古市憲寿のレビュー一覧
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古市さんの本を読むのはこれが2冊目。小説でフィクションなのだけど、古市さんは現代社会のネタを盛り込んでくるので勉強になるし、体験談かと思うほどリアル。
この作品は同性愛がテーマだけど、主人公が男が好きなのではなく、港くんが好きだといったセリフが心に残っている。私の周りには同性と付き合った子がたくさん居て、そういう性的志向の子が近くにいるのだから受け入れよう、理解しようと考えていた。私には「その人だから好き」「人として好き」というストレートな感情が欠けていた。あまり難しく考える必要は無かったんだな。古市さんはメディアだと言葉がキツイ印象があったけど、小説では心理描写が丁寧であたたかい。 -
Posted by ブクログ
広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京…。本書は社会学者、古市憲寿氏が現地を旅して考えたことを綴ったものであります。
新世代の社会学者、古市憲寿氏が本書で選んだテーマはズバリ『戦争』でありました。僕自身もまた、古市氏と同様、戦場に行ってドンパチをやったことも無ければ、戦時下で生活をしたことも無い、あるフォークソングの歌詞で言うところの『戦争を知らない子どもたち』の一人ではありますが、それでも、断片的に祖父や、母方のおじなどから戦地での話を聞いていたり、取材などで戦場に行っていた、なんていう経歴を持った方と会って直接話を聞いていたりしていたりはしているので、学校教育で習ったことなどを除いてまったく何も知らない、ということはおそらく無いであろうと、そんな認識でございます。
本書の内容を大まかにまとめてみますと、『古市氏と行く戦争記念博物館の旅』といったものでしょうか。『負の世界遺産』の代表格といえる『アウシュビッツ強制収容所』を初めとする国内外の戦争に関する博物館、記念館に古市氏が足を運んでは、そこであったであろう出来事や、来し方行く末について考察を重ね、また現地で古市氏が遭遇した様々な出来事についてもここでは書き留められております。僕が古市氏の書いた書籍のスタイルに慣れたのは本書からで、かつて読んでここでも紹介をさせていただいた『絶望の国の幸福な若者たち』や『僕たちの前途』の2冊は、正直なところ、相当読むのに苦労してしまいました。
本書を読んで古市氏が行っていたことは(考えることはおそらく別なことであろうが)僕がやりたかったことでもあり、(時間はかかるかもしれませんが)いつかやってやろうということに他ならないものでもあり、その辺のところは素直に『羨ましい』とさえ感じるほどでありました。最後のほうになると、日本人ならば誰もが一度は耳目にするであろう古戦場、関が原の地で出会った『ノーモア、セキガハラ』と『ユーモア、セキガハラ』の2つの看板と事象に吹き出しつつも、古市氏の言う
『僕たちは、戦争を知らない。そこから始めていくしかない』
という言葉は、先の戦争(太平洋戦争。もしくは大東亜戦争)から何世代も時が流れ、その間に自国が戦火にさらされることが無かった我々の「偽らざる現在」なんだろうなと、そんなことを考えておりました。
補章として収録されている古市氏と『週末ヒロイン』で有名なアイドルグループ、ももいろクローバーZとの対談を通して、僕自身もまた戦中、戦後に関する細かい知識が欠如していたことを認識して呆然となったり、巻末に収録されている『戦争博物館ミシュラン』を読みながら
「あぁ、こことこことここには一度足を運んでおこう」
と思う一方で、人間の持つもっともダークな部分が浮き彫りになる戦争というものが、それと同時に映画や小説を初めとする様々な芸術やエンターテイメントのテーマとして取り上げられる「キラーコンテンツ」になっているという「矛盾」に思いを馳せるのでありました。
本書は2015年7月25日、講談社より『誰も戦争を教えられない (講談社+アルファ文庫 G 256-1)』として改題、文庫化の上、再販されました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれだけ世代間格差が叫ばれ、少子高齢化が社会問題になっているのに、圧倒的に不利益を被っているはずの当の若者たちは「幸福」と思っている。
主題が面白い。
古市さんが世に出てからは社会学者ということで興味があった。意外にも浜崎あゆみの歌詞の考察みたいなことをしている番組を見て、面白い人だなと思っていた。
もう今の若者とも違くなってるのかもしれないけど(本書を読んだ後に若者って括るのも微妙だけど)、身近な社会が楽しければ概ね満足っていうのはかなり当たっていると思った。
私は著者よりある程度下の世代だけど、周りの人たちの多くは国や経済などの大きい社会にはあまり関心がないように思う。酷いなぁそれって他人事みたいな感じ。
それでいて仲の良い友達とお金のあまりかからない遊びができる日々を楽しんでいるように思う。社会を動かそうとはしない。
だからと言って不満や不安がない訳ではない。お金はあまり持っていないし。ただ今より良くなる未来が想像できないから、今で概ね満足と認識してるイメージ。「さとり世代」って言葉が表してる感じ。
「相対的剥奪」って言葉が印象的だった。
そう思うと、あまり変わってないのかなと思う。
ただ今概ね満足だったとしても、未来や有事の際に困ってしまう現若者は多いと思う。この不安を抱えて生きていくのが今やこれからの若者たちなんだろうな。 -
Posted by ブクログ
格差社会のもと、その「不幸」が報じられる若者たち。だが、2010年の時点で20代男子の65.9%、20代女子の75.2%が現在の生活に「満足」している!んですってさ。あーそーですか。としか言えません。
実はこれを書く前にもういちど本書を読み直したうえでこうして書いてはいるんですけれど、共感できるのは全体のせいぜい3割くらいといったところでしょうか?
