古市憲寿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
翔太は就職試験にことごとく失敗し、死んでもいい、と思った時に、ビルの窓拭き清掃の仕事に出会い、深い考えもなく、仕事に就く。
窓拭き作業中に、タワーマンションに暮らす一人暮らしの老女と出会い、そこから不思議な交流が始まる。
格差社会での身分の違う人たちの出会い、交流は日常的にはあまり見られないだろう。
住む世界の違いからの暮らし方、ものの捉え方の違いがある一方、心の中のどこかで、通じ合う部分もある。
表現するのが難しいが、現実味もみせながらも、幻想的、空想的な、もやがかかったようなくすんだ色味のある、不思議な話だった。
なぜ、老女は姿を消したのか。なぜ、交流をもちながらも二人ともお互いの名前を明かさなかったのか。
最後に一気に現実に引き戻された翔太の行く末も気になる。 -
Posted by ブクログ
雑誌の対談ということで、誌面の関係か、対談もエッセンスだけ残しているという感じで、冗長でなくそれぞれが短く確かに10分で一冊のエピソードを読み切れる。
対談している相手のチョイスがよく、さほど関心が無い分野の本でも飽きずに読める。
アインシュタインがなぜ天才的な理論を生み出せたかという問いに対して、大学の研究室に雇ってもらえずに暇だったから、という解答は、膝を打った。暇のない現代、特に日本では独創的な理論を作り出す暇はないかもしれない。
ルソーの「社会契約論」の理想とする社会の在り方が、今の中国の統治と合っているという東浩紀の解釈は、なんとなくルソーは近代民主主義の祖のように感じていたので、驚かされた。熟議民主主義なんて全く必要とせず、一般意志が反映される統治システムだったらなんでもいい、しかし、その一般意志も「みんなが黙って自分のことだけを考える。そうするとなぜかどこかにぼんやりと一般意志があらわれる」という「一般意志という概念自体が、自分で自分を統治するというフィクションをうまく回すための人工的な概念」なんて、そんなことでよいの⁉️と心配になった(笑)近代の世俗化に必要な概念として捻り出されたのだな。
ここまで書かれてなお魅力があるとは、確かに読んでみたくなる(笑)
読みたい順に読んだが、最後まで面白かった。古市憲寿は苦手だし、ニセモノ感がハンパないが、企画の勝利だといえる。 -
Posted by ブクログ
今なら当たり前のように思い描く将来大人になったらやりたい事や、海外のどこそこに旅行に行きたい…
美味しいものを食べてみたい…
そんは素朴な願いすら統制されて出来ない時代が、ついこの間まであったという事実。
自分は御国の為に身を捧げるから、大人まで生きることはないと当たり前のように小中学の子が毎日思って過ごす。
そんな世の中に希望なんてないよな…と感じながら読んでいた。
どんな小さな夢でもいいから自由に思い描いていられる世の中がいい。
統制だけ厳しくして、金持ちの上の官僚とかだけは酒に女に豪勢な食事や、金に溺れて暮らす。
そう言う未来にならない事を祈るばかり。 -
Posted by ブクログ
辛口コメンテーターで知られる古市さんの小説。
こちら、昨年古市さんがTwitterで毎日少しずつ投稿してくれていたツイッター小説を一冊にまとめたもの。
私も去年毎日楽しみに読んでいたのでこちら再読となります。
舞台はオランダのアムステルダム。一緒にアムスに来た彼女のさくらに振られて、鬱々としながら過ごすヤマト。
そしてあるとき出会ったのが、ある報道がきっかけでテレビの前から姿を消した元芸能人の港くんだった。彼と出会って、友情を深めることで、ヤマトの生活に張りが出て変わりはじめる。
ボーイズラブ要素のあるラブストーリー。
全体的に、ヨーロッパが舞台ということもありおしゃれな印象。
主人公ヤマトの作る様々な料理が、文字だけなのにとてもバラエティ豊かで洒落てて美味しそう。
アムステルダムの風景や美術館などの風景もしっかり描いている。
美術館のシーンもあり、レンブラントやフェルメールなどオランダの画家や、モネの睡蓮の言及もあり、美術好きとしても嬉しいポイントだった。
ただ、Twitterのときは、文章と共にオランダの風景画像が添付されており、それがアクセントとなっていたと思うんだけど、書籍では予算の関係か、それがカットされていたのが残念だった。
また、古市さんのことは、辛口が気になって実は前はそんなに好きではなかった。しかし、中居君とよく共演するようになってから、一目置くようになり、Twitterもチェックするようになった。
古市さんのこちらの小説、中居君の存在がちらちら見えて、中居君愛を感じることができる。
男性同士の恋愛が描かれて、性描写もあるんだけど、全体的には爽やかでスタイリッシュな印象だった。
今回の勝手にキャスティング
ヤマト→林遣都くん
港くん→佐藤健くん
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「格差ってのは上と下にだけあるんじゃない。同じ高さにもあるんだ」。高度200メートル。僕はビルの窓を拭く。頭の中で響く声を聞きながら。ある日、ふとガラスの向こうの老婆と目が合い……。境界を越えた出逢いは何をもたらすのか。無機質な都市に光を灯す「生」の姿を切々と描き切った、まったく新しい青春小説。
ビルの窓清掃員が謎のお婆さんから大金を受け取って窓から部屋を盗撮する話。大人しそうに見える主人公なんだけど、高層ビルの清掃中に性行為に及んだりと大胆な一面も。こんな主人公やイカれた同僚が出てくるのだから、ド派手な物語になるのかと期待したのだけど、そのような場面は出てくることはなく静かに淡々と物語は進み、気がついたら終わってしまっていた…。感心したのは主人公が手土産を持っていったシーン。お婆さんが手土産に一切手をつけないという描写は、主人公とお婆さんの関係をよく表していると思った。盗撮犯に心は許さないよな。