逢坂剛のレビュー一覧
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新宿の雑踏で起こった爆発事件。二人の死者と負傷者二十一人を出した惨劇で亡くなったふたりのひとりは爆弾の所持者とされるフリーライターで、もうひとりは本庁公安部の特務一課に所属する倉木警部の妻だった。男は左翼グループのメンバーだったのか、それとも――。妻を失った倉木尚武は捜査のメンバーを外されながらも、真相を追っていく。一方、能登半島の突端にある孤狼岬につながる道路を傷だらけで歩いていた〈彼〉が発見される。〈彼〉は記憶を失っていて、自分が何者か分からなくなっていた。
ということで、本書は逢坂剛が1986年に発表した一作。『カディスの赤い星』などと並んで、著者の代表作のひとつとされている作品ですね。妻を失った公安の刑事が傷だらけ(本当に傷だらけになります)になりながら、真相を追っていく姿を、硬質な文体と複雑な構成で描かれていきます。
後書きでも作者自身が触れていますが、過去と現在の時系列が行ったり来たりする一筋縄ではいかない構成が魅力的な作品で、さらにはミステリ的にもある大きな仕掛けが用意されているのですが、そのトリッキーさが暗い真実と孤独に闘う〈ふたり〉の姿を描いたハードボイルド的、警察小説的な要素と混じり合っても、決して水と油になっていないところが素晴らしかったです。 -
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警視庁公安部に所属する刑事の桂田は、右翼の大物として知られる遠山から、一通の手紙を見せられる。それはテロも辞さない左翼グループ『東方の赤き獅子』の名が記された殺害予告だった。情報を掴むために、桂田とコンビを組む相方の浅見は張り込みをはじめる。時を同じくして、浅見のもとにひとりの男が訪ねてくる。特別監察官の津城は、逸脱した捜査や取り調べを行い、金の流れにもおかしいところを感じる桂田を調べているらしいのだが――。
というのが、本書の導入。文庫裏の内容紹介に書いてある部分なので、言ってしまってもいいような気はするのですが、本書の一番の読みどころになる部分は敢えて伏せました。結構中盤に来てから起こることなので……。
まったく別のところにあったふたつの点が結ばれて、綺麗な線になる。警察小説としてはもちろん、本格ミステリとしても秀逸な作品だと思います。心情描写は最低限に、簡潔で無駄のない研ぎ澄まされた文章も魅力的な一冊です。 -
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ネタバレ違法な人工血液を追っていた麻矢は、真相を知る元婦長・鳥飼キヨ子と連絡を取れ、焼津の海岸に呼び出されるがそのまま行方不明となる。友人でフリーカメラマンののぶ代は必死に彼女の行方を捜索するが杳としてしれなかった。しかし調べるうちに輸血を人工血液に代替えする病院がある新興宗教と通じていることを知る。一方、遠くスペインのカディスから一組の男女が幼い娘とともに逃避行してくる。彼らは事件に巻き込まれ殺し屋に追われていた。白い人工血液を巡って起きる数々の事件、全ての謎が一本の線で繋がっていった先に驚愕の結末が! 超一流の傑作エンタテインメント!
面白かった。序歌的に出てきた戦国時代の親子の物語は、そこで回収するのか、というのがまず一個。また、人工血液の為に攫われたと思われていた麻矢が、実は麻矢の血液を貰うために攫われたというのは良い意味で裏切られて面白かった。人工血液を開発しようとした会社が、それに失敗したあげく、輸血のための血液を必要とするのが面白かった。
また、隠し子騒動は面白かったが、産廃業者を隠れ蓑としたヤクザ組織や宗教団体があまり活かさられていない気がした。もう少し深く描いて欲しかった。 -
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ネタバレ「白い人工血液」の謎から始まる、壮大な仕掛けの超エンターテインメント!
製薬会社の秘書・麻矢は、「人殺しの会社」と受付に押しかけてきた男から、ある写真を預かる。それは病院で死亡した男の父親の解剖写真で、白濁した内臓が写っていた。麻矢の会社が開発した白い人工血液、フロロゾルが使われたことで父親は死んだというのだ。フロロゾルの存在を全く知らなかった麻矢は、写真を男に渡した元婦長鳥飼キヨ子を訪ねて静岡に向かう――。戦国時代の母子哀話、遠くスペインはカディスから逃れてきたフラメンコ歌手とギタリスト、輸血を禁じる謎の新興宗教、海岸の失踪事件。壮大な仕掛けが徐々に一つの線で繋がっていく、超エンタテインメント!
上巻では、上に書いてあることが次々と起こり、始まった感がありワクワクする展開だった。古森が怪しい気がしてならない。