後の7割は正直言うと
「うーん。あまり僕には理解できないなぁ。」
というところで、僕も正直言ってもはや「若者」ではなくなってしまったから、というところもありますが、やはり現状に「満足」していなかったり、ある意味では「幸福」なのかもしれませんがまだまだ「不満」を(これはどんな状態でも見つけようと思えば見つけられる)もっているからでしょうね。
具体的に言うとここが愚痴で埋め尽くさせるのであえて個別には書きませんが。それでも「社会を変えたい」とか、そういうことにはあまり希薄なのかもしれません。
できれば、自分の環境と半径5メートルくらいにはイノベーションを起こそうかとは思っていますれど…。そう考えるのも慶応SFCから東大大学院で社会学を選考している筆者と20歳くらいから今まで人生の裏街道を歩んだ自分との「視座」の違いなんでしょうね。
ここではフィールドワークの対象としてW杯の深夜、渋谷で騒ぐ若者たち。ネット右翼の主催するデモに集まる若者たち。そして震災を前に、ボランティアや募金に立ち上がる若者たち。
そんな姿が取りざたされておりまして、
「センカクショトーって、何すか?」
という六本木のクラブに並んでいた方の規格外の発言に度肝を抜かれ、
「サッカーのWカップのときだけに日本のナショナリズムは出現する」
ということを渋谷の街でW杯に熱狂する彼ら彼女らの姿から思い、右よりな若い男女が集うSNSで知り合った人間たちが主催するデモに分け入る。
そういう姿を見て、自分のたどってきた道を振り返るいい機会になったかとは 正直思います。その是非は別として。
ただ、最後のほうにある
「日本がなくなってもいい」
という主張には正直言って非常に後味が悪くここで書かれていることが「若者」の「集合的無意識」だとしたら、本当に恐ろしいなとは思います。
多分、仮に戦争や国家の破綻で「日本」という国がなくなってしまったとするならば、こういう「平和な」話題で云々する余裕はまずないであろうなということは想像に難くないだけに、そこだけは少し残念かと思いました。
僕は現在、下の世代にことには正直、考えたりかまってあげられるほどに余裕はありませんが、もし、彼ら彼女らと深く接する機会があれば、ここに書かれていることを少し思い出してみようかとそんなことを考えております。
※追記。
本書は2015年10月20日、『絶望の国の幸福な若者たち (講談社+α文庫)』として講談社より文庫化されました。 -
Posted by ブクログ
(2014/8/15)
29歳の社会学者による本。
正直目新しいことは書いてない。
知ってるよそれくらい、と52歳としてはいいたい。
問題は若者が現在の生活に案外満足してしまっていること。
飼いならされてしまっていること。
スマホさえあれば車も家庭もなくてもいいんじゃない?的な気分になっているような。
すき家ではないが24時間連続で働かされて疲弊して、たまの休みをスマホのコミュニケーションで満足する若者、、。
それってまずいでしょう。
今この瞬間はそれでバランスがとれているかもしれないけど、早晩日本は年寄りだらけになる。
地方都市は限界集落化し、その地方都市に残る数少ない若者を吸収する東京も、インフラの疲弊をメンテする若者までは手が回らない。
道路やトンネルを正確に作り上げる技術も、こうも若者が減って、優等生の使えないサラリーマンばかりになってしまえば、伝承ができなくなる。
インフラもだめ、人もいない、、、ローマ1200年も最後はそれで滅びたとか?
明治維新のままの政治システム、官僚システム、経済システムを変革することが先決なのだが、、、
どうすればそれが実現できるのか。
徹底的にダメにならなければ気がつかない、そんな気がしてきた。それを受け入れますかな?次の世代につけを残すのが申し訳ないが、、、。
など考えさせる本。 -
Posted by ブクログ
「神曲」「源氏物語」「失われた時を求めて」「相対性理論」「社会契約論」「ツァラトゥストラ」「わが闘争」「ペスト」「古事記」「風と共に去りぬ」「国富論」「資本論」と、一度は聞いたことある古典の名著について、社会学者古市憲寿が、各分野の専門家と対談形式で、それぞれの本の特色やエッセンスを紹介したもの。
まずはとっつきにくい古典に対してのアレルギーを緩和させる効果はあるのではなかろうか。また対談形式で、専門家に対して古市氏が上手い具合に聞きたいことを抑えているような質問しているため非常に読みやすくはなっている。
個人的に古市氏についてあまり知らないが、ある本の内容を知っているのに知らないようなそぶりで質問していることや、それを読むリズムを邪魔しないようにまとめているところに、何処か頭の良さを感じられた。
紹介されている古典のどれかには挑戦してみたくなったのは正直な感想ではある。