古市憲寿のレビュー一覧
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「マーケティングの嘘」ではコストコが流行った理由を「3世代消費」としていたが、本書は「遠足型消費」にあるとする。こちらの主張の方が、一般論としては受け入れられている気がする。
「『遠足型消費』とは、小学校の遠足のように、日常の延長として消費やレジャーを体験型で楽しむスタイル。行く前の日はちょっと楽しみで、日常と少しだけ離れたキラキラした空間で、キラキラしたものを買い、キラキラした時間を過ごすこと。
基本的に日帰りの日常の中で楽しむ、ささやかなオアシス。ハワイのオアフ島ではなく、車で行けるスーパー温泉やショッピングモール。高級レストランのフレンチではなくて、ちょっと素敵なキッチン道具を使っての、おうちご飯。…
…未来が見えにくく、退屈になりがちな『終わりなき日常』を、ささやかな幸せとともに生き抜く知恵。」
ポイントは、「キラキラ」。この「キラキラ」と発行するために不可欠となる条件が、「非日常感」であるという。ニトリになくてイケアにあるもの、ユニクロになくてH&Mにあるものがこの「キラキラ」だと言う。品質はニトリやユニクロの方が優れているのにも関わらず、「キラキラ」が選好される。
それにしても驚いたのは女性誌「Mart」の発信力。正直知らなかった。大都市近郊に住む30〜40代ミセスがターゲットの生活情報誌で、食べるラー油、ルクエ、コストコ、イケア、ホームベーカリー、ディーン&デルカ、ル・クルーゼなど特定の商品やショップを強力に特集し、ヒットに結びつけているとのこと。 -
Posted by ブクログ
脱原発のデモの光景が脳裏に浮かんだ。
国会議事堂に向かって何かを騒ぎ立てる群衆。ニュースで見た光景。
そこに安倍首相が敢然と矢面に立ち持論を展開しようとしているイメージを描いた。 なにかバゲット車のようなもので見渡せる高いところに立ち、街頭演説のようなマイクを握りながら、脱原発論に対する自身の意見を訴えているところだ。すると物が投げつけられる、もしかしたら銃撃されて死んでしまうかも知れない。そんな邪念が介在し、映画に出てきそうな防弾ガラスケースに包まれた首相に変わった。このままだと妄想が別の方向へ進みそうだったから、3Dホログラムを使って首相自身は官邸から群衆に対して主張をする状況に落ちつけた。
彼らの熱量に見合うほどの情熱を込めて訴える安倍首相。今まで見た首相とは全くの別人だ。 正反対の意見を主張する彼らの中にも、この後彼への評価を改める者が出てきそうな、誠実さと気持ちのこもった訴えだった。
場面は室内に切り替わる。安倍首相とデモの代表者達が直接討論を行う場面。 実際にそのような事が行われていた気がするし、何かでその様子をチラ見したような気もする。だからその記憶を膨らませた光景なのかも知れない。安倍首相、そして野党代表で枝野氏、そして代表者数名。 原発は今の国民生活水準を維持するため、そして今後も増えるであろう電力消費量を賄うために必要であるとする首相。
「あなた方にはスマホやパソコンが自由に使えなくなる生活を受け入れる覚悟がありますか」と聞かれ閉口する参加者。 一方、コストを考えるなら営利企業が電力を扱うのではなく、国有企業に戻してもいいのではないかという意見が参加者から出る。 論理的な意見と讃えつつも自民党および現行の政府にはその意思はない。それが実現するにはその意思を持っている他の政党が与党になる必要がある。と枝野代表に意見を求めるが参加者の意見に同意を示す事ができない。
そして討論は我々が描くべき日本人像、日本社会の理想像についてへと移っていく。自分たちがどのような人間となり、どのような社会を創っていくべきなのか。これがあらゆる問題や選択肢にとって必要な前提だとわかったから。 一昔前のムラ社会のように同じ生活圏にいる者同士のつながりを必須とする世界。 ネット上でのつながりも前者と同様に意義ある者として認め、場所にとらわれず個の自由が尊重される世界。そんな選択肢がいくつか提起される中で妄想は終わった。
日本のリーダーに過剰なほどの期待を押し付けているのかもしれない。すべての国民が納得いくような道を示せ、と。そんな無理難題を突き付ける一方で、そんなことが到底なしえないこともうすうす感じていたりもする。だから大した期待もしない。
されど、せめて、妄想の中で躍動していた首相のように、立ち居振る舞いがナイスな人物がこの国のリーダーであってくれれば、それだけで変わる気持ちもあるのではないか。 -
Posted by ブクログ
現代におけるリーダー待望論や「クール・ジャパン」、さらにネット・バッシングや日本の雇用形態などといったさまざまなテーマについて考察をおこなっている本です。
エッセイのようなスタイルで書かれているので、気楽に読むことができるというメリットはありますが、これらのテーマの全体を貫くような、来たるべき社会についてのグランド・デザインが示されているわけではありません。新書形式で刊行されているとはいえ、元来はさまざまな雑誌に掲載された著者のエッセイをまとめた本なので、やむを得ないのかもしれませんが。
ただし、本書の最後の方に収録されている「闘わなくても「革命」は起こせる」というエッセイでは、著者はシェア・ハウスをおこなっている若者たちの取材を通して、「今、ここ」にある身近な幸せを大切にする「コンサマトリー」(自己充足的)な生活スタイルに、社会のグランド・デザインを描くこととは別の仕方による社会変革の可能性についての希望を見ようとしていると言えるように思います。 -
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おなじみの社会学者・古市憲寿と、若手の左寄り哲学者・國分功一郎の共著、対談集。國分もlifeで知って、とても面白いしっかりした人だなという印象を持っていた。哲学者って名乗るのは結構大変だと思う。哲学の仕事って真理の探究でしょ。思想とは違う、っていうのはイメージで線引きはわからないけど、でも逆にそう名乗っているのが新鮮。
