穂村弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人生は何が起こるか分からないね。
まさか自分に好きな歌人ができるとは。
お気に入りのうたは、
「ほんとうにおれのもんかよ 冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は」
リズムもわかりやすいし、いろいろ想像できるところもいい。
冷蔵庫のたまご置き場に涙を落とせるなんてずいぶん背が高い人なんだなぁと無邪気に思っていたけれど、そうかこの人の前にあるのは一人用とかの小さい冷蔵庫かもしれない、と唐突に気づいた。
1人用の小さい冷蔵庫、泣いている状況、泣いていることを認められない自分。
この組み合わせがなんとも切なく、詳しい状況は全然分からないのに胸が締め付けられます。
前半の部分がひらがなで曖昧でふわふわした心情を表していて、後半は漢字を使って固い印象を持たせてる…のかなぁ?
よく分からないけど、技術的にもすごく高いのかもしれない! -
Posted by ブクログ
一般公募した短歌を、3人の歌人がテーマ別に批評していく一冊。対談形式で書かれているから読みやすい。詩や短歌の面白さがわからなかったが、多少なりとも触れてみることで、制限があることではじめて得られる視点があると気づけた。
<第二の教訓は、限定や限界の必要ということです。いいえ、別に難しい話ではありません。相撲の技術は、狭い土俵というものが あるから生まれたのだということです。もし直径100mというような土俵であったら、相撲は、到底、あの美しい緊張の瞬間を生み出すことは出来ないでしょう。大自然を写すためにキャンパスを無限に大きくして行ったら、迫力のある絵を描けるでしょうか。そう考えると、何を書いてもよい、どんな言葉を使っても構わないという言論の完全な自由というのは、実は、少し始末の悪いものなのです。>
<なにも、戦争中の厳格な言論統制のほうがよいなどと言っているのではありません。しかし、どこかに土俵のようなもの、額縁のようなものがあった方が、本当に重要な事柄が鮮明に浮かび上がり、文章に緊張が生まれるのだと思います。今日では、面倒な話ですが、そういう限定や額縁を自分で作り出して、これを自分に課するよりほかはないでしょう。>
『私の文章作法』(潮新書75 潮出版社)清水 幾太郎著 第六章より引用 -
Posted by ブクログ
新潮社のPR誌「波」の連載。
お友達からお題を募って、ふたりで題詠したもの(本来すべてがいいわけではないので、玉石混淆はやむなし)を、エッセイ風に自作解説した上で、二度にわたって対談で褒めそやす。
なんという企画。
でも本来歌界や句会ってそんなもんだろうし、作品性の違いというか世界の捉え方の違いみたいなものが見えて、結構面白い。
穂村さんはファンタジーや架空の夏を設定。
堀本さんは自身の体験や季語から発展。
もちろんそれぞれ幅はあるけど。
短歌と俳句の違い、それぞれにフィットした味方なんだろうな、とも。
出題者ー作者ーもうひとりの作者ー読者という関係の中で生まれる・立ち上がる場。
おおっと思ったのは、
・街師走信じられない多情の日
・秋蝉(しゅうせん)の尿(しと)きらきらと健次の忌
※8月12日中上健次没。堀本は和歌山生まれ。
題詠ではない、エッセイ中での自作引用。
・切り口の楕円うつくし胡瓜漬
・妹の寝顔の上の蟻を吹くおいてけぼりのアリスの姉は
解説の壇蜜もナイス。
(1)椅子 穂村弘 歌人
(2)動く 堀本裕樹 俳人
(3)たまゆら 北村暁子 編集者
(4)信じられない 藤野可織 作家
(5)風見鶏 竹本健治 作家
(6)まぶた 松家文子 大学生
(7)唾つば 又吉直樹 芸人
(8)かわいい 名久井直子 装丁家
(9)挿入 荒木経惟 写真家
(10)流れ 鏡リュウジ 占星術研究家
(11)カルピス 高橋久美子 作詞家
(12)謀叛むほん 北村薫 作家
(13)たしなめる 柴崎友香 作家
(14)ゆとり 朝井リョウ 小説家
(15)黒 千田朝子 小学生
(16)水際 中江有里 女優
(17)ぴたぴた 谷川俊太郎 詩人
(18)背骨 菱刈チ力 整体師
(19)四十八 道尾秀介 作家
(20)放射線 新妻香織 相馬市議会議員
(21)夢精 ビートたけし コメディアン
(22)客 柳本あかね 「茜夜」店主
(23)塗る 堀江敏幸 作家
(24)文鳥 梅崎実奈 書店員
(25)罪 北村篤生 牧師
(26)ロール 寺島さやか 「本屋B&B」店長
(27)はにかむ 石田ゆうすけ 旅行作家
(28)古本屋 広瀨洋一 古書店主
(29)ゲーム 米光一成 ゲーム作家
(30)誕生日 千野帽子 文筆業
(31)部長 長嶋有 作家
(32)稲荷 布上智範 イタリア料理店店長
(33)逃げる リヒト モデル
(34)適性 西崎憲 作家
(35)舞台 柳家喬太郎 落語家
(36)楕円 竹内亜弥 女子七人制ラグビー日本代表
(37)着る 祐真朋樹 スタイリスト
(38)腹 佐藤隆信 出版社社長
(39)描く 師岡とおる イラストレーター
(40)歌う 大住憲生 ファッションディレクター
(41)やわらかい 会田朋代 幼稚園教論
(42)安普請 壇蜜 タレント
(43)ふるえる 青柳いづみ 女優
(44)瀬戸内海 田丸雅智 ショートショート作家
(45)おいてけぼり 小松孝知 運送業
(46)愛嬌 山田邦子 出版社受付係
(47)うらはら 五戸真理枝 「文学座」劇作
(48)忖度そんたく 迫田朋子 ジャーナリスト
(49)共謀罪 藤田直哉 文芸評論家
(50)ぴょんぴょん 馬場あき子 歌人
【穂村弘×堀本裕樹】あとがき対談
【穂村弘×堀本裕樹】対決! 短歌と俳句 公開勝負
解説 壇蜜 -
Posted by ブクログ
短歌について知るための入門書のようだけれど、ずいぶんボリュームがあって難解だった。
構造図の章では、著名な短歌の読み解き方を事細かく解説してくれているが、『〈実存的な読み〉の可能性を探る』という形而上学みたいな話で、ほとんど何を言っているのかちんぷんかんぷんだった……。
でもそれこそ今すぐ歌人になりたい人にとってはスペシャルに親切な文章なのやもしれない。私は歌人にはなれぬ……。
でも心に残る表現はたくさんみつかった。
ふわふわしたことばっかり言っているほむほむさんが好きだけど、こういう真面目な話をしているほむほむさんもすてきです。
「世界を覆す呪文を求めて」の終章は、穂村弘さんがどのように短歌と出会っていったかがイノセントに綴られていてたまらない気持ちになる。
〈それまでに誰も考えなかったような、自分だけの呪文を意識して歌を作るようになった。それとともに、誰か僕の呪文を好きになってくれないだろうか。誰かそれを覚えていっしょに唱えてくれないだろうか。そんな風に思うようになった。たまたま隣の席に座った友達に歌のカードを見せてみた。友達はちょっと困ったように歌を見て「いいね」と言った。 〉