父と娘の食い違う証言?と周囲の人達の発言が謎を更に深めていく。
    更に出て来る雑誌記者が今の日本を象徴するかのようなジャーナリスト!辟易とします。

    社会派ミステリーで大ドンデン返し!是非お読みください。

    作中に登場する雑誌記者と真逆の人間を目指していきたいと思いました!

    因みに本作品はシリーズ2作品目との事!

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    2020年05月06日
  • 真実の檻

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    ネタバレ

    大学生の洋平が、母親の遺品整理をしていた際に、天井裏に置かれていた小箱を見つける。中身は手紙と写真。その写真に写っていたのが、母親と見知らぬ男。手紙には妊娠を喜ぶ内容が書いてある。日付から考えてその子供は自分であると気づく。手紙に書いてある名前をネットで検索すると、その男は夫婦2人を殺した殺人犯で死刑囚。しかも殺された2人は母親の両親だった。突然知った事実。そこからこの物語が始まる。
    真実はなんなのか。展開が早くてスラスラ読めました。これはフィクションだけど、いろんなところに冤罪はあるかもしれないと思わせる。痴漢の件のところは本当にありそうで怖いと思ったし、警察の組織による隠ぺい疑惑もきっとあ

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    2020年04月04日
  • 失踪者

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    途中までなかなか物語に入り込めず、もどかしかったが、大満足のエンディング!自分自身も登山は好きだが雪山に登る勇気は出ず、夏山止まり。
    なのでもちろん八千メートル級なんて想像もできないけど、物語としてその過酷さを読み、また山頂への道のりにロマンがありとても面白かった。

    ミステリーの構成としても、登場人物の心の動きがとてもリアルで最後まで納得のいくストーリー。頑張って読み切って良かった!

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    2020年03月04日
  • サハラの薔薇

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    この間、著者ほどフィールドの広い作家は稀ではないかと書いたが、今作は何と冒険小説。
    また、新しい分野を読者に提供してくれた。
    しかし、解説によると、著者は80年代の冒険小説の時代に生まれたから冒険小説の申し子といえるそうだ。
    舞台はサハラ砂漠、主人公は発掘調査を行う考古学者。
    この考古学者、発掘した遺跡の一部を転売してしまうという、こ狡いオヨヨな男。それでも、物語の進展とともに”たくましく”?なって行く。
    搭乗した飛行機が砂漠に墜落し、生き残った者たちと砂漠からの脱出を図る。しかし、同行者は皆ワケ在りな者たちばかり。
    本性を現した採掘の盗人と戦い、砂漠の危険な動物に遭遇し、ゲリラに襲い掛かられ

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    2020年02月21日
  • サハラの薔薇

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    下村敦史『サハラの薔薇』角川文庫。

    サハラ砂漠を舞台にした冒険小説。砂漠や辺境の地を舞台にした冒険小説と言えば船戸与一を思い出すが、本作には船戸作品のような砂漠の匂いは感じられなかった。主人公の峰が発掘調査費を捻出するために発掘品を横流しするようなセコい考古学者という人物造詣が作品を台無しにしているように思う。

    エジプトで発掘調査を行う考古学者の峰はついに念願の石棺を発掘するが、石棺に納められていたのは死後数ヵ月のミイラだった。発掘調査は失敗に終わり、峰が講義先のパリに向かう道中で飛行機が墜落し、サハラ砂漠に不時着する。峰は生命を懸け、生き残った仲間とオアシスを目指すのだが……

    峰が何者

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    2019年12月30日
  • サイレント・マイノリティ~難民調査官~

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    著者も何とフィールドの広い作家なのだろう。
    全盲者を主人公に、中国残留孤児問題を扱ったデビュー作の乱歩賞受賞作を皮切りに、山岳ミステリー、リーガルミステリー、さらに医療ミステリーと続く。
    今作(シリーズ第2弾とは知らなかった)は、一般にはあまり馴染みのない専門職ともいえる難民調査官が主人公。
    難民申請したシリア人が、突如申請を撤回する。その豹変に不自然さを感じた主人公は、認定するか不認定とするか、自分の決断が直接人命を左右すると思い知り、逡巡する。さらに、誘拐事件も勃発し、殺人事件も絡み、混迷の度合いは増すばかり。
    一方、主人公の先輩のジャーナリストは、シリアで内戦に遭遇し、テロリストの人質に

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    2019年10月16日
  • 失踪者

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    ネタバレ

    山岳ミステリー。10年前に滑落して失踪した相棒の遺体を回収しに行くと、明らかに年を取っていた。なぜか?相棒の足取りを追うと、別名で8000m峰を登りまくる謎の日本人にたどり着く。しかし相棒は5年前に死んでいた、では今の謎の登山家は誰なのか?
    登山の描写はまあまあのリアリティ。ストーリーの展開も早く読みやすい。
    主人公のがっかりを払うために8000m峰に登って強さを証明し、最後は病気で死ぬ前に、クレパスに自ら戻って死ぬという、主人公と相棒の友情が、というか樋口の主人公ラブ度がすごすぎ。あと、宮崎というキャラの性格がくそ過ぎて逆にすがすがしいほど。

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    2019年05月31日