本の内容としては、現状、日本の社会制度や流行りなんかをバシバシと批判する感じ。古市はノルウェーに、國分はフランスに、共に学生時代留学していた経験があるので、そこと日本との違いをいいところ悪いところを上げながらやり合うのは、結構面白かった。相変わらず古市は自由で現代の権化。でもこの本では多少だけど、育った家庭のスタイルとか食事の好み、運動に関してとか、古市個人のことが書かれていて関心が行った。現代の権化、というのは決めつけだけれど(個人的には好きだけど)、それにも因果と言っていいのかわからないけれど、理由はあるのだなと感じた。こういう考え方はちょっと宗教くさいでしょうか。その点國分の考えは、ちょっと自分とは違うところはあるけど、いたって理解しやすく、コンテクストとテクストが素直に結びつく。
古市がいろいろと聞いて、國分がべらべらと考えていることをしゃべる。たぶんこの考え方、古市は納得してないよな、とかいろいろと想像もはかどる。面白かった。國分の消費と不満足あたりの着想はかなり関心がある。「暇と余暇の倫理学」今度読んでみよう。
17.6.20 -
Posted by ブクログ
テレビでよく見かける若手の社会学者、古市憲寿の社会学入門。社会学とは何か、という質問を、日本を代表する12人の社会学者に尋ねて回る対談の書籍化です。非常に読みやすく、かつ程よくアカデミックですごく読みごたえがありました。それぞれの社会学者が取り組む社会学者としてのアプローチをたどりながら、社会学の位置づけを多角度から理解できたと思う。
最近の学問は理論の探究から、事象の理解にシフトしている。そこに善し悪しはないだろう。だからこそ常にダイアローグを忘れてはいけない。個と全体の、一般と特殊の、理論と計量の。そしていつも問い続けることを忘れてはいけない。私たちの住む社会について、私自身について。
17.3.9 -
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最近、自殺した東大卒の電通社員がTwitterに残していた死ぬまでのツイートが話題になっている。
いい大学に入って、いい会社に入る。そうすれば人生上がり。
そんな時代は終わっている。
すり減らされるのは一般労働者だけではなく、エリートコースでさえも使い捨ての世の中だ。
僕たちに明るい前途は見えない。
この本はブラック企業という言葉が定着する前、2012年初版の本だ。
著者の近しい人は遊ぶように働く仲間がいる一方で、世の中は将来に不安を持ちながら働く人、働かない人、様々だ。
明治時代以前からの日本人の働き方を考察している。
この先の働き方に答えを出しているわけではない。前途が明るいとも暗いとも明言していない。
ただ一つ、友人のネットワークが人生において重要だということは明言している。
そうなるとやはり、どの学校に属していたかが重要になってくる。
自殺した女性はTwitterで日々の激務をつぶやいていた。
それゆえに労働災害認定されたわけだが、どうして自殺にまで追い込まれたのか。止まれなかったのか。止められなかったのか。
低成長の時代は精神論になりがちだ。しかし、精神論でどうにかならないことは先の大戦で身に染みているはずだ。
日本人はそれでも精神論にしがみつく。
働き方、生き方、死に方、僕たちが目指す前途を考えなければ、ただ生まれてから死ぬまでのノルマを果たすだけの人生だ。 -
Posted by ブクログ
自身もベンチャー企業社員の一員である古市憲寿氏の「若者の起業」論。起業する若者たちの「現実」があまりにも世の中に伝わっていないという問題意識のもと、起業する若者たちのリアルに迫ることを意図している。
著者が断っているように、サンプルが少ないこともあり、ここに出てくる「起業家」たちを一般化することはできないが、「下流でもなく、ホリエモンでもない」最近の若者起業家の等身大の姿っぽいものが描かれているとは思った。本書に出てくる起業家は、みな「つながり」を大切にしているというのが印象に残った。また、彼らを下支えしているトランポリンとしての「資本(経済資本、社会関係資本、文化資本)」の存在についての言及も重要な指摘だと思う。
「起業」や「起業家」を俯瞰して捉え、「起業家」という存在が今までどのように語られてきたのか、「起業」の実態を分析した各章も、実際の企業はITベンチャーよりも「小売業」や「飲食店」といった「地味な起業」が多いという指摘など、なかなか勉強になった。
しかし、全体を通して、だらだらとした文章が続き、あまり何を言いたいのかが不明瞭だと感じた。また、実際の起業のほとんどが「地味な起業」なのであれば、本書で紹介されている起業家の事例は、「リアル」っぽいだけで、かなり特殊なケースなんじゃないかと思うし、そもそも事例が少なすぎる気はした。最後の対談も余計な気がした。 -
Posted by ブクログ
前半の企業の話は別の本でも書かれていたのか、あれこの本読んでいたっけなと繰り返し思う。後半も 就職、就業についてはデータを交えながら説明で興味深く頭の良い後輩と話しているようで楽しく本を読む。本著者の本を読みたいと思う所はここだろうな!他の社会学の本などを読んでもいまいちピンと来ないが、古市氏は我々と目線が近いので読みやすいのだろう。
【学】
人気会社のランキングより、3年離職率の方がはるかに有用
2000年ネットバブルその後、1円企業、第三次ベンチャーブーム。今までは、大企業に就職し社長や役員になるのが成功イメージだったが、いまやベンチャー会社を立ち上げるとの方が成功イメージではないか。
職業というモノは、やりたいことを実現するための手段であって、その本質ではない。
本 減速して生きるダウンシフターズ